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68 嫉妬
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「はぁー・・・」
思わずため息が出る。
やっちゃったかなぁ・・・
リザは俺の寝室でまだ寝ている。あれだけイキ続けさせてしまえば、どこか身体を痛めたかもしれないな・・・
どうせなら強い酒でも浴びたいところだが、まだ夕方にもなっていない。ワインと煙草を自室に持って来させて、一人で自己嫌悪に陥っているところだ。
言い訳ではないが、サーシャともアンナとも違った男を魅了する雰囲気がリザにはある。ベッドの上で男をただの動物へと変えてしまう魔力とでも言ったらいいのか。リザは自分の性質が分かった上でそこを利用しているフシがある。俺にとってもリザにとっても、あまりよろしくないかたちでリザの性質が悪い結果になってしまったか。
ノックをしてサーシャが俺の部屋へと入ってきた。
「ご報告します。さきほど起きたリザの身体の状態を確認してきました。股関節周りの腱と、ふくらはぎの肉ばなれ、それに足裏に疲労が蓄積して杖が無くては歩けません。三日もすれば治るでしょうが・・・」
リザがなにをした?と言いたげな口調だな。
いや・・・俺のうしろめたさがサーシャの口調に含みがあるかのように感じさせているのか。
「リザには悪いことをした。反省している」
酒に逃げてしまうあたり、やはり女性と向き合って生きられなかった男らしいクズっぷりだ。
「戻ってきたリザが気に入りませんか?」
「そうじゃない。俺の問題だ」
かいつまんで事情を話すと、サーシャがくすくすと笑いだした。
「おかしいか?」
「それはもう・・・アラヒト様でも嫉妬なさるのですね。そういう感情とは無縁の方かと思っていました」
ああ・・・これは女性から見ると嫉妬になるのか。俺としてはただの苛立ちや怒りなんだけれどな。
自分の女性の中身が書き換えられてしまったとなれば、やっぱり腹立たしい。感情のままにリザを抱いて、身体まで痛めつけてしまった。
「・・・リザはまだこの屋敷に残ってくれるかな?」
「私に話したままにリザにお話していただければリザは納得すると思いますよ。私が仲介するほどの話でもありません。あとでアラヒト様自身の口からリザに話したらよろしいと思います」
「そうか・・・」
少しホッとした。セックスのコントロールができなくなるほど感情的になるなど、ちょっと記憶に無い。
「リザは床の上で激しくアラヒト様に求められて驚いていましたが、とくにアラヒト様に対して悪い印象を持ったという雰囲気ではありませんでした。まだ日も高いうちからあれだけの大声で絶頂まで何度も達したのであれば、もしかしたらリザも浄化されたかもしれませんね」
浄化。
経験したことがない女性の中の変化に戸惑い苛立っていて、まったく頭に無かった。
「そうか。リザになにか変化があれば預言者様のほうから呼び出されるかな?」
「おそらく呼び出されるでしょうね」
サーシャの時のように、俺が痛めてしまったリザの身体も治してくれたらいいんだけれどな。
夜になって気が進まないまま、寝室へと入ってリザに説明する。
食事は摂ったようだが、リザはベッドに寝たままだった。動かすと痛むらしい。
「・・・そういう事でしたか」
俺の態度が行為の途中で変わったことにリザは気づいていた。男を転がすのが仕事であるなら、寝ている時の男の変化に気づかないワケがない。
「ずいぶんと気落ちしていたとサーシャ様から伺っています。お気になさらず」
「うん」
と言われても、やっぱり身体が壊れるほど何度もイカせたとなると、俺の気が済まないな。しかし・・・なんだかリザは機嫌が良さそうに見える。あれだけのことをやらかしたのに・・・気のせいか瞳が潤んでわずかに微笑んですら見える。
「アラヒト様。女にとって嫉妬されるほど好意を持たれるというのは、ちょっとした夢みたいなものです。ましてや意中の殿方に嫉妬されるなど、たった一度の人生で何度も起きるような出来事ではありません。私は今日という日を忘れることはありませんよ。なにも知らない小娘のような夢がひとつ現実になったのですから」
リザはやはり微笑んでいて満足そうだった。身体はともかくとして、気持ちはこれ以上ないほど幸せだという言葉に嘘は無さそうだ。
・・・そう・・・なのか?
女性に嫉妬されたいなど、前世も含めて俺の人生で一度も感じたことは無かった。
・・・なんだかイヤなことを思い出した。女性同士が自分こそが俺の彼女だと思い込んで、なかなかどえらい修羅場になった。仲裁するつもりでどちらも彼女ではないという話をしたら、なんというか、さらにエグ目のどえらい修羅場になった。
これは嫉妬に対しての男女差みたいなものか。
セックスそのものは俺の関心事になるが、女心とか恋愛となるとどうにも俺は中学生のような理解しかできない。身体が気持ち良ければ、けっこう心のほうもついてくる。その手のことの理解など必要ないと思いながら生きてきたから、俺は刺されて死んだり今みたいなワケの分からない状況に関わることになるんだろう。
ある程度は知っておかないといけないことだよなぁ。
「アラヒト様・・・もしわがままを聞いていただけるのであれば、今日は私と添い寝をしていただけないでしょうか?」
俺は狐につままれた気分のまま、その夜はリザに添い寝をして眠った。
リザは俺にしがみついて手を握り、眠りにつくまで甘い言葉を俺にかけ続けた。
思わずため息が出る。
やっちゃったかなぁ・・・
リザは俺の寝室でまだ寝ている。あれだけイキ続けさせてしまえば、どこか身体を痛めたかもしれないな・・・
どうせなら強い酒でも浴びたいところだが、まだ夕方にもなっていない。ワインと煙草を自室に持って来させて、一人で自己嫌悪に陥っているところだ。
言い訳ではないが、サーシャともアンナとも違った男を魅了する雰囲気がリザにはある。ベッドの上で男をただの動物へと変えてしまう魔力とでも言ったらいいのか。リザは自分の性質が分かった上でそこを利用しているフシがある。俺にとってもリザにとっても、あまりよろしくないかたちでリザの性質が悪い結果になってしまったか。
ノックをしてサーシャが俺の部屋へと入ってきた。
「ご報告します。さきほど起きたリザの身体の状態を確認してきました。股関節周りの腱と、ふくらはぎの肉ばなれ、それに足裏に疲労が蓄積して杖が無くては歩けません。三日もすれば治るでしょうが・・・」
リザがなにをした?と言いたげな口調だな。
いや・・・俺のうしろめたさがサーシャの口調に含みがあるかのように感じさせているのか。
「リザには悪いことをした。反省している」
酒に逃げてしまうあたり、やはり女性と向き合って生きられなかった男らしいクズっぷりだ。
「戻ってきたリザが気に入りませんか?」
「そうじゃない。俺の問題だ」
かいつまんで事情を話すと、サーシャがくすくすと笑いだした。
「おかしいか?」
「それはもう・・・アラヒト様でも嫉妬なさるのですね。そういう感情とは無縁の方かと思っていました」
ああ・・・これは女性から見ると嫉妬になるのか。俺としてはただの苛立ちや怒りなんだけれどな。
自分の女性の中身が書き換えられてしまったとなれば、やっぱり腹立たしい。感情のままにリザを抱いて、身体まで痛めつけてしまった。
「・・・リザはまだこの屋敷に残ってくれるかな?」
「私に話したままにリザにお話していただければリザは納得すると思いますよ。私が仲介するほどの話でもありません。あとでアラヒト様自身の口からリザに話したらよろしいと思います」
「そうか・・・」
少しホッとした。セックスのコントロールができなくなるほど感情的になるなど、ちょっと記憶に無い。
「リザは床の上で激しくアラヒト様に求められて驚いていましたが、とくにアラヒト様に対して悪い印象を持ったという雰囲気ではありませんでした。まだ日も高いうちからあれだけの大声で絶頂まで何度も達したのであれば、もしかしたらリザも浄化されたかもしれませんね」
浄化。
経験したことがない女性の中の変化に戸惑い苛立っていて、まったく頭に無かった。
「そうか。リザになにか変化があれば預言者様のほうから呼び出されるかな?」
「おそらく呼び出されるでしょうね」
サーシャの時のように、俺が痛めてしまったリザの身体も治してくれたらいいんだけれどな。
夜になって気が進まないまま、寝室へと入ってリザに説明する。
食事は摂ったようだが、リザはベッドに寝たままだった。動かすと痛むらしい。
「・・・そういう事でしたか」
俺の態度が行為の途中で変わったことにリザは気づいていた。男を転がすのが仕事であるなら、寝ている時の男の変化に気づかないワケがない。
「ずいぶんと気落ちしていたとサーシャ様から伺っています。お気になさらず」
「うん」
と言われても、やっぱり身体が壊れるほど何度もイカせたとなると、俺の気が済まないな。しかし・・・なんだかリザは機嫌が良さそうに見える。あれだけのことをやらかしたのに・・・気のせいか瞳が潤んでわずかに微笑んですら見える。
「アラヒト様。女にとって嫉妬されるほど好意を持たれるというのは、ちょっとした夢みたいなものです。ましてや意中の殿方に嫉妬されるなど、たった一度の人生で何度も起きるような出来事ではありません。私は今日という日を忘れることはありませんよ。なにも知らない小娘のような夢がひとつ現実になったのですから」
リザはやはり微笑んでいて満足そうだった。身体はともかくとして、気持ちはこれ以上ないほど幸せだという言葉に嘘は無さそうだ。
・・・そう・・・なのか?
女性に嫉妬されたいなど、前世も含めて俺の人生で一度も感じたことは無かった。
・・・なんだかイヤなことを思い出した。女性同士が自分こそが俺の彼女だと思い込んで、なかなかどえらい修羅場になった。仲裁するつもりでどちらも彼女ではないという話をしたら、なんというか、さらにエグ目のどえらい修羅場になった。
これは嫉妬に対しての男女差みたいなものか。
セックスそのものは俺の関心事になるが、女心とか恋愛となるとどうにも俺は中学生のような理解しかできない。身体が気持ち良ければ、けっこう心のほうもついてくる。その手のことの理解など必要ないと思いながら生きてきたから、俺は刺されて死んだり今みたいなワケの分からない状況に関わることになるんだろう。
ある程度は知っておかないといけないことだよなぁ。
「アラヒト様・・・もしわがままを聞いていただけるのであれば、今日は私と添い寝をしていただけないでしょうか?」
俺は狐につままれた気分のまま、その夜はリザに添い寝をして眠った。
リザは俺にしがみついて手を握り、眠りにつくまで甘い言葉を俺にかけ続けた。
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