― 閻魔庁 琥珀の備忘録 ―

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プロローグ

お前らにあいつの後釜が務まるわけがないだろ!

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「どこも何も、何故あなたにそれを言わなければいけないんですか」

「――ッ!」

「私がどこで何をしようと私の勝手でしょう」

という私にエイは言葉を詰まらせたようです。本当にもう何なんでしょうか…。

とりあえず、椿にバレると面倒なので行き先が突き止められないように先に姿をくらませることにしましょうか。

「隼人のことは椿に任せます。後のことは… 私が感知しないものとするのでご自由に。それでは皆さん、ご機嫌よう。
あぁ、13王達に伝えておいて下さい。貴方達のおかげで私は自由を得ることが出来ましたと。もう戻るつもりはないので直にお礼が言えないのが悔やまれますが、

この喜びを伝えられないのが残念です、と… 言づて、宜しくお願いしますね。それではさようなら――。」

椿の止める声を無視し、颯爽と踵を返すと捕まる前に転移の術を発動した――。

――――――‥
――‥

「くっそ!どうしてくれるんだよ!!」

颯爽と涼しげに… だけど、その口元に深い笑みを浮かべて去っていった琥珀に、椿は自称勇者に掴みかかった。

「ちょっ、ちょっと落ち着けって!」

苦しげに咳込む勇者の顔にハッと我に返って慌てて止めに入る。

「落ち着けって?これが落ち着いていられるかよ!!!こいつらにあいつの後釜が務まるわけがないだろ!」

俺の剣幕に慄く勇者にライが庇うように前に出る

「そんなことわからないだろ!」

「……っとうに、お前ら馬鹿だな!!いいかよく聞け!あいつがあれでなんで閻魔大王の第一補佐官の席に就いていると思う?
閻魔大王は他の13王の中でも極めて頂点に立つ存在だ。
つまり、仕事も他のところに比べてそれなりに過酷なわけだ。わかるか?そんな役職にそこらの並み大抵な奴らが務まるわけがないだろ!!」

ちっと舌打ちする椿の剣幕に押されて、エイ達は口を閉ざす。

――‥ が、

「そ、そんなことわからないだろ!!琥珀に出来たんだ!俺だって出来るに決まって!!!」

勇者が俺だって出来ると言い張るけど、あぁやめて!!これ以上、椿を怒らせないで。

「務まるわけないだろ!この過酷な仕事に、ついてこられたのはあいつだけだからな。あいつは… 閻魔大王の第一補佐官 ” 589代目 ” なんだぞ」

「「「…………」」」

「ご… 589代目!?」

とてつもないその桁に声が裏返った。 
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