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- 陰の王国と廻りだす歯車 -
ーージキルドside ②
そしてそれは…
継母であるオーディットの母親も知らない話。父上はあの女を寵愛していた。だが、それに関しては王以外に知られてはならないこの国の忌まわしき歴史に違いなかった。
ドラゴン族の王であった父上は確かにあの女を寵愛していた。…だが、父上は本当にあの女をそういう意味で愛していたのか、今になって些か疑問に思う。なぜかと言えば、まだ母が健在だった頃… 父上は母がいるにも関わらず、突然 何処からともなく連れてきたあの女を側妃にし、足繁く通った。
ーーと思えば、
あの女の部屋で一夜を過ごしたことが一度もないのだ。母がいるのに、何処からともなく連れてきた女… 必然とそういう仲を疑うだろう?私もそう思っていた。あの女のどこがそんなに良いのか、とーー。
母の不安もあり、私は父に直接聞くと父上は笑顔で答えた。
『母さんへの愛が尽きたのかって?そんなわけないだろう。私が彼女を連れてきて側妃にしたのはなにも彼女が大切だからではない。彼女が産む子供が大切なんだ。
ああ、この言い方だと言葉に語弊があるね。
彼女から生まれる子供が一度失われたこの世界の至宝と言っても過言ではない。だから、再び失わない為にも… 彼女が産む子供を保護しなければならないんだよ』
当時、そんなことを言われた。
何を言うのかと思えば、あの女に対する父の惚気か、と私は相手にしなかった。しかし、今思えば… あのとき、父の言った言葉にはーー。
そう、確か続きがあった。
『お前も何れわかるときが来る。前に話したことがあっただろう?成人を迎えたドラゴン族の王の血を引く者が自覚し、王として覚醒することで… 時おり、必要に応じて予知夢を視ることが出来ると。
そしてそれは同時に… ドラゴン族の王である証』
だが、父は確かあのときもう一つ何かを口にしていた。なんだったか…?
「精霊、か。確か、うちの国も神話時代にそんな記述があったな…。二つの世界がどうとかって。到底、信じられない話だが」
何げなく口にしたジークの言葉に思い出した。ああ、そうだった。確か、父はこうも言っていた。
『陰と陽… 二つの交わりは禁忌にして、新たなる希望の始まりとなるか。それともーー。』
『陰の血は闇に強く惹かれる性質を持つ。よって、闇に堕ちやすく、強いようで脆い。だから、お前が守るんだよ、あの子を…』
……さっぱり、わからん。
父上は一体なにが言いたかったんだ?
ドラゴン族の王の特性である夢見の力と、あの女の子供… それ即ち、オーディットのことを指しているのだろうと予測はつくが、いかんせん、わからないことばかりだ。
しかし、父は他にも何か言っていたような気がするが何を言っていたか… うろ覚えで忘れてしまった。
一つ、確実に言えることは…
オーディットの存在がこの国にとって、吉となるか凶となるか。また父の話が本当なら、腹黒い大臣たちのことだ。きっと私腹を肥やす他の貴族同様にあの子を利用しようと考えるだろう。
どちらにせよ、頭の痛いことだ。
だから決めた、…この子を守ろうと。別に父に言われたからではない。汚れを知らない愛しい弟を守りたいと思ったからだ。
継母であるオーディットの母親も知らない話。父上はあの女を寵愛していた。だが、それに関しては王以外に知られてはならないこの国の忌まわしき歴史に違いなかった。
ドラゴン族の王であった父上は確かにあの女を寵愛していた。…だが、父上は本当にあの女をそういう意味で愛していたのか、今になって些か疑問に思う。なぜかと言えば、まだ母が健在だった頃… 父上は母がいるにも関わらず、突然 何処からともなく連れてきたあの女を側妃にし、足繁く通った。
ーーと思えば、
あの女の部屋で一夜を過ごしたことが一度もないのだ。母がいるのに、何処からともなく連れてきた女… 必然とそういう仲を疑うだろう?私もそう思っていた。あの女のどこがそんなに良いのか、とーー。
母の不安もあり、私は父に直接聞くと父上は笑顔で答えた。
『母さんへの愛が尽きたのかって?そんなわけないだろう。私が彼女を連れてきて側妃にしたのはなにも彼女が大切だからではない。彼女が産む子供が大切なんだ。
ああ、この言い方だと言葉に語弊があるね。
彼女から生まれる子供が一度失われたこの世界の至宝と言っても過言ではない。だから、再び失わない為にも… 彼女が産む子供を保護しなければならないんだよ』
当時、そんなことを言われた。
何を言うのかと思えば、あの女に対する父の惚気か、と私は相手にしなかった。しかし、今思えば… あのとき、父の言った言葉にはーー。
そう、確か続きがあった。
『お前も何れわかるときが来る。前に話したことがあっただろう?成人を迎えたドラゴン族の王の血を引く者が自覚し、王として覚醒することで… 時おり、必要に応じて予知夢を視ることが出来ると。
そしてそれは同時に… ドラゴン族の王である証』
だが、父は確かあのときもう一つ何かを口にしていた。なんだったか…?
「精霊、か。確か、うちの国も神話時代にそんな記述があったな…。二つの世界がどうとかって。到底、信じられない話だが」
何げなく口にしたジークの言葉に思い出した。ああ、そうだった。確か、父はこうも言っていた。
『陰と陽… 二つの交わりは禁忌にして、新たなる希望の始まりとなるか。それともーー。』
『陰の血は闇に強く惹かれる性質を持つ。よって、闇に堕ちやすく、強いようで脆い。だから、お前が守るんだよ、あの子を…』
……さっぱり、わからん。
父上は一体なにが言いたかったんだ?
ドラゴン族の王の特性である夢見の力と、あの女の子供… それ即ち、オーディットのことを指しているのだろうと予測はつくが、いかんせん、わからないことばかりだ。
しかし、父は他にも何か言っていたような気がするが何を言っていたか… うろ覚えで忘れてしまった。
一つ、確実に言えることは…
オーディットの存在がこの国にとって、吉となるか凶となるか。また父の話が本当なら、腹黒い大臣たちのことだ。きっと私腹を肥やす他の貴族同様にあの子を利用しようと考えるだろう。
どちらにせよ、頭の痛いことだ。
だから決めた、…この子を守ろうと。別に父に言われたからではない。汚れを知らない愛しい弟を守りたいと思ったからだ。
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