7 / 9
プロローグ
『弟のカミングアウト』
しおりを挟む
「え、えっ… な、なに!?何が起きたの!??」
ハッと我に返った弟の一声はそれで、また一口紅茶を口に含むと、コトリ、とテーブルにティーカップを置く。
「何って…」
そして私はというと、
そんな弟の驚きぶりに首を軽く傾げる。
「何って、可笑しなことを言いますね…。魔法を使ったに決まってるじゃないですか。使ったのは水の魔法で初級のものを応用した形ですが」
そんなに驚くこともないと思うのですが、と口にすれば弟の目が見る見る輝きが増した気がした。
「ま… 魔法!?魔法って言った!?」
「えぇ、だから最初からそう言っているではありませんか」
何度も同じことを言わせないで下さい、と冷たく言ったのに弟の目の輝きは増すばかりで…
ズサーッ!
ビクッ!?
「な、なんですかいきなり…!?」
と、思えばいきなり勢いつけて土下座する弟に先ほどから驚きっぱなしです。
「黒薔薇の兄ちゃん!!!」
…まったく、不快です。
「誰が黒薔薇ですか、誰が!ハァ、仰々しい呼び方も不快になるだけなので、普通に兄さんと呼んでもらって構いませんから、その『黒薔薇の兄ちゃん』はやめて下さい」
呼び方にしても品がありませんと口にすれば、そういうところはゲームと変わらないと口にする弟。
「だから、そのゲームとは何ですか?聞きなれない単語なんですが」
渋って、なかなか教えようとしない弟に痺れを切らした私は弟が食いついた『魔法』を条件に聞き出すことに成功した。弟に『ズルい』と言われましたが、それに食いつく貴方はどうなんですかと言い返せば、弟は『だって…』と不貞腐れる。面倒ですね、まったく。
「……この世界が元々はゲームの世界ですって?」
聞けば弟は、この世界が元々はゲームという仮想世界で、人格が変わってしまった弟がいたという世界には魔法は存在せず、代わりに科学や医学が発達した世界だという。
「え、ちょっと待って下さい。やはり、精神疾『ちょっw 一旦、その話から離れようや、お兄サマww だから、正気だって!」
もうわかった!真面目に話すから!そう言いだした弟は溜め息つくと、カミングアウトした。
「俺、いわゆる腐男子ってヤツなんだよね!」
・・・ふ?
漢字という文字を紙に書き出す弟は、クサった男の子と書いて腐男子(ふだんし)って読むんだけど… という弟に私はなるほど、と頷く。
「つまり、あなたは… 腐ってる?人間ということになるんですよね?ハッ、まさか!意味不明な言動も頭の中が腐ってるから…『いや、ちがうから!』
つか、それもうゾンビじゃん!と突っ込む弟に、違うのですか?と、ごく真面目に聞けば断じて違う!!と返ってくる。
「腐男子っていうのは… 同性同士の恋愛を見るのが好きな男のことを言うんだ。因みに、女子は腐女子。あくまで自分じゃなくて、他人の恋愛模様を見て楽しむという…って、ちょっと待って!なんで、そんなあからさまに下がるの!?」
「すみません… 少し、自分の身の危険を感じまして」
ああ、俺か… と呟いた後に、Σって、俺!?ちがうよ!?俺の話、聞いてた!??と口にする5歳の自分より遥かに下の弟に半眼の目を向ける。半径2mは近づかないで下さいと冷たく突き放す。
「だから、いやまぁ確かにそういう系の乙女ゲームだったけど… って睨まないで!!黒薔… 失礼シマシタ。ゲームでは兄さん、そういう相手というかそういう展開はなかったよ?どちらかというと、異世界から召喚された勇者と、それを守る王子や騎士たちとの恋愛模様の… 乙女ゲームだったから、兄さんをそういう目で見たことはないよ!!(嘘だけどっ)だから、俺を信じて!」
俺を信じて!と目を潤ませる弟。きっと傍から見れば健気な5歳児にしか見えないでしょう。キラキラと光る瞳。
しかし、私には澱み濁った瞳にしか見えないのですが… まあ、いいでしょう。私は弟と再び向き直ると、冗談ですと短く言葉にして、
そして、弟と今後のことを話し合うことにした――。
ハッと我に返った弟の一声はそれで、また一口紅茶を口に含むと、コトリ、とテーブルにティーカップを置く。
「何って…」
そして私はというと、
そんな弟の驚きぶりに首を軽く傾げる。
「何って、可笑しなことを言いますね…。魔法を使ったに決まってるじゃないですか。使ったのは水の魔法で初級のものを応用した形ですが」
そんなに驚くこともないと思うのですが、と口にすれば弟の目が見る見る輝きが増した気がした。
「ま… 魔法!?魔法って言った!?」
「えぇ、だから最初からそう言っているではありませんか」
何度も同じことを言わせないで下さい、と冷たく言ったのに弟の目の輝きは増すばかりで…
ズサーッ!
ビクッ!?
「な、なんですかいきなり…!?」
と、思えばいきなり勢いつけて土下座する弟に先ほどから驚きっぱなしです。
「黒薔薇の兄ちゃん!!!」
…まったく、不快です。
「誰が黒薔薇ですか、誰が!ハァ、仰々しい呼び方も不快になるだけなので、普通に兄さんと呼んでもらって構いませんから、その『黒薔薇の兄ちゃん』はやめて下さい」
呼び方にしても品がありませんと口にすれば、そういうところはゲームと変わらないと口にする弟。
「だから、そのゲームとは何ですか?聞きなれない単語なんですが」
渋って、なかなか教えようとしない弟に痺れを切らした私は弟が食いついた『魔法』を条件に聞き出すことに成功した。弟に『ズルい』と言われましたが、それに食いつく貴方はどうなんですかと言い返せば、弟は『だって…』と不貞腐れる。面倒ですね、まったく。
「……この世界が元々はゲームの世界ですって?」
聞けば弟は、この世界が元々はゲームという仮想世界で、人格が変わってしまった弟がいたという世界には魔法は存在せず、代わりに科学や医学が発達した世界だという。
「え、ちょっと待って下さい。やはり、精神疾『ちょっw 一旦、その話から離れようや、お兄サマww だから、正気だって!」
もうわかった!真面目に話すから!そう言いだした弟は溜め息つくと、カミングアウトした。
「俺、いわゆる腐男子ってヤツなんだよね!」
・・・ふ?
漢字という文字を紙に書き出す弟は、クサった男の子と書いて腐男子(ふだんし)って読むんだけど… という弟に私はなるほど、と頷く。
「つまり、あなたは… 腐ってる?人間ということになるんですよね?ハッ、まさか!意味不明な言動も頭の中が腐ってるから…『いや、ちがうから!』
つか、それもうゾンビじゃん!と突っ込む弟に、違うのですか?と、ごく真面目に聞けば断じて違う!!と返ってくる。
「腐男子っていうのは… 同性同士の恋愛を見るのが好きな男のことを言うんだ。因みに、女子は腐女子。あくまで自分じゃなくて、他人の恋愛模様を見て楽しむという…って、ちょっと待って!なんで、そんなあからさまに下がるの!?」
「すみません… 少し、自分の身の危険を感じまして」
ああ、俺か… と呟いた後に、Σって、俺!?ちがうよ!?俺の話、聞いてた!??と口にする5歳の自分より遥かに下の弟に半眼の目を向ける。半径2mは近づかないで下さいと冷たく突き放す。
「だから、いやまぁ確かにそういう系の乙女ゲームだったけど… って睨まないで!!黒薔… 失礼シマシタ。ゲームでは兄さん、そういう相手というかそういう展開はなかったよ?どちらかというと、異世界から召喚された勇者と、それを守る王子や騎士たちとの恋愛模様の… 乙女ゲームだったから、兄さんをそういう目で見たことはないよ!!(嘘だけどっ)だから、俺を信じて!」
俺を信じて!と目を潤ませる弟。きっと傍から見れば健気な5歳児にしか見えないでしょう。キラキラと光る瞳。
しかし、私には澱み濁った瞳にしか見えないのですが… まあ、いいでしょう。私は弟と再び向き直ると、冗談ですと短く言葉にして、
そして、弟と今後のことを話し合うことにした――。
12
あなたにおすすめの小説
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
断罪されるはずの推し(悪役令息)を、俺が全力で幸せにしてみせます
月乃
BL
前世の記憶が蘇った時、俺は熱中したBLゲームの世界だった。そのBLゲームには俺が熱中する理由となった推しが存在した。この世界では悪役令息として、理不尽に断罪される運命にある彼だった。
ゲームを何度やり直しても救えなかった彼の未来を変えるため、俺は決意する。剣術一筋だった俺が、推しのためなら学ぶ気のなかった魔術だって身につけて魔術学園へ入学する。
さあ行こうか、ゲームの舞台である魔術学園へ。
俺は彼の隣で、断罪されるはずの悪役令息を幸せにするため、ゲームの運命に全力で抗う!
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる