リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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60_体育祭役員

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「今日は運動会の役員と出場競技を決めるぞ」

コウヤ先生はだるそうな声でそう言った。もっとやる気出せよ。仮にも教師なんだから。

あれからセルトは何事もなかったように日常を過ごしている。今だって。朝はなんだったんだ。

「じゃあ、リトルとルクスリアが借り物競走な。」

「!?」

俺はびっくりして立ち上がった。なんでだ。なんで他の競技は全部埋まってるんだ!

「お前がぼーっとしてるのが悪い。お前後で準備室来い」

「え!いやいや、それは良いとして借り物競走は嫌です!」

「なんでぇ?リトちゃん私と一緒に仲良くしましょ?」

姐さんは俺の首にまとわりついてくる。ちなみに呼び方は姐さんに強制された。

「1人でしてください!ととにかく俺は役員なんて絶対嫌だ!」

この学校では、借り物競争に参加する人が役員をすると言う決まりがあるってゴウ先輩から聞いたことある。だから、借り物競争が残ったのだ。

「うるせぇ。もう決まったことだから、ぐちぐち言うな」

「勝手に決めないでください」

なんで、ヒルエは声をかけてくれなかったんだ。今も目を合わせてくれないし!

「良いじゃないの~。もう諦めなさい」

「むぅ…」

膨れているとヒルエがやっとこっちを向いた。そして俺に向かって口パクで「バーカ」と言った。酷すぎる。ヒルエはちゃっかり1番楽な100メートル走にしてるし!俺もそっちが良かった。

「んじゃ、決まりな。会議が明日あるから遅れずに行けよ。以上、終わり。おつかれ」

そう言って先生は教室を出て行く。最後まで適当だな。



-—————


「タバコ臭い…」

「換気しろ」

優雅に椅子に座ってそう言ったコウヤ先生の頭をこづく。自分で定期的にしろよ。「いてぇ」とだるそうに言うコウヤ先生を横目に俺は掃除を始める。

「久しぶりの掃除だけど、相変わらず汚いね…」

「お前がサボるからだ」

「しょうがないじゃないですか。色々あったんですから。夏休みはフィルさんところに帰ってましたし」

「そうえば、魔法はうまく言ってんのか?」

「…」

俺は先生から目をそらす。あれから魔法は成功してない。どころか練習をサボっていたりする。

「はぁ…あの魔法はお前を守る手段だ。しっかり練習しろ」

「…はい」

先生にはお見通しみたいだった。しょうがない。毎日少しづつ練習しよう。嫌だけど。

「あの魔法は心に反応する」

「心…」

俺は胸に手を当てる。確かに刻んでいる鼓動を感じることができても、心の一部分だけ感じることはできない。

「お前の心を探せ。過去に縛られるな。そうすれば、また、ここで掃除ができる」

コウヤさんはそう言ってタバコに火をつける。俺の心を探す…。俺の心はどこにあるんだろう。俺は無意識に耳のピアスに触れる。

「考えすぎんな、バカ」

「…掃除中にタバコ吸わないで下さいよ」

「うるせぇ」

先生はだるそうに言うと目を閉じた。俺はため息をついて掃除を始める。

心の在り方を探そう。
いつまでも平和な日常を送るために。
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