リトル君の魔法学園生活

鬼灯

文字の大きさ
67 / 102

67_ラビ

しおりを挟む
「リトル!!」

ヒルエの声がして目が覚めた。そこにはヒルエ、ギル、セルトもいた。

「どうして…」

俺は涙を流す。姐さんはまだ探していたんだ。お姉さんの髪飾りを。命より大事なものを。でも、お姉さんの髪飾りはお姉さんと一緒に燃えてしまった…わかっているはずなのに。

「リトルが、帰ってこないから心配して探したんだよ。無事でよかった」

「俺は姐さんの世界へ…そうだ、姐さんは!?」

「7つの大罪…色欲はあの中だ」

黒い渦の中に姐さんは虚に立っている。大きな声で名前を呼ぶが返答はない。

「悪魔の力が暴走している」

ギルが顔をしかめて言った。どうして急に…

「その通りー!正解正解!」

急に知らない声が聞こえて、上を見る。そこには少年が立っていた。金色の短い髪にセーラーの服。けれど、その笑みはあどけない中に狂気を宿していた。

「僕はデイブレークのラビ!よろしくね!」

「デイブレーク!?」

セルトは俺の前に立つ。可愛い顔して男らしい。

「そうさ。僕たちは蘇った!」

「リトル、フィルを呼んでこい」

「お、おう!」

俺はすぐに走る。さっきまで意識がなかったやつに頼むなよとは思うがヒルエの人選は正しい。俺はこの中で1番弱い。

「ざーんねん。ここからは…」


「ぐへ」

俺は見えない壁にぶつかった。鼻をぶつけてしまった。痛い。

「僕たちだけのステージさ。外の奴らは気づかない。まぁ、2人気づいてるみたいだけどね」

「結界だね。どうする?」

セルトはヒルエに問う。こういう時の判断力はヒルエが長けている。なんたって首席だ。

「こいつを俺たち4人で片付けるのは難しいだろう。あいつの言っていた2人はおそらくフィルと理事長だろう。なら動いてくれてるはずさ。まずは、生き残るために時間稼ぎだ」


「ちょっとは頭が回るみたいだね。でもまぁ、僕1人だけっていうのも盛り上がらないからさー。ゲスト…いるよね」

ラビが手をかざすとそこから3人の人間が出て来た。全員バンダナで顔を隠している。というか全員体型とかは違うのにどこか似ている。

「この子たちは僕が作った僕のしもべ。もちろん強いよ」

「まずいな。一対一になる可能性が高い。リトル…」

わかってる。俺が1番危ない。

「対戦相手はこちらで決めさせてもらうよ。フィールド」

詠唱もなしに魔法を展開させたと思ったら、俺たちの足元はぐらりと揺れた。なんともいえない浮遊感に俺は目を瞑る。

「「「リトル!!」」」

3人が俺の名前を呼んだ気がしたが、俺はみんなの名前を呼ぶことができなかった。気持ち悪い。

やがて、浮遊感は消え、足が地についた。ゆっくりと目を開ける。

「いらっしゃっい。僕の世界へ」

お菓子の家にぬいぐるみがたくさんある街の真ん中でラビは不敵に笑っていた。ああ、俺死ぬかもしれないよ。フィルさん。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

処理中です...