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林檎くん~エロ少なめ/シリアス/ハッピーエンド~
しおりを挟む「あの…別れてください」
そう口にした林檎は怯えたように相手を見た。その顔色は真っ青だった。
「はぁ?」
告げられた奏の顔は間抜けだった。それもそうだ。唐突に自分の寮の部屋にやってきたと思ったらいきなりそう告げられたのだから。今日は九条先生から林檎は遅くなると聞かされていた。そして、ついさっき九条先生と俺の部屋にきた。まぁ、九条先生はすぐ「ちゃんと守ってやれ」と訳のわからない事を言って去って行ったが。
「突然、ごめんなさい。でも、僕もう…」
「どうしたんだ?また、親衛隊の奴らに何かされたのか!?」
林檎は平凡。一方、奏は爽やか系イケメンだ。そんな、奏にはもちろん親衛隊がおり、その親衛隊は平凡が付き合ってることに納得がいってなかった。そのため、林檎はここ数日、呼び出しやらなんやら危ない目や嫌がらせを受けていた。
「ちがっ…!」
「じゃあ、どうして?俺、何かしたか?」
「…っ…ふぁ…」
「えっ!?ちょ…林檎!?」
林檎は急に泣き始めた。奏はおろおろし始める。林檎は結構、涙を見せないタイプで、奏も長年一緒にいるがあまり見たことがない。
「ヒックっ…ふっ…そ、うさん…」
「とりあえず、泣き止め!な?」
奏は林檎を抱きしめて子供をあやすようにポンポンとする。
「ごめ…ごめん、んなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「よしよし」
ごめんなさいを繰り返す林檎に奏はどうして良いのかわからない。奏にはこうして抱きしめてやることしかできなかった。
「ごめんなさい…ゴホッ。ごめんなさい。ごめんなさい!」
「大丈夫、大丈夫だから」
「うわああああああぁぁぁ」
本格的に泣きだした林檎。その涙に尋常じゃないほどの負の感情を感じた。
「奏くん、ごめ、ごめんなさい!ヒックっ…ああああああああ」
謝りながら号泣する林檎。
「俺は怒ってないから。大丈夫だから」
子供をあやすように優しく。でも、決して崩れてしまわぬように強く抱きしめた。
------------------
しばらくして林檎は泣き疲れて眠ってしまった。泣き腫れた目は痛々しい。奏は自身のベットに寝かせる。そして、林檎のシャツのボタンを二つ外した。
「…んだこれ…」
奏は林檎のボタンを全部外した。そして露わになったのは、白く儚い肌につけられた爪痕のようなものだった。特に心臓の辺りに集中している。奏はシャツを脱がし背中も確認した。そこには、失格という文字が爪痕で書かれていた。
「なんだよ…これ…」
奏は傷をひと撫でした。頭がついていかなかった。誰がこんなことを…。
「んぅ…そう、くん…?…うわぁ!」
林檎は目を覚ますと自身が上半身裸のことに気づき、すぐさま隠した。
「……み、見ましたか?」
「…誰にやられた?」
「ひっ…」
奏は鋭い眼光を林檎に向ける。ビックと怯えたように林檎は目をつぶった。
「悪い…。林檎に怒ってるわけじゃないんだ」
「いえ…」
「何があったか話せ…」
林檎は唇を噛んで俯いた。そして、ポツポツと話し始めた。もともと、その覚悟だったのだ。嫌われる覚悟をしてきた。
------------------
その日、林檎は手紙を受け取った。差し出したのは可愛らしい女の子のような顔立ちの子。しかし、ここは男子校で、女はいないはずである。
「あの…」
「いきなり、すいません!僕2年C組の者です。先輩が好きです!付き合ってください!」
「へ!?」
林檎は驚きの声を上げた。平凡な林檎が告白されたのは奏が初めて。告白に耐性がなかった。
「えっと、僕、かれ「返事はここで放課後に聞かせてください!でわ!」」
彼氏がいるからっと断ろうとした林檎の言葉を遮り、女の子のような美少年は去って行ってしまった。なんだったのだ…。
「まぁ、いっか」
そして林檎は放課後に再び呼び出された場所に行った。そこにはもう美少年が来ていた。
「先輩!来てくれたんですね!」
「う、うん」
「ありがとうございます!でも…」
パチンッ
「ッ!?」
美少年が指を鳴らすと隠れていた数人の男が出てきた。そして、林檎の両手を掴み、紐で拘束した。林檎は精一杯暴れたが、どいつもガタイが良く、力で叶うはずもなかった。
「離して…!離してよ!」
「僕、先輩のこと大っ嫌いなんです。そして、奏様も先輩のことだっ嫌いですよ、あは」
「なっ…!そんなことない…!君親衛隊の人!?」
林檎は即否定した。林檎は奏を信じてる。
「親衛隊?あんなのと一緒にしないでよ。僕は奏様の恋人なの」
「恋人はぼ…ゴホッ!」
林檎は美少年にお腹を殴られて咳き込んだ。痛みで涙が出た。
「君、勘違いしてない?君は唯のストーカー。ほら、これなんだか分かる?」
「ッ!そう、くんの部屋の鍵…?」
「あったりー!奏様、僕にこれくれたんだよ。ストーカーに合鍵取られたからって本鍵の方をくれたの」
「ッ嘘だ!」
「嘘じゃないよ。迷惑なの。奏様も言ってたよ。林檎が迷惑で困るって。ねぇ、服剥いじゃってよ。もちろん、全部ね」
「や、やめて!」
林檎は必死に抵抗する。
「嫌がる素振りが良いね~。もっと嫌がりなよ」
「いやっ!」
「ほらほら、どんどん脱がされちゃってるよ」
男たちは林檎の服をすべて剥いだ。林檎は恥かしそうにそして悔しそうに涙を流す。そんな姿に男たちは息を飲んだ。
「良い様!ストーカーなんてするからそんな事になるんだよ!」
「見ないで…//」
「見ないでだってー!生意気!」
「ぐぁあ!」
美少年は胸に爪を立て、力を入れて引っ掻いた。そこからは血が滲み出ている。美少年は次々と痕をつけていく。
「いだい"!」
「奏様の恋人なんか気取るからだよ」
「ぞう"くんはぼぐのごいびど…」
「まだ言うの?ちょっと、後ろ向かせて」
林檎は後ろを向かされた。何をされるのだろうとビクビクしているといきなり美少年は爪を立てた。
「あ"あああああ」
皮膚を割かれる感覚が背中から脳に伝わる。何か文字を書かれているようだったが林檎はそんなこと気にしていられなかった。
「出来たー!これに懲りたら奏様には一切近づかないでね」
これで終わる…。そう思った林檎は安心した。しかし、それも束の間だった。
「それ、好きにしちゃって良いから」
「はいよ、姫」
美少年はそのまま去って行った。残った林檎は恐怖に身を震わせ絶望していた。これから何をされるのだろう。
「さっそく、頂くとするか…」
男は自身のペ〇スを取り出すと林檎の後ろの穴に当てがった。
「い、いや!やめて!やめて!!」
暴れる林檎を残りの男たちが抑え込む。
「行くぜ~林檎ちゃん」
ズボッ
「いだっ!やだあああ!ぬいでえええ」
慣らされていない穴は痛みしか生まなかった。フ〇ラをさせられ、手で触らされ、精液まみれになりながら何回か中だしされた後、放置され、林檎は気絶してしまった。
林檎が目を覚ますと保健室だった。最初、寝ぼけてボーとしていたが、先ほどされた事を思い出し、青ざめ、吐き気に襲われた。
「目が覚めたか?」
声をかけられそちらを向くと保健室の先生である九条が立っていた。
「今回は派手にやられたようだな…。大丈夫か?」
林檎は返事ができなかった。大丈夫かと言われれば、決して大丈夫じゃない。
「…先生どうして?」
「タバコ吹かそうと思って人気のないところ探してたらお前見つけてな」
そんな理由で…でも、服も体も先生が綺麗にしてくれたようだ。しかし、林檎は精液の匂いがこびりついてる気がして吐き気が治らなかった。
「…ありがとうございました」
「良いってことさ」
「あの、奏くんには…?」
「奏には遅くなることしか知らせてねえ。安心しろ」
「そうですか…」
「それにしても、林檎。泣いてもいんだぜ?」
そう言われて、林檎は自分がやけに落ち着いていることに気づいた。
「いえ、なんか何にも感じなくて…泣き叫びたいと思うんですが、今は奏くんのことで頭いっぱいで…」
「はぁ~。お前はどこまでも奏だな。じゃあ、行くか?奏のところに。送ってやる」
「え!?僕、あわせる顔なんか…」
「良いから!行くぞ」
そして九条に連れられるまま、奏の部屋に行った。
------------------
「だから、ヒックっ、別れて、下さい!」
また、泣き出した林檎。奏の中にどす黒いものが溢れてくる。
「…ごめん、俺のせいだ」
「そんな…奏くんのせいじゃないです!」
「いや、俺のせいだ。林檎が別れたくなるのもしょうがないよな…」
奏は自分の手で頭を書き上げて視線を落とした。
「違う!違うんです…。俺、汚れちゃったから、それに鍵…」
「鍵…!?違う!それはそいつが盗んだんだ!俺は林檎以外に鍵を渡したりしない!それに、林檎は汚れてない」
「ほんと…?でも、僕奏くんの以外の人と…まだ、匂いが残ってる…」
林檎は自身を抱きしめて震えている。奏はたまらずに林檎を抱きしめた。
「本当だ。林檎は汚れてない。林檎がどうしても、気になるならそんな匂い忘れるぐらい俺が抱いてやる。だから、林檎がまだ俺のこと好きなら、俺と一緒にいてくれ…」
「良いの…?僕なんかがいて良いの…?」
「林檎じゃなきゃダメなんだ。林檎が居なきゃダメなんだ…」
「奏くん…!」
林檎は強く奏を抱きしめた。
「痛むか…?」
「少し。でも、大丈夫。ごめんなさい。奏くん」
「もう謝るな。好きだ、林檎」
「僕も、好き」
やっと笑った林檎。奏も笑って返す。しかし、その胸の中は怒りが支配していた。
数日後、林檎を痛めつけた美少年とその取り巻きは逮捕されることになった。通報したのは、奏である。しかし、奏の怒りはそれだけでは治らない。美少年たちが連行される最中、野次馬ができていた。その理由を見たとき、美少年たちは目を見開き絶望に染まった顔になった。
美少年たちが見たのは美少年たちの秘密が書かれた紙が写真とともに掲示板に貼ってあるところだった。
「お前だけは敵に回したくねえわ」
「俺の林檎に手を出したんです。むしろ、ぬるいぐらいじゃありませんか、九条先生?」
「まぁな」
「奏くん!」
「林檎!」
奏は走ってきた林檎を抱きしめると、寮に2人で手を繋ぎながら帰ってきた。
END
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