73 / 102
73_白と赤
しおりを挟むフィルside
意識を失ったリトルをヒルエに運ぶように言った。ヒルエは「無茶させんじゃねぇ」と悪態をつきながら、リトルを運んだ。俺とレルクは色欲を連れて理事長室に転移する。
「そなた、リトル君が死んでも良いのかえ」
「…良いわけねえだろう」
「じゃあ、なぜあのようの事をさせたのでありんす」
魔力を介して相手に与えることは、至難の技だ。相手の魔力が大きければ、大きいほど魔力消耗は激しく生命に関わってくる。
「リトルなら、できると思った。精神系の魔法を解くには、ただ魔力を流せばいいってもんじゃない。魔力に込める想いが重要なんだ。俺が魔力を介しても意味はない」
「それは分かっていんす。けれど、いささか危ない賭けだったんじゃありんせんか?しかも、そなたは光属性でリトル君の魔力と同調してしまうから、わっちに任せるしかない。自分の手でできないことにリトル君の命をかけるなど」
レルクは持っている扇子を俺に向けて諭すような声色で言った。
「…」
「そなたは昔から変わらぬな。大事な事は語らぬ」
「…違うさ。別に語るほど考えちゃいないだけだ。俺はシンプルなものが好きだ」
「…ことはそんなにシンプルじゃありんせん。今回のことではっきりしんす。リトル君は…」
「違う。あいつは俺の弟子だ」
怪訝そうな顔をする。レルクはため息をついた。
「うう…」
「目が覚めたでありんすか。色欲のルクスリア」
「…ごめんなさい」
「記憶があるのか?」
「ええ。覚えているわ。私があいつが侵入する入り口を作ってしまったのね。任務中なのに失態だわ…」
頭を抱えて苦しそうな顔をする。俺はルクスリアに近づき、治癒の魔法を施す。もともと、傷は切り傷ぐらいしかない。
「どうして…」
「お前がいなくなるとリトルは悲しむぞ。劇の相手がいなくなる」
「劇なんてもうどうでも良いでしょう…」
「そんなことないと思うぜ。行ってみろよ。リトルのところ」
ルクスリアは少し考え込んだ後に、ゆっくりと立ち上がる。
「…行ってくるわ。確かめたいことがあるの」
ルクスリアは部屋を出ていく。表情はあまり良くなかったが、リトルならどうにかするだろう。
「難儀でありんすね。あの子達も。数奇な運命でありんす」
「ああ、だからこそ、リトルと相性が良いだろうよ。あいつもまた、数奇な運命に振り回されてる1人だ」
「もし、相性が悪かったらどうするのでありんすか?」
「決まってんだろう。リトルを傷つけるやつは許さない」
俺はレルクはキッと睨む。レルクは面白そうに笑った。
「怖い怖い。白の王も昔と変わったでありんなぁ」
「お互いにな。それより、後の7つの大罪注意しとけよ。俺はリトルのところへ行く」
「はいはい」
俺は転送魔法を展開する。リトル、お前は俺が守るから。
1
あなたにおすすめの小説
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる