リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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31_ダンス

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生徒はもう踊ったり、食事をしたりしている。俺は動いてもいいかがわからず動けずに居た。

「これって俺たちも動いていいのか?」

「らしいぜ。んじゃ、行くか。お手をどうぞ、お姫様」

ヒルエは雑に手を差し出す。ドレス着ているからって茶化すなよ。まぁ、せっかくだからその手をとってやった。

「うぉ!」

ヒルエは少し強く俺の手を引くとホールで皆んなが踊っているところまで行く。ちらっと見えたが、セルトは親衛隊達に囲まれて居た。

「踊るぞ」

「マジっすか、ヒルエさん」

俺に返事をせずにヒルエはステップを踏み始める。俺も慌てて、ステップを踏んだ。ヒルエ意外にうまい…。

「最近いなかったのは、この練習か?」

「うん。俺、全然踊れなかったから」

「よくもここまでお前を踊れるようにしたもんだ。会長をはじめて尊敬したよ」

「それ、なんか傷つく」

ヒルエと俺は喋りながらも踊りきる。お互いに礼をして一旦抜け、ジュースが置いてあるところまで行く。

「ヒルエ、俺甘いジュース!」

「ほらよ」

「ありがとう!あ、セルトだ」

セルトは囲っていた親衛隊をなんとか振り切ってこっちに来た。セルトは白いスーツで正装をしている。イケメンめ。

「リトル!すっごく可愛いね。生徒会のパートナーに選ばれたのは癪だけど。しかも、ヒルエまで選ばれるなんて」

「不可抗力だ」

「同じく!」

「まぁ、こんなに可愛いリトルが見れたから良しにしようかな。では、リトル。僕と一曲踊ってくれるかな?」

セルトは優雅に一礼して手を差し出す。見た目が良いからまるでどこかの王子様のようだ。イケメンめ。

「俺で良いのか?」

俺は親衛隊の方に少しだけ視線を送る。めちゃくちゃセルトと踊りたいというような視線でこっちを見ている。

「リトルが良いんだ。ダメかな?」

「セルトが良いなら、良いよ」

セルトは俺の手を握って、ホールに出る。そして、ダンスを始める。セルトは流石というかリードがめちゃくちゃ上手い。とても優しくて安心する。

「リトルに触るのも久しぶりな気がするね」

「まぁ、色々あったからな。その節はお世話になりました」

「僕的にはもっとお世話になって欲しかったな。僕はリトルのこと大好きだから、頼ってくれたら嬉しい」

思わぬ言葉に、顔に熱がたまる。

「ありがとう//」

俺は俯いてお礼を言う。顔が真っ赤だから見られたくなかったのだ。

「もう!リトルすっごく可愛い!」

「さっきから可愛いばっかり言いやがって…」

「本当のことだからね。でも、それって会長のための装飾なんだよね…。そうだ!今度僕と服を買いに行こうよ。コーディネートさせて」

名案だっと言うように笑顔で言ったセルト。でも、俺は服に無頓着だからそういうのをしてくれると正直助かる。

「いいぜ!」

「ありがとう、ちゅ」

セルトは曲が終わって俺の手にキスを落とすと、礼をした。

「…イケメン滅びろ」

「ふふ、リトルがそう思ったんならドキドキしたって事かな」

「知るか//」

俺はセルトに背を向けて、ヒルエがいるところまで戻っていった。セルトもそれについて来ようとしたが親衛隊に阻まれた。

「次は僕と踊ってください!」
「いいえ、私と!」

「セルトは相変わらずの人気だな」

「流石だな。まぁ、あの方達には負けるけどな」

ヒルエが目配りしたのは、風紀委員会と生徒会だった。今はブースにいる者もいれば、ホールに出ている者もいる。

「あ、ゴウ先輩だ。なんか久しぶりに見た気がする」

「風紀委員会は生徒会ほどみんなの前に顔を出さないからな。見回りの時も合わないし」

俺がゴウ先輩を見ているとゴウ先輩がこっちに気づいて来た。

「よぉ、リトル!良い格好してるな!良かったら俺と踊らないか?」


何時もだったら断るんだが、今日は、無礼講だ。今日のことで親衛隊が動くことはない。というルールらしい。破ったら退学よりも恐ろしい罰があるとか…

「良いですよ」

俺はゴウ先輩の手をとってホールの方へ行く。

「誘っといてなんなんだが、俺はそんなにダンスは得意じゃなくてな。最初に謝っておく」

「俺もそんなに得意じゃないので、お互い様です。むしろ安心しました」

上手い人ばっかりだったから、やっぱり精神がすり減る。

「そう言ってくれると助かる。よし、んじゃ、俺たちは楽しむことに専念しよう!」

「はい」

先輩は軽快にステップを踏み始める。先輩が楽しそうにするため、俺も楽しくなってくる。


「今年はお前と踊りたいと思ってたんだ。良かった」

「はい!俺も先輩と踊れて良かったです」

お互い礼をしてダンスを終える。俺と先輩はさっきの場所に戻る。先輩はすぐさま、親衛隊に囲まれた。流石、風紀委員…。

俺はヒルエとセルトの姿を探す。すると、ホールで踊っている2人を見つけた。そのため、俺はギルを探す。ギルは端の方でジュースを飲んでいた。黒いスーツを着て、そうしている様はまるで、映画のワンシーンだ。声をかけても良いのだろうかっと思ったが、今日は無礼講だ。

「ギル」

「リトル…話しかけるな。お前まで除け者にされるぞ」

「何言ってんだよ。誰も気にしてねぇよ。こんだけイケメン様がいれば、そっちに夢中だよ」

「…」

俺はギルの隣に立って、ジュースを飲む。どうやらギルは諦めたようだ。

「リトル、暇なのか?」

「まぁな」

「じゃあ、俺と踊らないか?迷惑だろうが…」

ギルの誘いに俺は嬉しくなる。やっぱり、友達として踊っておきたいと思っていた。てっきり、ギルは断ると思っていた。俺はギルの気が変わらないうちにギルの手を引いて、ホールに向かう。

「迷惑じゃない!踊ろう」

「ありがとう」

にこっと微笑むギルはやっぱり絵になる。イケメンめ。俺たちは踊り始める。

「リトル、そのドレスとても似合ってる」

「ドレスが似合ってると言われてもな…。どうせなら、お前みたいなかっこいい感じが良かった」

「リトルにはそっちの方が似合うと思うぞ」

「だから嬉しくないって」

お互い笑い合う。心がワクワクしてるから、自然とステップが踏めている気がした。普段、なかなかギルと話したり、遊んだりできないから嬉しい。

「リトル、その…ありがとう。声をかけてくれて」

「何言ってんだよ。友達だろ」

「あぁ、ありがとう」

俺たちは礼をする。そして、さっきの場所に戻る。すると、踊り終わったのかヒルエ達もこっちに来た。流石にこれだけ踊ると疲れる…。

「ギル、ダンス上手いね!俺とも踊らない?踊ってないと囲まれちゃうんだ」

だから、ヒルエと踊っていたのか。

「あぁ、喜んで」

2人はホームに行った。流石はイケメン。周りも釘付けになるほど、絵になっている。

「ヒルエはどうする?」

「俺はもう良い。疲れた。その辺で休憩だ」

「じゃあ、俺はちょっと夜風に当たってくるね!」

疲れたし、運動したから暑い。今ならテラスに誰もいなさそうだし。

「あんまり体を冷やすなよ」

「うん!」

俺はテラスに向かった。
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