リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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39_テスト前日

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昨日のことが忘れられず、寝られなかった。っと言いたいところだが、俺はそんなに繊細ではないんだと思う。ぐっすり寝てしまった。

俺はあんまりよろしくない目覚めに顔をしかめながら、渋々、ベットから起き上がった。

「おい、リトル」

「ん?」

ヒルエが遠慮もなしに部屋に入ってくる。ノックくらいしろ。

「お前、なんかあったのか?」

鋭い。さすが、幼馴染だ。

「な、なんもないぞ?どうして?」

「挙動不審だ。どうせ、副委員長様のことだろ」

「あは~」

「まぁ、やばくなる前に言えよ。後、飯作って。お腹すいた」

そう言って、ヒルエは部屋から出て言った。あいつのああいうとこが嫌いじゃないんだよな…。俺をゆっくりと起き上がって、ヒルエのために料理を作り始める。


「明日からテストだったよな。なんかお前のんびりしてんな」

ガッシャン

「ん?」

俺は出汁に味噌を溶かしていたお玉を壮大に床に落とした。

「忘れてた…」

昨日のことが衝撃的すぎて明日がテストだったことを忘れていた。本当は昨日も徹夜で勉強しなきゃいけなかったはずなのに。何してんだよ俺。何してんだ。

「ヒルエ…どうしよおおおお!!」

「とりあえず、味噌汁作れ。腹減った」

「どうしようどうしようどうしよう」

俺はブツブツとつぶやきながら拾ったお玉を軽く洗って味噌を溶かし始める。

「お前は呪いのスープでも作ってんのかよ…」

ヒルエは呆れたようにこっちを見ていた。

「ヒルエ…今日はお前だけが頼りだ」

「はぁ…しゃあねぇな。お前、三食作れよ」

「作る!!」

これでなんとかなるかもしれない。俺は気合を入れ直し、味噌汁の味見をした。



----------------------



「もう無理…」

「おい、まだ2時間だ」

「だってだって、難しすぎるんだ。俺の頭はショート寸前だ」

「たく…」

ガチャ

「こんにちわ。リトル達居る?勉強してると思ったから差し入れ持ってきたよ!」

部屋に入ってきたのはセルトとギルだった。

「あ、シュークリーム!!ありがとう!!」

俺はシュークリームを袋から出し頬張る。甘い!うまい!

「甘やかすなよ」

「時には休息も必要だよ。ねぇ、ギル」

「あぁ、こいつの場合は特に必要だろ」

「「「…」」」

視線を感じる…。

「なに…?」

「確かに馬鹿だからな」

「頭の中が砂糖だからね…」

「失礼だぞ…お前ら…俺だって悩みくらい…」

副委員長のこととか。副委員長には言った方がいいんだろうか…。でも、もう1人の人格がいますよなんて言えねぇ…。

コツンッ

「僕に頼ってって言ったよ」

「俺も力になる」

「お前ら…じゃあ、俺と徹夜で勉強」

「僕、カレー煮込んでたんだった」

「それは大変だ」

「俺も味見」

3人は打ち合わせをしたかのように謎のコントを始め、部屋から出ていこうとする。

「待て待て!」

「俺、テスト勉強とかしねぇし」

「僕は夜寝ないと朝練あるし」

「俺はそこそこ取れればいい」

「お前ら…もういいよーだ!俺は旅に出る!」

「「「行ってらっしゃい」」」

3人は俺に手を振る。なんなんだお前ら。ギルまで酷いぞ。

俺は目に水分を感じながら、部屋を出た。
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