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プロローグ
――‥ 何故でしょうか。胸騒ぎが…
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「‥‥そうですか。しかし、そう言われても困ります。三人でぞろぞろと行くのも目立ちますし、隼人だって此処の構図を把握しとかなければいけないでしょう?万が一だってありますし。
総合的に考えて私は言ってるんですよ」
「確かに、三人じゃ目立つよね‥ 。」
琥珀の尤もな返答に頷く隼人、
「確かにそうだな。隼人にも早いとこ、地獄界の構図を頭に叩き込まねぇとならねぇし」
仕方ねぇか、渋々、琥珀に同意する椿に琥珀もまた頷く
「……決まりですね。納得していただいて良かったです。では、椿、隼人のことは任せますよ」
今度こそ、琥珀は椿に呼び止められることなく、二人に背を向け、目的地へと足を急いだ。
琥珀は急いでいた…
(あのときは動揺していて気付きませんでしたが、さっき会ったあの老人…)
「なぜ、私を見つけられたのでしょうか‥。というよりも、本来、あの書簡室には各十王の第一補佐官までしか入ることが許されない場所なのに…。況してや、足を踏み入れることさえ出来ないはずなんですが」
(………それに、何故だか胸騒ぎがします)
「いえ、今は考えていても仕方ありません。急ぎましょう」
どうしようもない不安に駆られるが、その不安を取り払うように頭を左右に振り、急ぐ足に、さらにスピードを上げた。
― 書簡室 -
そこには十王含む仕事に関するものや、古代文書‥ 世界創造に関する話や地獄や天界・魔界・人間界など世界が振り分けられる前の創世記の話、閲覧禁止にあたる禁忌の術が書かれた禁術書…… それに地獄でさえ罪を裁くことかできないほどの大罪を犯した者が本に封印されていたり。そういった訳ありの、ありとあらゆる世界の書物が保管されていた。
だから、
十王及び、その側近である第一補佐官までしか足を運ぶことが出来ないはずの書簡室に‥
第一補佐官でもない彼があそこに足を踏み入れていることに危惧を感じないわけがない。
目的地へ着き、目の前の扉を見た琥珀の目が大きく見開かれる。
「扉が…っ!」
―― 空いていた。
― バンッ!!!
「此処で何をしているんですか!」
扉を壊す勢いで開けると、そこにはあの老人ではなく、鬼がいた。
勢いよく開く扉に合わせ、鬼は振り返ると、琥珀の姿を視界に入れるや、その醜悪な顔を歪ませ、口元をニヤつかせた。
「な…ッ 鬼!?」
眉を吊り上げ、見据える先には醜悪な顔をした鬼が書簡を手にしていた。
扉を開けた先に老人がいると思い込んでいた琥珀は鬼の出現に虚を突かれ、咄嗟の反応が遅れてしまう‥
その一瞬の隙を鬼は見逃さなかった。
虚を突いて琥珀に襲い掛かる。
しかし、琥珀も瞬時に置かれた自分の状況を把握し、体勢を整え直し、術を放つ――
―― ドォォンンンッッ!!!!
前につき出す琥珀の手から放たれた凄まじい光の球体は鬼を襲った。
「………」
手応えをそれなりに感じた琥珀は安堵の溜め息を漏らす
―― が、しかし‥
視界の端で何かが横切るのを捉えた。
それは、
琥珀から攻撃を受け、片腕を失ったらしい鬼が本来、鬼の持つ高い瞬発力を利用し、この場から逃げるところだった。
「しま…っ!?待ちなさいッッ!!!」
慌てて追いかける琥珀はその様子を誰かに見られていることにも気付かず、ただひたすら事態を早急に収拾することだけを考えていた。
総合的に考えて私は言ってるんですよ」
「確かに、三人じゃ目立つよね‥ 。」
琥珀の尤もな返答に頷く隼人、
「確かにそうだな。隼人にも早いとこ、地獄界の構図を頭に叩き込まねぇとならねぇし」
仕方ねぇか、渋々、琥珀に同意する椿に琥珀もまた頷く
「……決まりですね。納得していただいて良かったです。では、椿、隼人のことは任せますよ」
今度こそ、琥珀は椿に呼び止められることなく、二人に背を向け、目的地へと足を急いだ。
琥珀は急いでいた…
(あのときは動揺していて気付きませんでしたが、さっき会ったあの老人…)
「なぜ、私を見つけられたのでしょうか‥。というよりも、本来、あの書簡室には各十王の第一補佐官までしか入ることが許されない場所なのに…。況してや、足を踏み入れることさえ出来ないはずなんですが」
(………それに、何故だか胸騒ぎがします)
「いえ、今は考えていても仕方ありません。急ぎましょう」
どうしようもない不安に駆られるが、その不安を取り払うように頭を左右に振り、急ぐ足に、さらにスピードを上げた。
― 書簡室 -
そこには十王含む仕事に関するものや、古代文書‥ 世界創造に関する話や地獄や天界・魔界・人間界など世界が振り分けられる前の創世記の話、閲覧禁止にあたる禁忌の術が書かれた禁術書…… それに地獄でさえ罪を裁くことかできないほどの大罪を犯した者が本に封印されていたり。そういった訳ありの、ありとあらゆる世界の書物が保管されていた。
だから、
十王及び、その側近である第一補佐官までしか足を運ぶことが出来ないはずの書簡室に‥
第一補佐官でもない彼があそこに足を踏み入れていることに危惧を感じないわけがない。
目的地へ着き、目の前の扉を見た琥珀の目が大きく見開かれる。
「扉が…っ!」
―― 空いていた。
― バンッ!!!
「此処で何をしているんですか!」
扉を壊す勢いで開けると、そこにはあの老人ではなく、鬼がいた。
勢いよく開く扉に合わせ、鬼は振り返ると、琥珀の姿を視界に入れるや、その醜悪な顔を歪ませ、口元をニヤつかせた。
「な…ッ 鬼!?」
眉を吊り上げ、見据える先には醜悪な顔をした鬼が書簡を手にしていた。
扉を開けた先に老人がいると思い込んでいた琥珀は鬼の出現に虚を突かれ、咄嗟の反応が遅れてしまう‥
その一瞬の隙を鬼は見逃さなかった。
虚を突いて琥珀に襲い掛かる。
しかし、琥珀も瞬時に置かれた自分の状況を把握し、体勢を整え直し、術を放つ――
―― ドォォンンンッッ!!!!
前につき出す琥珀の手から放たれた凄まじい光の球体は鬼を襲った。
「………」
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それは、
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「しま…っ!?待ちなさいッッ!!!」
慌てて追いかける琥珀はその様子を誰かに見られていることにも気付かず、ただひたすら事態を早急に収拾することだけを考えていた。
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