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26 マッチョさん、トレーニングの内容を一部変更する
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フェイスさんやギルド本部の人たちにも協力してもらって、私が着られそうな服を探してもらったのだが、やはり王都でも見つからなかった。これだから既製服というものは。
私もフェイスさんと一緒に服を探したが、さすがに明日までに間に合う服は見つからなかった。結局はマントをつけてタンクトップに短パンという服装で話は落ち着いた。いちおう宗教上の正装ということになっているから、いきなり投獄されるようなことも無いと思いたい。これ以上は考えるだけ無駄なことだ。
そして私は、服を探している途中でドライフルーツを発見した。たしかドライフルーツを用いた体脂肪の絞り方というものがあったはずだが、自分が試したことのない方法なのでなにをどう摂取したらいいのかまったく分からない。目の前にトレーニングに役立つ食べ物があるというのに、私の無知のせいで役立てることができないなど、とても悔しい。やはり栄養摂取も幅広い方法でやっておくべきだったと後悔したが、そもそも異世界で筋トレをした先人などいるハズが無いので後悔していることがアホ臭くなった。
さて。今日からトレーニングの内容を一部変更する。
前の世界にいた時から言われていたことだが、私の体幹の筋肉は筋肉量全体と比較してとても少ない。私が見た目に強いこだわりを持っていたために、こういう筋肉比率になった。実際にこういう体形のトレーニーは少なくない。見た目が成果として出ないから、体幹の筋肉のトレーニングがおろそかになっているのだ。これはあまりよろしいことではない。体脂肪率は上がりやすくなるし、腰や股関節といった体重を支える関節に必要以上の負荷がかかる。重さがある分だけ運動のパフォーマンスも落ちることもあるだろう。こちらのドクターにも忠告されたし、以前から頭では分かっていた。これではこの世界で生き残っていけないのだ。
それは斧を用いる時に顕著になった。
斧に身体が振り回される。それは体幹を用いて自分の身体を止めることができていないからだ。筋肉には止めるための筋肉と、動かすための筋肉がある。比較的動かす大き目の筋肉、すなわち見た目に寄っていたトレーニングのメニューを、止めるための小さくて地味な筋肉を成長させるメニューに変えなくてはいけない。
かつてランドクルーザー岡田はこんな言葉を残している。
「筋肉は美学である。それは優しさに似ている。」
内に秘めた優しさと、実際に行動する優しさ。
私は今まで実際に行動する優しさしか持ち合わせていなかった。内に秘めた優しさも持ち合わせた私はどのように変化するのだろうか。成長した私の姿を想像すると、トレーニングは決してつらいだけのものではない。私は新たな成長と進歩の段階に入ったのだ。
まずは以前から取り入れたかったロープ登りを行う。
広背筋にも効くが、最大の目的はロープ登りの動きの中で止める筋肉を鍛えることである。腹圧をかけ足が左右に振れないように、身体の軸を止めることを意識しながら登る。ロープに高さは必要ない。万一のためにロープの下に毛布も用意しておいた。
ぐっ、これは効く。
思っていた以上に身体が止まらない。これは必要なトレーニングを今になるまでやらなかった私の責任だ。
斧を背負って負荷をかけずに試したのは正解だった。前腕にも非常に効いてきた。はっきり言って小さな筋肉だが、私にとっては大きな一歩となった。
次にプランクだ。
これをトレーニングに取り入れなかったのには理由がある。私は一般的なトレーニー同様に、毎日どこかの部位を集中的に鍛えていた。つまり、全身を用いるトレーニングをする時には、必ずどこかが筋肉痛になっていた。筋肉痛がある状態で負荷をかけることは適切ではない。今日はどこにも痛みが無いので、集中的に体幹のみを鍛え上げるつもりだ。
プランクは姿勢が重要だ。
きっちりと腹圧をかけてお腹を凹ませて、頭、胸、腰、膝まで一本の線にならなくてはいけない。
全身が見える大型の鏡はけっこういい値段がするので、まっすぐな棒を背中に当てながら行う。
なんと私は正しい姿勢で普通のプランクができなかった。斧を背負っていないにも関わらずだ。ここまでバランスが崩れているとは思ってもみなかった。そうか。自重が増えたことで筋肉がついた気になっていたが、体幹と筋肉量の比率で言えば適切な状態では無かったのだな。しばらくジムに行かずに自己流で鍛えていたので、自分の身体の変化に気づかなかった。
難易度を落とし、膝プランクを行う。つま先で腕立てのように立つプランクではなく、膝で立つ。難易度を落とすことは恥でもなんでもない。できなければ難易度を落とし、いつかトレーニングができるようになればいいのだ。
最後にロープ登りを負荷ありで限界まで行ってみた。うむ、まったくカラダが止まらない。そしてこれは指先への負荷が大きすぎる。腱鞘炎になるとトレーニングができなるなるので、途中で止めた。
通常プランクにも挑戦してみたが、足がプルプルと震えてしまう。これではダメだ。
私の筋肉に大きな課題ができた。今までのローテーションに体幹トレーニングを組み込むとなると、筋肥大は無く現状維持かあるいは少し私の身体が小さくなるかもしれない。が、これは必要なことだ。ずいぶんと思い悩んだ時期もあったが、この世界では体幹周りの筋肉をなにがなんでも手に入れなければいけない。背中だけはどうしても現状を維持したいが。
「内に秘めた優しさか・・・」
筋トレも奥が深い。実際に体幹周りの筋トレは私が今までやって来たトレーニングとは方法論がかなり異なる。私のような筋肉は最小の時間で最大の筋肥大を目指す。しかし体幹トレーニングは時間をかけて持久力をつけなくてはいけない。筋肉の役割が違うため、鍛え方もまた違うのだ。
内に秘めた優しさとはよく言ったものだ。実際に筋肉を身につけてみないと分からないものなのだろうな。
物思いにふけるのも筋肉と語らいあうようでいいものだが、今日の分の栄養補給を行わなくてはいけない。王都では豚肉が旨いと聞いている。新しいタンパク質に巡り合えるというのは、この異世界では最上の喜びと言ってもいいのではないだろうか。
私もフェイスさんと一緒に服を探したが、さすがに明日までに間に合う服は見つからなかった。結局はマントをつけてタンクトップに短パンという服装で話は落ち着いた。いちおう宗教上の正装ということになっているから、いきなり投獄されるようなことも無いと思いたい。これ以上は考えるだけ無駄なことだ。
そして私は、服を探している途中でドライフルーツを発見した。たしかドライフルーツを用いた体脂肪の絞り方というものがあったはずだが、自分が試したことのない方法なのでなにをどう摂取したらいいのかまったく分からない。目の前にトレーニングに役立つ食べ物があるというのに、私の無知のせいで役立てることができないなど、とても悔しい。やはり栄養摂取も幅広い方法でやっておくべきだったと後悔したが、そもそも異世界で筋トレをした先人などいるハズが無いので後悔していることがアホ臭くなった。
さて。今日からトレーニングの内容を一部変更する。
前の世界にいた時から言われていたことだが、私の体幹の筋肉は筋肉量全体と比較してとても少ない。私が見た目に強いこだわりを持っていたために、こういう筋肉比率になった。実際にこういう体形のトレーニーは少なくない。見た目が成果として出ないから、体幹の筋肉のトレーニングがおろそかになっているのだ。これはあまりよろしいことではない。体脂肪率は上がりやすくなるし、腰や股関節といった体重を支える関節に必要以上の負荷がかかる。重さがある分だけ運動のパフォーマンスも落ちることもあるだろう。こちらのドクターにも忠告されたし、以前から頭では分かっていた。これではこの世界で生き残っていけないのだ。
それは斧を用いる時に顕著になった。
斧に身体が振り回される。それは体幹を用いて自分の身体を止めることができていないからだ。筋肉には止めるための筋肉と、動かすための筋肉がある。比較的動かす大き目の筋肉、すなわち見た目に寄っていたトレーニングのメニューを、止めるための小さくて地味な筋肉を成長させるメニューに変えなくてはいけない。
かつてランドクルーザー岡田はこんな言葉を残している。
「筋肉は美学である。それは優しさに似ている。」
内に秘めた優しさと、実際に行動する優しさ。
私は今まで実際に行動する優しさしか持ち合わせていなかった。内に秘めた優しさも持ち合わせた私はどのように変化するのだろうか。成長した私の姿を想像すると、トレーニングは決してつらいだけのものではない。私は新たな成長と進歩の段階に入ったのだ。
まずは以前から取り入れたかったロープ登りを行う。
広背筋にも効くが、最大の目的はロープ登りの動きの中で止める筋肉を鍛えることである。腹圧をかけ足が左右に振れないように、身体の軸を止めることを意識しながら登る。ロープに高さは必要ない。万一のためにロープの下に毛布も用意しておいた。
ぐっ、これは効く。
思っていた以上に身体が止まらない。これは必要なトレーニングを今になるまでやらなかった私の責任だ。
斧を背負って負荷をかけずに試したのは正解だった。前腕にも非常に効いてきた。はっきり言って小さな筋肉だが、私にとっては大きな一歩となった。
次にプランクだ。
これをトレーニングに取り入れなかったのには理由がある。私は一般的なトレーニー同様に、毎日どこかの部位を集中的に鍛えていた。つまり、全身を用いるトレーニングをする時には、必ずどこかが筋肉痛になっていた。筋肉痛がある状態で負荷をかけることは適切ではない。今日はどこにも痛みが無いので、集中的に体幹のみを鍛え上げるつもりだ。
プランクは姿勢が重要だ。
きっちりと腹圧をかけてお腹を凹ませて、頭、胸、腰、膝まで一本の線にならなくてはいけない。
全身が見える大型の鏡はけっこういい値段がするので、まっすぐな棒を背中に当てながら行う。
なんと私は正しい姿勢で普通のプランクができなかった。斧を背負っていないにも関わらずだ。ここまでバランスが崩れているとは思ってもみなかった。そうか。自重が増えたことで筋肉がついた気になっていたが、体幹と筋肉量の比率で言えば適切な状態では無かったのだな。しばらくジムに行かずに自己流で鍛えていたので、自分の身体の変化に気づかなかった。
難易度を落とし、膝プランクを行う。つま先で腕立てのように立つプランクではなく、膝で立つ。難易度を落とすことは恥でもなんでもない。できなければ難易度を落とし、いつかトレーニングができるようになればいいのだ。
最後にロープ登りを負荷ありで限界まで行ってみた。うむ、まったくカラダが止まらない。そしてこれは指先への負荷が大きすぎる。腱鞘炎になるとトレーニングができなるなるので、途中で止めた。
通常プランクにも挑戦してみたが、足がプルプルと震えてしまう。これではダメだ。
私の筋肉に大きな課題ができた。今までのローテーションに体幹トレーニングを組み込むとなると、筋肥大は無く現状維持かあるいは少し私の身体が小さくなるかもしれない。が、これは必要なことだ。ずいぶんと思い悩んだ時期もあったが、この世界では体幹周りの筋肉をなにがなんでも手に入れなければいけない。背中だけはどうしても現状を維持したいが。
「内に秘めた優しさか・・・」
筋トレも奥が深い。実際に体幹周りの筋トレは私が今までやって来たトレーニングとは方法論がかなり異なる。私のような筋肉は最小の時間で最大の筋肥大を目指す。しかし体幹トレーニングは時間をかけて持久力をつけなくてはいけない。筋肉の役割が違うため、鍛え方もまた違うのだ。
内に秘めた優しさとはよく言ったものだ。実際に筋肉を身につけてみないと分からないものなのだろうな。
物思いにふけるのも筋肉と語らいあうようでいいものだが、今日の分の栄養補給を行わなくてはいけない。王都では豚肉が旨いと聞いている。新しいタンパク質に巡り合えるというのは、この異世界では最上の喜びと言ってもいいのではないだろうか。
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