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プロローグ
『スティシア王国と悪しき膿』
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前国王夫妻が不慮の事故で亡くなり、喪が明けた今、聡明で人望厚く、国民に慕われている第一王子が戴冠式を行い、国王を継ぎ、この国は安泰だ。弟君であらされる第二王子も兄君の国王陛下 同様の聡明さと持ち前の剣の腕でその実力は周囲にも認知させている。
その二人こそいればスティシア王国も未来永劫、安泰を約束されたのも同然、そう国民は歓喜した。
しかし、
そんな未来永劫安泰を約束されたも同然の…
この国にも悪しき膿は存在する。
傲慢と我欲、堕落の塊と揶揄される元第一王女であった前国王の王妹。節制のない生活ぶりに自分より美しい女は例外以外は虐げ、鞭打ちは当たり前。熱く熱を通したゴテを使い、泣き縋り、赦しを乞い悲鳴をあげる女を愉しそうに笑いながら虐げる鬼畜ぶりは有名な話。
美しい男は常に自分の元に侍らせ悦に入り、女王同然に振る舞う傍若無人っぷり。気に入らないことがあれば癇癪を起こし、心地よい言葉のみ聞き入れる元第一王女は年を重ねていくうちに、息が詰まる程の威圧を放つ寒々しくも美貌を兼ね合わせた毒々しい華やかさを持つ毒花のように周囲に異臭を放つようになった。
金に飽かせたドレスで身を飾り、血溜まりの中で陰惨に微笑む悪女は… 処女の血を好んだ。
特に、まだ若く異性と交わることで得る快楽を知らない… 美しき乙女の血を。鎖で繋ぎ、血の一滴を余すことなく、装飾が刻まれた美しきグラスに、まるでワインの如く注ぎ入れ、味わうように、苦痛に悲鳴をあげる うら若き乙女の泣き叫ぶ声を。苦しむ姿を… 悦に浸りながら高慢に笑う…
そうして、水浴びするが如く、全身にその血を浴びることで自身がまた若返ったような気がした。
それは――‥
最も甘美でおどろおどろしく、見る者全てに、さぞ、おぞましい光景として映ったに違いない。
本人からすれば、それは自身が美しく若い身体を保つ為の『聖なる儀式』だという。
時には権力で。
身も心も手に入れたいと思ったお気に入りは魔法をかけ意思を奪い、下僕の魔法をかけることでも有名な悪名高き魔女。
しかし、確たる証拠が無い上に、『元』と言えど、王族に違いない。……王家王族の膿には違いないが。それでも元王族。元第一王女であったばかりに、確たる証拠が無い以上、公に裁くことも出来ない。だから兄君であらされた 前国王はまだ存命のうちに勅命で悪の巣窟であるハワード侯爵家に降嫁させたのだ。
小さな芽も含め、
ハワード侯爵家を筆頭に膿となる反王家派の旧貴族… 彼らがハワード侯爵家を懇意にしていることは明白。それならば国の膿は分かりやすく一箇所に集結させ、まとめて斬り捨てようと… 考えた。
そんな彼女にも手に入らないものがあるとかなんとか。まこと密かに囁かれている… 。それが事実かどうかはさて置き、仮にもあれが一国の元王女だったのだ。それは本当に悪夢でしかならない。
そして今も国民が疑惑の念を浮かべる謎多き、前 国王夫妻の事故死。
誰もが疑った。
元第一王女を。誰もが疑いの眼差しを向けた。
二人を一番煩わしく感じていたのは他でもない元第一王女だからだ。誰もが疑念を浮かべつつも、決して口には出さずにいた。
そして、国葬に突如として姿を表した彼女は泣きもせず、ただ火葬されるその様子を只々、見つめていた――。
私腹を肥やし、領民に悪政を強い、裏で糸引く悪事の黒幕とまこと密かに囁かれる悪魔の巣窟と謳われるハワード家に元第一王女は降嫁した。ハワード家は侯爵の位を持つ高貴族だが、ハワード家ばかりは例外で、侯爵とは名ばかりの『侯爵の位』を辛うじて語れることだけを許された… ただ、それだけに過ぎない。
政治的にも何の力もない。
けれど、人身売買組織に加担している、奴隷を買っている、と幾度と憲兵の捜査の手が掛かったにも関わらず、何も見つからない。証拠を掴ませない。尻尾を掴ませないハワード家を筆頭にして、膿の一つである反王家派の旧貴族たちが昼夜問わず悪名高きハワード侯爵家を訪れるのも… それもまた必然のことであった。
その二人こそいればスティシア王国も未来永劫、安泰を約束されたのも同然、そう国民は歓喜した。
しかし、
そんな未来永劫安泰を約束されたも同然の…
この国にも悪しき膿は存在する。
傲慢と我欲、堕落の塊と揶揄される元第一王女であった前国王の王妹。節制のない生活ぶりに自分より美しい女は例外以外は虐げ、鞭打ちは当たり前。熱く熱を通したゴテを使い、泣き縋り、赦しを乞い悲鳴をあげる女を愉しそうに笑いながら虐げる鬼畜ぶりは有名な話。
美しい男は常に自分の元に侍らせ悦に入り、女王同然に振る舞う傍若無人っぷり。気に入らないことがあれば癇癪を起こし、心地よい言葉のみ聞き入れる元第一王女は年を重ねていくうちに、息が詰まる程の威圧を放つ寒々しくも美貌を兼ね合わせた毒々しい華やかさを持つ毒花のように周囲に異臭を放つようになった。
金に飽かせたドレスで身を飾り、血溜まりの中で陰惨に微笑む悪女は… 処女の血を好んだ。
特に、まだ若く異性と交わることで得る快楽を知らない… 美しき乙女の血を。鎖で繋ぎ、血の一滴を余すことなく、装飾が刻まれた美しきグラスに、まるでワインの如く注ぎ入れ、味わうように、苦痛に悲鳴をあげる うら若き乙女の泣き叫ぶ声を。苦しむ姿を… 悦に浸りながら高慢に笑う…
そうして、水浴びするが如く、全身にその血を浴びることで自身がまた若返ったような気がした。
それは――‥
最も甘美でおどろおどろしく、見る者全てに、さぞ、おぞましい光景として映ったに違いない。
本人からすれば、それは自身が美しく若い身体を保つ為の『聖なる儀式』だという。
時には権力で。
身も心も手に入れたいと思ったお気に入りは魔法をかけ意思を奪い、下僕の魔法をかけることでも有名な悪名高き魔女。
しかし、確たる証拠が無い上に、『元』と言えど、王族に違いない。……王家王族の膿には違いないが。それでも元王族。元第一王女であったばかりに、確たる証拠が無い以上、公に裁くことも出来ない。だから兄君であらされた 前国王はまだ存命のうちに勅命で悪の巣窟であるハワード侯爵家に降嫁させたのだ。
小さな芽も含め、
ハワード侯爵家を筆頭に膿となる反王家派の旧貴族… 彼らがハワード侯爵家を懇意にしていることは明白。それならば国の膿は分かりやすく一箇所に集結させ、まとめて斬り捨てようと… 考えた。
そんな彼女にも手に入らないものがあるとかなんとか。まこと密かに囁かれている… 。それが事実かどうかはさて置き、仮にもあれが一国の元王女だったのだ。それは本当に悪夢でしかならない。
そして今も国民が疑惑の念を浮かべる謎多き、前 国王夫妻の事故死。
誰もが疑った。
元第一王女を。誰もが疑いの眼差しを向けた。
二人を一番煩わしく感じていたのは他でもない元第一王女だからだ。誰もが疑念を浮かべつつも、決して口には出さずにいた。
そして、国葬に突如として姿を表した彼女は泣きもせず、ただ火葬されるその様子を只々、見つめていた――。
私腹を肥やし、領民に悪政を強い、裏で糸引く悪事の黒幕とまこと密かに囁かれる悪魔の巣窟と謳われるハワード家に元第一王女は降嫁した。ハワード家は侯爵の位を持つ高貴族だが、ハワード家ばかりは例外で、侯爵とは名ばかりの『侯爵の位』を辛うじて語れることだけを許された… ただ、それだけに過ぎない。
政治的にも何の力もない。
けれど、人身売買組織に加担している、奴隷を買っている、と幾度と憲兵の捜査の手が掛かったにも関わらず、何も見つからない。証拠を掴ませない。尻尾を掴ませないハワード家を筆頭にして、膿の一つである反王家派の旧貴族たちが昼夜問わず悪名高きハワード侯爵家を訪れるのも… それもまた必然のことであった。
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