6 / 41
プロローグ
『琥珀の奥の手と ” 呪 ”
しおりを挟む
「わーかってるって!だから、俺達から極力離れるなよ?
………で、どーすんだよ?"琥珀様"」
「………」
「俺パス!考えるのは得意じゃねぇからな。こういうのはお前のほうが得意だろ?閻魔大王の第一補佐官サマなら」
「…………」
「……はぁ、とりあえず彼は私の部下ということにします。ま、部下という名の保護ですが。彼を一人にするわけにもいきませんし」
「それはいいけど、他の連中はどうすんだよ?他の補佐官の連中なら、術で何とかなるが‥
さすがに、十王、相手には効かねぇぞ?」
「そこなんですよね‥」
小さく溜め息つく
「……ふぅ、どうにかなりませんかね?椿」
「いや、策士のお前に答えられないなら俺が答えられるわけねぇーだろ」
腕を組み、投げやりに言う椿に琥珀は仕方ないですね、と溜め息つく
「……奥の手を使います」
「は?奥の手‥‥‥って、お前まさか」
「えぇ、彼には地獄界のモノを食してもらいます」
「つーか、奥の手もなにも… 最終手段じゃね?それって」
肩を竦める椿に琥珀は半眼の目を向ける
「じゃあ、聞きますがその他に方法がありますか。手っ取り早く迅速に手を打てる方法が?」
「んなこと言うけどなぁ、そもそも天界・地獄界・人間界・魔界じゃ、考え方も違けりゃぁ、口にするものも違う。大体、隼人はどちらでもないだろ。
そんな隼人に、いきなり此処のモノを食させるなんて… 拒絶反応が出たらどうすんだよ?」
「………じゃあ、どうしろと?」
そう聞き返す琥珀は少し疲れた表情だった。
椿に問えど、返ってくる言葉は無言。それに対し、困惑した表情を向けてくる隼人に小さく溜め息つく―
「……仕方ありませんね」
「おい…?」
仕方ありませんね、と言うなり、隼人の前髪を上げ、あらわになるその額に人指し指を置く琥珀の行動に椿は怪訝な目を向けた。
「『 』」
小さな声で言葉を紡ぐ琥珀の瞳の色が淡い藍色へ変わる‥。ふわり、と不自然に舞う風が琥珀の髪を靡かせた
「…………お前」
その琥珀の紡ぐ言葉に、驚きに目を見開く椿は強張った表情で琥珀を見つめた―
「……これで、一応はバレないはずです」
いつの間にか、元の姿に戻った琥珀に椿が鋭い目を向ける
「本当!?ありが『待て。今、言ったアレは何語だ?』
「………」
「え?何語って… どういうこと?」
話が見えない隼人は頭に?を浮かべる。それに対し、琥珀は無言で返した。
「……此処は種別関係なしに平等に裁かれる。それはお前にさっき軽く説明したよな?」
「ん?う、うん‥! それがどうかしたの?」
「種別関係なく公平に裁かれる。つまり、人種が違っても、動物であろうと虫であろうと… 此処にいる鬼や餓鬼だって関係なしに此処じゃ、言葉は共通になる……… この意味がわかるか?
さっき、琥珀が言った言語は俺にはわからなかった。
それは… 此処じゃ、有り得ないことだ」
「……はぁ、椿」
琥珀の声に視線を隼人から琥珀へと移す
「言語、と‥ あなたは先ほど言いましたが私が今言ったのは"呪"です。さほど驚くことではありませんよ」
面倒くさそうに溜め息つく琥珀に椿の眉が上がる
「……それに、このことは恐らく"大王"も承知の上ですよ」
「兄貴が‥?」
「えぇ、生前に関係あるんじゃないかと思いますが。でなければ地獄界で私だけが使えるなんておかしいでしょう?まぁ、確かに特殊のケースというべきなんでしょうが。
大王には、あまり人前でコレを使わないようにと言われましたよ」
「………生前…?ってか、本当に言ったのか?いや、そんなはずは…」
納得いっていない表情でブツブツ言っている椿を無視し、琥珀は椿から隼人に視線を変えた。
………で、どーすんだよ?"琥珀様"」
「………」
「俺パス!考えるのは得意じゃねぇからな。こういうのはお前のほうが得意だろ?閻魔大王の第一補佐官サマなら」
「…………」
「……はぁ、とりあえず彼は私の部下ということにします。ま、部下という名の保護ですが。彼を一人にするわけにもいきませんし」
「それはいいけど、他の連中はどうすんだよ?他の補佐官の連中なら、術で何とかなるが‥
さすがに、十王、相手には効かねぇぞ?」
「そこなんですよね‥」
小さく溜め息つく
「……ふぅ、どうにかなりませんかね?椿」
「いや、策士のお前に答えられないなら俺が答えられるわけねぇーだろ」
腕を組み、投げやりに言う椿に琥珀は仕方ないですね、と溜め息つく
「……奥の手を使います」
「は?奥の手‥‥‥って、お前まさか」
「えぇ、彼には地獄界のモノを食してもらいます」
「つーか、奥の手もなにも… 最終手段じゃね?それって」
肩を竦める椿に琥珀は半眼の目を向ける
「じゃあ、聞きますがその他に方法がありますか。手っ取り早く迅速に手を打てる方法が?」
「んなこと言うけどなぁ、そもそも天界・地獄界・人間界・魔界じゃ、考え方も違けりゃぁ、口にするものも違う。大体、隼人はどちらでもないだろ。
そんな隼人に、いきなり此処のモノを食させるなんて… 拒絶反応が出たらどうすんだよ?」
「………じゃあ、どうしろと?」
そう聞き返す琥珀は少し疲れた表情だった。
椿に問えど、返ってくる言葉は無言。それに対し、困惑した表情を向けてくる隼人に小さく溜め息つく―
「……仕方ありませんね」
「おい…?」
仕方ありませんね、と言うなり、隼人の前髪を上げ、あらわになるその額に人指し指を置く琥珀の行動に椿は怪訝な目を向けた。
「『 』」
小さな声で言葉を紡ぐ琥珀の瞳の色が淡い藍色へ変わる‥。ふわり、と不自然に舞う風が琥珀の髪を靡かせた
「…………お前」
その琥珀の紡ぐ言葉に、驚きに目を見開く椿は強張った表情で琥珀を見つめた―
「……これで、一応はバレないはずです」
いつの間にか、元の姿に戻った琥珀に椿が鋭い目を向ける
「本当!?ありが『待て。今、言ったアレは何語だ?』
「………」
「え?何語って… どういうこと?」
話が見えない隼人は頭に?を浮かべる。それに対し、琥珀は無言で返した。
「……此処は種別関係なしに平等に裁かれる。それはお前にさっき軽く説明したよな?」
「ん?う、うん‥! それがどうかしたの?」
「種別関係なく公平に裁かれる。つまり、人種が違っても、動物であろうと虫であろうと… 此処にいる鬼や餓鬼だって関係なしに此処じゃ、言葉は共通になる……… この意味がわかるか?
さっき、琥珀が言った言語は俺にはわからなかった。
それは… 此処じゃ、有り得ないことだ」
「……はぁ、椿」
琥珀の声に視線を隼人から琥珀へと移す
「言語、と‥ あなたは先ほど言いましたが私が今言ったのは"呪"です。さほど驚くことではありませんよ」
面倒くさそうに溜め息つく琥珀に椿の眉が上がる
「……それに、このことは恐らく"大王"も承知の上ですよ」
「兄貴が‥?」
「えぇ、生前に関係あるんじゃないかと思いますが。でなければ地獄界で私だけが使えるなんておかしいでしょう?まぁ、確かに特殊のケースというべきなんでしょうが。
大王には、あまり人前でコレを使わないようにと言われましたよ」
「………生前…?ってか、本当に言ったのか?いや、そんなはずは…」
納得いっていない表情でブツブツ言っている椿を無視し、琥珀は椿から隼人に視線を変えた。
11
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
悪役令息に転生したので、死亡フラグから逃れます!
伊月乃鏡
BL
超覇権BLゲームに転生したのは──ゲーム本編のシナリオライター!?
その場のテンションで酷い死に方をさせていた悪役令息に転生したので、かつての自分を恨みつつ死亡フラグをへし折ることにした主人公。
創造者知識を総動員してどうにか人生を乗り切っていくが、なんだかこれ、ゲーム本編とはズレていってる……?
ヤンデレ攻略対象に成長する弟(兄のことがとても嫌い)を健全に、大切に育てることを目下の目標にして見るも、あれ? 様子がおかしいような……?
女好きの第二王子まで構ってくるようになって、どうしろっていうんだよただの悪役に!
──とにかく、死亡フラグを回避して脱・公爵求む追放! 家から出て自由に旅するんだ!
※
一日三話更新を目指して頑張ります
忙しい時は一話更新になります。ご容赦を……
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる