リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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74_ルクスリア

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俺はゆっくり目を開けた。目の前には見慣れた天井があった。

「いつっ」

少し体を起こすと痛みが走り、またベットに戻って行く。

「目が覚めましたか。リトセクトル君。君はよく怪我をしますね」

少し怒った様子のミーナ先生がカーテンを開けて俺を見る。怖い。

「すいません…」

「はぁ…まぁ、今回はあなただけの所為ではありませんので許しましょう。ねぇ、コウヤ先生?」

「…」

カーテンから顔をのぞかせているミーナ先生の奥にはコウヤ先生がいた。ここからでもわかる。怒ってらっしゃる。

コウヤ先生はゆっくりと俺に近づく。すると、おでこにデコピンをした。

「いでっ」

「…これで勘弁してやる」

「…ありがとう」

ガラガラッ

「うっす。起きてるか?リトル」

「フィルさん」

「なんだ、色欲はまだきてねぇのか?まぁ、あいつ魔力、今少ないしな。転移もできねぇのか」

頭をガシガシしながらフィルさんは俺に近づく。すると、魔方陣を展開した。

「光は天使の加護を受け、子羊を癒さんと祈りを纏うーーーヒール」

暖かい光が俺を包む。さっきまで動くこともままならなかった痛みが引いていく。さすがフィルさんだ。

「ありがとう、フィルさん。全然痛くない」

「俺が処置したんだから当たり前だろう。もう少ししたら色欲が来る。しんどいかもしれないが話を聞いてやってくれ」

「姐さん」

「はぁ、はぁ、なぁに?」

「遅かったじゃねぇか。コウヤ、ミーナ行くぞ」

フィルさんに声をかけられた2人は黙って部屋を出て行く。

「リトルを見ろ」

フィルさんはすれ違いざまに姐さんに何か言ったが俺には聞こえなかった。

「リトちゃん。あのね…」

「姐さん、体大丈夫なの??」

「え?…ああ、大丈夫よ。問題ないわ」

姐さんは自分の体を触りながら答える。良かった。大変だっただろう。

「じゃあ、劇できるな。頑張ろう」

「はぁ?この状態で劇するの…?」

「しないの?」

「できないでしょう…」

「どうして?姐さんも俺も生きてるじゃないか。どうして出来ないんだ?」

まっすぐ姐さんを見つめる。その視線は姐さんの目を一瞬捉えたが、すぐそらされた。

「私の過去を知ってるんでしょう。怖くはないの…?私はまだ探してるのよ」

「気がすむまで探せばいいよ。見つかっても見つからなくても生きていれば大丈夫だと思う。それに、過去のことはもう変わらないのだから今の姐さんを見るしかないでしょ」

「今の私…」

「ルクスリアさんはルクスリアさんで良いんだよ」

姐さんは泣きそうになるのを我慢している様子だった。クルッと後ろを向く。

「私、先に準備に入ってるわ」

「もうそんな時間…?俺もいく…!」

「来ないでよ…!」

「行く」

俺は急いでベットから降りる。その時足がもつれて転んでしまいそうになってしまった。びっくりして目を閉じる。痛みはやって来ない。姐さんが支えてくれていた。

「もう、世話がやけるわね!行くわよ」

姐さんは俺の手を引いて歩く。俺は思わず笑ってしまい、姐さんもつられて笑った。
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