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2 マッチョさん、魔物を倒す
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村の人たちは私の話を聞きたがったが、なんだかややこしい話になりそうだったので、遠い異国の旅人ということにした。間違った説明ではない。
「なるほど。だからオークも魔物も知らなかったのですね。」
「そういえば、最近というお話でしたが、しばらく魔物は出なかったのですか?」
「私が子どもの頃にはいませんでしたよ。魔王が復活する兆しなのではないかと、もっぱらの噂です。」
この世界には魔王もいるのか。
「魔王の話も知らないとなると、よほど遠くからいらしたのですね。」
「いやいや閉鎖的な国から来たものなので、他の国のお話など聞く機会が無かったのです。」
「旅でお疲れでしょうから、とりあえず私の家でお休みください。しばらくご滞在いただければ嬉しいのですが、旅人の方をもてなすには、その、この村はあまりに貧しくて。」
そうだろうなぁ。食べ物にも困っていた様子だ。
「明日にはギルドのある街へお連れします。ギルドへの依頼も取り消さなくてはいけないので。」
ギルド。ますますゲームじみてきた。そういえば身分を証明するものも持っていない。ギルドがあるなら、なんとか身分証明書みたいなものが手に入るかもしれない。慣れない環境で疲れたのか眠くなってきたので、村長の家で寝かせてもらった。
翌日。私はロバが引く荷台に乗せられて、村長と街へ向かった。
この世界では馬やロバが交通機関のようだ。
乗り物に対して不満は無い。
が、なにより昨日摂取した程度のタンパク質では足りない。朝食も明らかに糖質過多だった。
うん、肉。できれば肉が食べたい。魚でもいい。
「街に行けば、肉は食べられますかね?」
「ああ、肉を食べる宗教なのですね?」
「ええ、まぁそうですね。」間違いではない。
「街で食べる肉はけっこう高いという話ですよ。」
うーん、そういえばお金が無かった。どうやって食べたらいいんだろう。いや、どうやってお金を手に入れたらいいんだろう。ギルドに入ったらどうにかなるのだろうか。
「う、うわー!」
「え、どうしたんですか?」
「ま、また出ました!オークです!」
追い払うしかないか。私は荷台に置いてあったこん棒を持って、オークの前に立った。
あれ?
豚・・・だな。
昨日は薄暗くてよく見えなかった。二足歩行だけれども、豚だ。
あ、逃げようとした。
俺のタンパク質を逃がすワケがないだろう!
私はこん棒をぶん投げてオークを倒した。これでタンパク質が食える。
「うん、よし。これで肉が食べられる。」ご機嫌だ。
「え、オークは食べられませんよ。」
「え、だって豚ですよね。」
「魔物なんか食べたら、カラダを壊しちゃいますよ。」
せっかく豚を捕まえたのに、食べられないのか。
「ああ、食べられると思ったのでわざわざ倒したのですか?」
「ええ、肉が高いって聞いて。」
食べられそうなカンジだっただけに、悔しい。
「いくら肉が高いとは言っても、討伐依頼の報酬で肉くらいは食べられるでしょう。」
しょんぼりしていた私を見て、村長は笑顔でそう言ってくれた。
そうか。とりあえずのタンパク質は手に入るのだな。
「そういや魔物はどうします?道の真ん中で死んでますけれど。」
「ほっとけば数日くらいで消えてなくなりますよ。魔物ってそういうものなんですよ。」
へー、異世界って不思議なものだ。
「しかしこれで街道も安全になりますね。街道のオークに討伐依頼が出ていたら、少しお金がもらえるかもしれませんよ。」
うーん、やはりギルドに入会しないといけないようだ。
街に着いた。外観は城塞都市だ。
「止まれ!」
私の恰好を見た門番に止められた。うん、私でもやはり止める。怪しいもの。
「この方は怪しい方ではございません。私たちの村の近くで悪さをしていたオークを追い払ってくれたのです。オークが逃げたのですよ?」
「オークが逃げた。本当か?」
「この目で見たんですから。本当ですよ。」
「うむ、まぁその肉体では逃げるか・・・」
強そうだけれども胡散臭い人間に見られているようだ。
「しかしその服装は・・・」
「宗教上の正装だそうです。」正装って言ったような、言ってなかったような。
「そのような恰好、見たことがないぞ。」
「あのー、私のカラダに合う服が欲しいので、入れてもらえないでしょうか?こちらの村長にお世話になった村では、マントしか着れなかったんです。」
「私が保証人になりますから。なにかするような方じゃありませんよ!街道のオークも倒してくれたんですよ!」
「うーん、まぁ村長がそこまで言うのなら。」
なんとか街へと入れた。
ほぼ裸にマントでは、やはり印象が悪い。急いで服を手に入れないといけないな。
「なるほど。だからオークも魔物も知らなかったのですね。」
「そういえば、最近というお話でしたが、しばらく魔物は出なかったのですか?」
「私が子どもの頃にはいませんでしたよ。魔王が復活する兆しなのではないかと、もっぱらの噂です。」
この世界には魔王もいるのか。
「魔王の話も知らないとなると、よほど遠くからいらしたのですね。」
「いやいや閉鎖的な国から来たものなので、他の国のお話など聞く機会が無かったのです。」
「旅でお疲れでしょうから、とりあえず私の家でお休みください。しばらくご滞在いただければ嬉しいのですが、旅人の方をもてなすには、その、この村はあまりに貧しくて。」
そうだろうなぁ。食べ物にも困っていた様子だ。
「明日にはギルドのある街へお連れします。ギルドへの依頼も取り消さなくてはいけないので。」
ギルド。ますますゲームじみてきた。そういえば身分を証明するものも持っていない。ギルドがあるなら、なんとか身分証明書みたいなものが手に入るかもしれない。慣れない環境で疲れたのか眠くなってきたので、村長の家で寝かせてもらった。
翌日。私はロバが引く荷台に乗せられて、村長と街へ向かった。
この世界では馬やロバが交通機関のようだ。
乗り物に対して不満は無い。
が、なにより昨日摂取した程度のタンパク質では足りない。朝食も明らかに糖質過多だった。
うん、肉。できれば肉が食べたい。魚でもいい。
「街に行けば、肉は食べられますかね?」
「ああ、肉を食べる宗教なのですね?」
「ええ、まぁそうですね。」間違いではない。
「街で食べる肉はけっこう高いという話ですよ。」
うーん、そういえばお金が無かった。どうやって食べたらいいんだろう。いや、どうやってお金を手に入れたらいいんだろう。ギルドに入ったらどうにかなるのだろうか。
「う、うわー!」
「え、どうしたんですか?」
「ま、また出ました!オークです!」
追い払うしかないか。私は荷台に置いてあったこん棒を持って、オークの前に立った。
あれ?
豚・・・だな。
昨日は薄暗くてよく見えなかった。二足歩行だけれども、豚だ。
あ、逃げようとした。
俺のタンパク質を逃がすワケがないだろう!
私はこん棒をぶん投げてオークを倒した。これでタンパク質が食える。
「うん、よし。これで肉が食べられる。」ご機嫌だ。
「え、オークは食べられませんよ。」
「え、だって豚ですよね。」
「魔物なんか食べたら、カラダを壊しちゃいますよ。」
せっかく豚を捕まえたのに、食べられないのか。
「ああ、食べられると思ったのでわざわざ倒したのですか?」
「ええ、肉が高いって聞いて。」
食べられそうなカンジだっただけに、悔しい。
「いくら肉が高いとは言っても、討伐依頼の報酬で肉くらいは食べられるでしょう。」
しょんぼりしていた私を見て、村長は笑顔でそう言ってくれた。
そうか。とりあえずのタンパク質は手に入るのだな。
「そういや魔物はどうします?道の真ん中で死んでますけれど。」
「ほっとけば数日くらいで消えてなくなりますよ。魔物ってそういうものなんですよ。」
へー、異世界って不思議なものだ。
「しかしこれで街道も安全になりますね。街道のオークに討伐依頼が出ていたら、少しお金がもらえるかもしれませんよ。」
うーん、やはりギルドに入会しないといけないようだ。
街に着いた。外観は城塞都市だ。
「止まれ!」
私の恰好を見た門番に止められた。うん、私でもやはり止める。怪しいもの。
「この方は怪しい方ではございません。私たちの村の近くで悪さをしていたオークを追い払ってくれたのです。オークが逃げたのですよ?」
「オークが逃げた。本当か?」
「この目で見たんですから。本当ですよ。」
「うむ、まぁその肉体では逃げるか・・・」
強そうだけれども胡散臭い人間に見られているようだ。
「しかしその服装は・・・」
「宗教上の正装だそうです。」正装って言ったような、言ってなかったような。
「そのような恰好、見たことがないぞ。」
「あのー、私のカラダに合う服が欲しいので、入れてもらえないでしょうか?こちらの村長にお世話になった村では、マントしか着れなかったんです。」
「私が保証人になりますから。なにかするような方じゃありませんよ!街道のオークも倒してくれたんですよ!」
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