リトル君の魔法学園生活

鬼灯

文字の大きさ
58 / 102

58_7つの大罪について

しおりを挟む


「7つの大罪について説明するぞ。てめぇのせいで話が脱線したからな」

俺のせいじゃないが、ここで我慢するにが大人だ。俺は大人だ。

「めんどくさいから一回で覚えろよ。傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、色欲、強欲、暴食を7つの大罪という。7つの大罪それぞれには悪魔が関係している。傲慢にはルシファー、嫉妬にはレヴィアタン、憤怒にはサタン、怠惰にはベルフェゴール、色欲にはアスモデウス、強欲にはマモン、暴食にはベルゼブブ」

…覚えられない。
多いよ。7人もいるなんて聞いてない。でも、それを言ったら確実に怒られる。

「あいつらはこの7つの大罪になぞらえて集められた罪人だ。暗部として名前を捨て、偽りに名でこの世に存在している。噂じゃ悪魔持ちらしいぜ」

暗部…国の裏の仕事や機密に関わる仕事を人知れずこなす者。悪魔持ちとは悪魔に魅入られ、契約したものの事だ。闇落ちとは違う。闇落ちは悪魔と取引をして悪魔の力を使う。悪魔持ちは言うなれば悪魔に一方的に契約させられた人間。悪魔に取り憑かれた状態のことだ。というか罪人ってめちゃくちゃ危険な奴らなんじゃ。一層関わりたくなくなった。というか関わっちゃいけない。絶対に危険。イケメンだしな!


「予言とかいう馬鹿げたものが出たからな。ここには貴族も多いし、護衛と調査ってところだろう」

「トワイライト…」

トワイライト…その名前を聞くたびに心臓を鷲掴みにされている気分になる。

「…まぁ、お前が変なことしなきゃ向こうは何もしないだろうよ」

「もうすでにされてるんですけど…」

なんでそんな奴が俺に構うんだ。仕事しろよ仕事。暇なのかよ。

「いざとなったらまたここに来い。流石に転移先にまで押しかけては来ないだろう」

「ありがとうございます。あの…もう少しいても良いですか?

「好きにしろ」

「好きにします…」

俺はかい…レンのそばにいるのが安心だと判断した。ヒルエにも相談しよう。絶対関わらない。

——————

バカが早速、7つの大罪に懐かれた。トラブルメーカーはやっぱりトラブルメーカーだ。こっちの身にもなってほしい。

「はぁ…」

買い出しからの帰り。8時にはまだ少し早い。ついため息が出てしまう。もう少しで部屋につくというのに憂鬱だ。部屋には呑気な顔で寝ているリトルがいるんだろう。

「チッ」

部屋の前が見えてきた。俺は部屋の前に群がっている蛾に舌打ちが出た。

「人の部屋の前で何してやがる」

俺が声をかけるとそいつらは俺の方へ向く。

「やぁ、ヒルエ君。こんばんわ」

「ヒルエちゃん、リトちゃんが居ないようなのよ。どこ行ったか知らないかしら?」

あいつ、うまいこと逃げたな。そういう運だけは持ってんだよな。

「失せろ。リトルに関わるんじゃねぇよ」

「男の嫉妬は見苦しいぜ」

「嫉妬?そんな生易しいもんじゃねぇよ。強いて言うなら嫌悪だ。俺はリトルがお前たちに飲み込まれることを良しとしない」

「はっ。随分と過保護じゃねぇか」

「まぁ、リトルさん可愛いですし」

いちいちうざいな。7人も相手にすると疲れる。

「過保護?お前たち7つの大罪に絡まれたら誰でも心配するさ。普通だろ?」

「お前!」

憤怒が俺に襲いかかろうとする。

スッ

それを横から手を出し、傲慢が止めた。

「君はどこまで知っているんですか?」

「ほぼ全部かな」

「どこでその情報を知った!」

「傲慢、お前たちに俺が教えると思っているのか?愚問だ」

「いちいち言ってくれるね」

怪訝そうな顔をして嫉妬は言った。

「お前何者?」

怠惰が怠そうな様子で訊ねる。

「俺はリトルの…。チッ、お前らとにかく帰れ。邪魔だ」

「今日はそうさせてもらおうかしら。でも、私たちは諦めないわよ。ララに誓ってね」

そいつらは軽く微笑むと去って行った。

「ララに誓って、ね…馬鹿らしい」

不快な気分だ。
    
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

処理中です...