35 / 133
35 マッチョさん、ドワーフ王に会う。
しおりを挟む
「盛り上がっているところすまんが、ワシらは人間王の使いとしてこちらに来たのじゃ。ドワーフ王に取り次いでもらえないかのう。」
「大親方ー、呼ばれてますよー!」
「作業が終わるまで声をかけるんじゃねぇ!」
「あっ、そうでした・・・すいません・・・」小さい声でドワーフが謝った。
王ではなく、大親方と呼ばれているのか。
「お客人たち、食堂のほうへどうぞ。客人をもてなすようなものは酒と肉くらいしか無いですが。」
「ドワーフ王の仕事が終わるまで、休ませていただこうか、マッチョ君。」
「はい。いただきましょう。」
お酒の方はお断りして、お肉だけいただいた。少し塩気と油が濃いな。私は塩と油を外しながらいただいた。ドロスさんは出されたままの味でムシャムシャ食べて飲んでいる。お酒と合わせるとちょうどいい塩梅なのかもしれない。
「あのー、城外に護衛の方たちがいるので、その人たちにも食事を届けていただけませんか?」
「アルコールは無しで頼む。彼らは哨戒任務中なのでな。」
「お客人。人の里に来て哨戒任務とはずいぶんと無礼な話じゃないですか。」
内政干渉あるいは軍事侵攻の恐れアリと言われても仕方ないか。たしかに穏やかな話じゃない。
「ワシたちが来る前にドワーフ王と人間王とで話はついているはずだ。なによりワシらが街道整理をしている途中でかなりの数のコボルトを追い返したからの。こちらに敵意は無いし、魔物災害の対策の方が優先されるじゃろう。ワシらが魔物を引き連れたようなモンだからのう。城内に入ってきたのが我々二人であるということを誠意として受け取ってほしい。なんならワシらを拘束しても構わん。」
さすがドロスさん、腹が座っている。でも私たちは拘束されちゃうのか。
「うーん、その話は聞いてないんですけれどねぇ。魔物災害が来るとまで言われちゃうと・・・まぁ大親方が判断しますよ。」
しぶしぶ受け入れたが納得はしていないというカンジだ。
最初からちょっと印象がよろしくないぞ。大丈夫なのかなぁ。
ドワーフたちの肉体は頑強そうだが、あまり魅力的な筋肉というカンジではない。
だいたい体脂肪率が20%ほど。BMIも25を超えているというあたりか。筋肉はついているのだが、それと同じくらい脂肪もたっぷりと乗っている。脂質がたっぷりのお肉と、浴びるように飲むお酒で造られた肉体だ。少し人間王に騙された気になってきた。
だが、これくらいの肉体でなければ鉱山労働や鍛治仕事などできないのかもしれない。ずーっと重い道具を振り続け、鍛治仕事に至っては高温の炉や材料と向き合わなくてはいけないのだ。職業的に作られた合理的な肉体なのだろう。濃い塩味もよく汗をかく仕事に必要なのだろう。
「待たせて申し訳なかったな、客人。ドワーフの里長のハイドだ。」
「私はドロス。こちらは大使のマッチョ君だ。」
「初めましてドワーフ王。マッチョです。」
「ドワーフ王ってのは止めてくれないか。見ての通り小さな里でな。大親方とか里長って呼ばれる方が性に合っている。」
「では里長。さっそくじゃが、我々とともに軍が行くことと魔物災害の可能性があることは連絡済みなのか、きちんと確認してもらえるじゃろうか?」
「あー、言ってなかった気がするな。おい、ロイスどうなっている?」
お付きの方に話をしている。ロイスさんか。
「聞いてませんね、里長。大業物への挑戦に夢中だったじゃないですか。」
「あー、スマン。そういうことだ。今から急ぎで人間軍の駐留と哨戒任務に対して許可を出してくれ。それと慰労の食事も出してやってくれ。あ、あとついでにウチの哨戒も強化しておけ。魔物災害とは穏やかな話じゃねぇからな。」
「行ってきます。では私はこれで。」
ロイスさんが仕事をしに行った。ぜんぜん話が通ってないじゃないか。
「スマンな。ちょっと仕事に夢中になってしまっててな。」
「よければ大業物とやらの話を、先に伺えませんかの?」
「大業物ってのは、ドワーフの里長が生涯にひとつだけつくる渾身の武器や防具のことだ。ドワーフの里や自分の人生そのものを表現するものだからな。普段なら客人が来たくらいで怒鳴りつけたりしねぇんだが、モノがモノだ。無作法を許してほしい。」
「ほほう、それは気になりますな。完成の折には拝見してもよろしいですかな?」
「もちろんだ。自慢の作品を見たいなら歓迎するよ。」
そんな大事な仕事の時に来てしまったのか。お邪魔なのではないだろうか。
「ところでなにを作っているのか、聞いてもよろしいのでしょうかの?」
「鎧だ。俺たちは体格的に人間の金属鎧を使うことができないからな。できればドワーフを代表する立派な鎧を後世に残してやりたい。」
たしかに人間よりも骨格が太くて横に大きい。立派な志でものを作っているのだな。
「すごく立派そうな鎧ができそうですね。」
「アンタも鎧にはずいぶんと苦労していそうだな。そのデカさでは鎧も特注品だろう。いい仕上がりだ。武器もいい。っていうか、なんなんだその大斧・・・」
デカいと言われて悪い気はしない。ソロウの武器屋さんもドワーフの里長にこれだけ褒められたら本望だろう。今度手紙を書いて教えてあげよう。
「大親方ー、呼ばれてますよー!」
「作業が終わるまで声をかけるんじゃねぇ!」
「あっ、そうでした・・・すいません・・・」小さい声でドワーフが謝った。
王ではなく、大親方と呼ばれているのか。
「お客人たち、食堂のほうへどうぞ。客人をもてなすようなものは酒と肉くらいしか無いですが。」
「ドワーフ王の仕事が終わるまで、休ませていただこうか、マッチョ君。」
「はい。いただきましょう。」
お酒の方はお断りして、お肉だけいただいた。少し塩気と油が濃いな。私は塩と油を外しながらいただいた。ドロスさんは出されたままの味でムシャムシャ食べて飲んでいる。お酒と合わせるとちょうどいい塩梅なのかもしれない。
「あのー、城外に護衛の方たちがいるので、その人たちにも食事を届けていただけませんか?」
「アルコールは無しで頼む。彼らは哨戒任務中なのでな。」
「お客人。人の里に来て哨戒任務とはずいぶんと無礼な話じゃないですか。」
内政干渉あるいは軍事侵攻の恐れアリと言われても仕方ないか。たしかに穏やかな話じゃない。
「ワシたちが来る前にドワーフ王と人間王とで話はついているはずだ。なによりワシらが街道整理をしている途中でかなりの数のコボルトを追い返したからの。こちらに敵意は無いし、魔物災害の対策の方が優先されるじゃろう。ワシらが魔物を引き連れたようなモンだからのう。城内に入ってきたのが我々二人であるということを誠意として受け取ってほしい。なんならワシらを拘束しても構わん。」
さすがドロスさん、腹が座っている。でも私たちは拘束されちゃうのか。
「うーん、その話は聞いてないんですけれどねぇ。魔物災害が来るとまで言われちゃうと・・・まぁ大親方が判断しますよ。」
しぶしぶ受け入れたが納得はしていないというカンジだ。
最初からちょっと印象がよろしくないぞ。大丈夫なのかなぁ。
ドワーフたちの肉体は頑強そうだが、あまり魅力的な筋肉というカンジではない。
だいたい体脂肪率が20%ほど。BMIも25を超えているというあたりか。筋肉はついているのだが、それと同じくらい脂肪もたっぷりと乗っている。脂質がたっぷりのお肉と、浴びるように飲むお酒で造られた肉体だ。少し人間王に騙された気になってきた。
だが、これくらいの肉体でなければ鉱山労働や鍛治仕事などできないのかもしれない。ずーっと重い道具を振り続け、鍛治仕事に至っては高温の炉や材料と向き合わなくてはいけないのだ。職業的に作られた合理的な肉体なのだろう。濃い塩味もよく汗をかく仕事に必要なのだろう。
「待たせて申し訳なかったな、客人。ドワーフの里長のハイドだ。」
「私はドロス。こちらは大使のマッチョ君だ。」
「初めましてドワーフ王。マッチョです。」
「ドワーフ王ってのは止めてくれないか。見ての通り小さな里でな。大親方とか里長って呼ばれる方が性に合っている。」
「では里長。さっそくじゃが、我々とともに軍が行くことと魔物災害の可能性があることは連絡済みなのか、きちんと確認してもらえるじゃろうか?」
「あー、言ってなかった気がするな。おい、ロイスどうなっている?」
お付きの方に話をしている。ロイスさんか。
「聞いてませんね、里長。大業物への挑戦に夢中だったじゃないですか。」
「あー、スマン。そういうことだ。今から急ぎで人間軍の駐留と哨戒任務に対して許可を出してくれ。それと慰労の食事も出してやってくれ。あ、あとついでにウチの哨戒も強化しておけ。魔物災害とは穏やかな話じゃねぇからな。」
「行ってきます。では私はこれで。」
ロイスさんが仕事をしに行った。ぜんぜん話が通ってないじゃないか。
「スマンな。ちょっと仕事に夢中になってしまっててな。」
「よければ大業物とやらの話を、先に伺えませんかの?」
「大業物ってのは、ドワーフの里長が生涯にひとつだけつくる渾身の武器や防具のことだ。ドワーフの里や自分の人生そのものを表現するものだからな。普段なら客人が来たくらいで怒鳴りつけたりしねぇんだが、モノがモノだ。無作法を許してほしい。」
「ほほう、それは気になりますな。完成の折には拝見してもよろしいですかな?」
「もちろんだ。自慢の作品を見たいなら歓迎するよ。」
そんな大事な仕事の時に来てしまったのか。お邪魔なのではないだろうか。
「ところでなにを作っているのか、聞いてもよろしいのでしょうかの?」
「鎧だ。俺たちは体格的に人間の金属鎧を使うことができないからな。できればドワーフを代表する立派な鎧を後世に残してやりたい。」
たしかに人間よりも骨格が太くて横に大きい。立派な志でものを作っているのだな。
「すごく立派そうな鎧ができそうですね。」
「アンタも鎧にはずいぶんと苦労していそうだな。そのデカさでは鎧も特注品だろう。いい仕上がりだ。武器もいい。っていうか、なんなんだその大斧・・・」
デカいと言われて悪い気はしない。ソロウの武器屋さんもドワーフの里長にこれだけ褒められたら本望だろう。今度手紙を書いて教えてあげよう。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる