最強ご主人様はスローライフを送りたい

卯月しろ

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第13章

一方その頃

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「…………本当に来るかのぅ」
「え~。絶対来ると思うんだけどなぁ………」


草木の茂みから顔を覗かせたシュカとセンリは小声で話しながら、遠くで暇そうにしているマシロに視線を向ける。
彼をあそこに放置してから、かれこれ一時間以上経過しただろうか。

すでにやる事を失ったマシロは暇を持て余し、目の前の石ころの数を数えたり、時折足をばたつかせたりしている。
結界の仕組み上…………と言うか物理的にその場から離れられないので、何か運動などをすることも出来ない。
お尻が痛むのか座り方を変えた。

…………………これ、見守っている方も中々に大変では?
今更ながらそんな事に気がついた。


「……………シュカよ、寝るのはさすがに酷いと思うぞ」
「だよね~………」


マシロがわざわざ引き受けて頑張っているのだ。
押し付けた側としても頑張らざるを得ない。
と言うかこの作戦、今思うと結構酷い。
思いついた時は良いと思ったんだけどなぁ~、とシュカは内心苦笑いする。

マシロの容姿なら確実に土蜘蛛の趣味ど真ん中だし、彼の強さならみすみす攫われるようなこともないだろう。
ダメ押しの結界も張ったし、後はおびき出すだけ………………と思ったのだが。

その誘き出すのが、よく考えたらものすごく大変だった。
そりゃそうだ、何も都合よく土蜘蛛がここへ来るとは限らない。
まぁ彼女に若い男を嗅ぎ当てるセンサーがあれば別だが。

……………あの時はまだ頭に酔いが残っていたのだろう。
普通に作戦は穴だらけだった。
なんだか無性に謝りたくなってきた。


「……………そろそろ回収かの」
「だね~」


さすがにこれ以上放置するのは酷な上に、作戦の穴に気がついた今、もはやする意味が無いだろう。
とりあえず後でマシロには、とっておきのお酒とお菓子をあげよう。
二人はそう決意し、ガサガサ音を立てながら茂みから足を踏み出す─────────寸前で。



「うふふ。坊や、こんな所で何をしているのかしらぁ?」
「え」

「「  !?  」」


驚愕の表情で二人は固まってしまった。
驚きのあまり、危うく大きな音を立ててしまうところだった。

まさか………。
慌てて視線を上げると、そこには案の定、彼女の姿があった。

まさか本当に罠にかかるとは。
作戦を立てた本人ですら驚きである。

あっという間に結界の範囲内に足を踏み入れた着物の女性こと土蜘蛛は、呆然とするマシロに歩み寄ってその頬を撫でる。
マシロはビクッと一歩後ずさった。


「ほ、本当にかかるものなんじゃな…………と言うかあやつ、マシロとイチャイチャしおって!ほれ、行くぞシュカ!」
「え、あ、うん」


シャーッ!と猫特有の威嚇で怒りを露わにするセンリの圧に、シュカはただ頷くしかなかった。
そりゃ想い人と他の女がイチャイチャしていたら、ムカつくものだろう。
実際シュカも少し心がチクッとした。

…………………。
………………………………?


(………なんで~?)


思いもよらぬ気持ちに内心首を傾げた。
だがそれに思考を漂わせる暇はなく、センリの後を追って茂みから飛び出すのであった。


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