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プロローグ
そうですね。とりあえず…
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「…隼人、君でいいでしょうか?」
「あー… 俺のことは隼人でいいよ?君、とかいらない」
そう言って爽やかに笑う彼は先ほどと、印象がだいぶ違う。
「そうですか。では隼人、あなたは此処へは一体どうやって来られたんですか?」
琥珀の質問に隼人は困ったように笑った
「んー… それが、なんと言っていいか‥ 正直、わからないの一言なんだよね。足下にいきなり黒い穴が現れたと思ったら、そのまま落っこちちゃって、気が付いたら此処にいたってわけ!
…………椿に発見されるまで、ね?」
肩をすくめ、苦笑いする隼人に神妙に頷く
「…まさか、と思った仮説がこうも実際に犠牲者まで出すことになってしまうとは‥
早急に手を打たなければいけませんね」
「……隼人、あなたをこんな目に遇わせてしまって申し訳ありません。我々の落ち度です。薄々、不正がはこびうっていることに気付いてはいたんです。
………しかしながら、なにぶん、確たる証拠がないものですから、上にも報告が出来ないのが現状なんです」
「そうなんだよなぁ。…なにせ、前代未聞だし。普通に考えてあり得ない話だ。逆に俺達の頭が正気かどうかも問われ兼ねぇし…
第一、十分な証拠がなきゃ、兄貴に報告できねぇよ」
肩を竦める椿に琥珀も頷く
「えぇ‥ 正直なところ、隼人のことも含めて… 証拠が十分とは言えないですしね。
てっとり早いのは‥ 関わりがある者の捕縛ですね。黒幕を見つけるのは中々難しいでしょうが、下っ端なら…」
「………え、まさか複数、関わっているってこと!?」
驚きを見せる隼人に椿と琥珀は呆れた目を向けた。
「こんな… こと、そもそも一人でやれるわけねぇだろ」
「……さすがに一人でやるには厳しいでしょう。前代未聞に加え、本来なら有り得ない… 寧ろ、あってはならないことです。生きた者の運命を勝手に変えてしまうことなど‥。
黒幕は、力が強い… 私たちのクラスか上の者か、若しくは天界の者か‥‥‥。あるいは、最悪、神が関わっているかもしれません。しかし、神であろうと勝手に運命を書き換えてしまうのは、ご法度です。
ましてや、今回の件は本来死ぬ運命だった人間がなぜか死なず、まだ寿命を迎えていない人間がわけがわからず魂の状態で地獄界にいる‥‥
しかし、魂の帳簿を見れば、軽く千年前にまで遡ります。…つまり、私たちの気付かないところで、隼人と同じように遭われた方がいる、ということになりますね」
はぁーぁ… と盛大に溜め息つく椿に、琥珀も同じく溜め息を溢した。
「……とりあえず、君をどうするかですね」
「え?」
「……だな。隼人は死者といやぁ、死者になるが本来、生者側だろ?それを強引に人間という器から魂を抜き取った状態だから…
天命を全うして、正規の手続きを踏んで此処へ来た連中とは気配?ちげぇな… 匂いが違うんだよ」
「え゙… 匂いって‥ 俺、臭いってこと!?」
俺、前日もちゃんと風呂入ったんだけどなー、と、腕を上げてスンスン匂いを嗅ぐ隼人に琥珀は首を横に振る。
「いいえ、違いますよ。
―― 匂いというのは‥
生者と死者の匂いのことです。死後、まず死者は死神によって黄泉で天界か地獄行きかの判別が行われます。そして、地獄行きになった罪人は閻魔大王を含めた十王によって生前の罪を裁かれます。………… そして、罪人を適材適所に振り分けられます。……地獄といっても様々です。
餓鬼もいますし、鬼もいます。特に彼らは残虐な生き物です。餓鬼は何でも喰らいますし、鬼も… 特に生きた人間の肉を好みます。
あなたのような生者の匂いを纏わつかせた魂は彼らにとってご馳走にしか見えません。なので、一人での行動は『俺、まだ喰われたくない!!』
青ざめた表情で琥珀に縋り付く隼人に椿は溜め息ついた。
「あー… 俺のことは隼人でいいよ?君、とかいらない」
そう言って爽やかに笑う彼は先ほどと、印象がだいぶ違う。
「そうですか。では隼人、あなたは此処へは一体どうやって来られたんですか?」
琥珀の質問に隼人は困ったように笑った
「んー… それが、なんと言っていいか‥ 正直、わからないの一言なんだよね。足下にいきなり黒い穴が現れたと思ったら、そのまま落っこちちゃって、気が付いたら此処にいたってわけ!
…………椿に発見されるまで、ね?」
肩をすくめ、苦笑いする隼人に神妙に頷く
「…まさか、と思った仮説がこうも実際に犠牲者まで出すことになってしまうとは‥
早急に手を打たなければいけませんね」
「……隼人、あなたをこんな目に遇わせてしまって申し訳ありません。我々の落ち度です。薄々、不正がはこびうっていることに気付いてはいたんです。
………しかしながら、なにぶん、確たる証拠がないものですから、上にも報告が出来ないのが現状なんです」
「そうなんだよなぁ。…なにせ、前代未聞だし。普通に考えてあり得ない話だ。逆に俺達の頭が正気かどうかも問われ兼ねぇし…
第一、十分な証拠がなきゃ、兄貴に報告できねぇよ」
肩を竦める椿に琥珀も頷く
「えぇ‥ 正直なところ、隼人のことも含めて… 証拠が十分とは言えないですしね。
てっとり早いのは‥ 関わりがある者の捕縛ですね。黒幕を見つけるのは中々難しいでしょうが、下っ端なら…」
「………え、まさか複数、関わっているってこと!?」
驚きを見せる隼人に椿と琥珀は呆れた目を向けた。
「こんな… こと、そもそも一人でやれるわけねぇだろ」
「……さすがに一人でやるには厳しいでしょう。前代未聞に加え、本来なら有り得ない… 寧ろ、あってはならないことです。生きた者の運命を勝手に変えてしまうことなど‥。
黒幕は、力が強い… 私たちのクラスか上の者か、若しくは天界の者か‥‥‥。あるいは、最悪、神が関わっているかもしれません。しかし、神であろうと勝手に運命を書き換えてしまうのは、ご法度です。
ましてや、今回の件は本来死ぬ運命だった人間がなぜか死なず、まだ寿命を迎えていない人間がわけがわからず魂の状態で地獄界にいる‥‥
しかし、魂の帳簿を見れば、軽く千年前にまで遡ります。…つまり、私たちの気付かないところで、隼人と同じように遭われた方がいる、ということになりますね」
はぁーぁ… と盛大に溜め息つく椿に、琥珀も同じく溜め息を溢した。
「……とりあえず、君をどうするかですね」
「え?」
「……だな。隼人は死者といやぁ、死者になるが本来、生者側だろ?それを強引に人間という器から魂を抜き取った状態だから…
天命を全うして、正規の手続きを踏んで此処へ来た連中とは気配?ちげぇな… 匂いが違うんだよ」
「え゙… 匂いって‥ 俺、臭いってこと!?」
俺、前日もちゃんと風呂入ったんだけどなー、と、腕を上げてスンスン匂いを嗅ぐ隼人に琥珀は首を横に振る。
「いいえ、違いますよ。
―― 匂いというのは‥
生者と死者の匂いのことです。死後、まず死者は死神によって黄泉で天界か地獄行きかの判別が行われます。そして、地獄行きになった罪人は閻魔大王を含めた十王によって生前の罪を裁かれます。………… そして、罪人を適材適所に振り分けられます。……地獄といっても様々です。
餓鬼もいますし、鬼もいます。特に彼らは残虐な生き物です。餓鬼は何でも喰らいますし、鬼も… 特に生きた人間の肉を好みます。
あなたのような生者の匂いを纏わつかせた魂は彼らにとってご馳走にしか見えません。なので、一人での行動は『俺、まだ喰われたくない!!』
青ざめた表情で琥珀に縋り付く隼人に椿は溜め息ついた。
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