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第9章
デート "ノエル、アイリス編"
しおりを挟む「ん~!美味いのだー!」
先程屋台で買ったクッキーをポイポイ口に放り込み、幸せそうな表情で頬をいっぱいにするノエル。
その手は止まることを知らず、ものの数分で袋詰めされたクッキーは跡形もなく無くなってしまった。
ノエルが空になった袋を悲しそうに見つめる。
しかし。
「あ、あそこの行列の先にある屋台って、有名な串焼きのお店じゃ……………」
「おーい!真白とアイリスも一緒に並ぶのだ!」
「はやっ!?」
「ふふっ。食いしん坊さんですね、ノエルさんは」
串焼き……………いや、すでに"くs"の部分で反応したノエルが、目にも止まらぬ速度で列の最後尾に陣取っていた。
先程まで落ち込んで肩を落としていたと言うのに俊敏すぎる。
こらこら、最後尾の案内してたお兄さんがびっくりしてるぞー。
そりゃお兄さんからすれば、いきなり目の前に女の子が現れたように見えたのだ。
むしろ驚かない方が胆力がありすぎる。
落ち込んでからの復帰が早いなぁ………。
とりあえず新しく人が来る前に手招きするノエルに追いつき、一緒に列の最後尾に並ぶ。
結構並んでるっぽい。
だいたい十分ちょいはかかりそうだ。
でもこの屋台の鉄板は結構広いし、割とすぐ順番が回ってくるだろう。
さて、ここは王都のメインストリートの中腹辺りに位置した、飲食中心の屋台が軒を連ねる繁華街である。
当然のごとく繁華街と言うだけあって屋台以外にも飲食店が数多く参列し、どれも業界では名の知れた有名店ばかり。
そんな中でも穴場のお店だったり、新興のお店だったりも見受けられて、ここに来るとすごくワクワクする。
今日はノエルとアイリスと共に、そんな場所にデートに訪れていた。
「はい、どうぞ~!熱いから気をつけてね!」
「ありがとうなのだ!」
屋台のおばちゃんから串の先が沢山覗く紙袋を受け取る。
全部で計十二本。
つまり単純計算で、この特大の串焼き肉を一人四本食べることになる。
普通に一食分の量はあると思う。
まぁ実際には、半分以上がノエルのお腹に収まるんだけどね…………。
リーンがやばすぎて霞がちだが、ノエルの食欲も中々侮れない。
特にお菓子や甘いものに関しては何ならノエルの方がバクバク食べてる気がする。
いつか虫歯になってしまわないかだけが若干心配だ。
「あー………むっ!むぐむぐ~………♪」
広場のベンチに腰掛けた俺の股の間にちょこんと座ったノエルが、差し出した串焼き肉に目を輝かせながらかぶりつく。
ま、美味しそうに食べる姿が可愛すぎてどんどん食べさせてるのは俺なんですけどね!
だって自分が作ったやつを美味しそうに食べてもらえたら嬉しいじゃん。
可愛いし。
小動物みたいで可愛いし。
「もぐもぐ………。ご主人様、午後はあそこへ?」
「うん、その予定だったんだけど…………」
「む?ワタシはまだまだ食べられるのだ!」
俺とアイリスの視線に気が付いたノエルが、串焼き肉を二本同時に咥えて振り返る。
どうやらこの女神さまの胃袋にも限界は無いらしい。
「分かった、じゃあこれ食べ終わったら"パラダイ"に行こうか」
「やったなのだ!もぐもぐ、早く食べるのだもぐもぐ美味いのだ」
「もう、ちゃんと噛んで食べないとダメですよ?」
ノエルは残っていた串焼き肉をすぐさま平らげてしまった。
途中、急いでいたせいか喉に肉が詰まりかけていたが、持っていた水で何とか流し込んで事なきを得た。
そんな事故を挟みつつ、俺達はさらにメインストリートを中央に向けて歩き出した。
向かうは"パラダイ"。
俺の知り合いが経営しているお菓子屋さんだ。
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