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37 マッチョさん、再び魔物災害に遭う
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「すいません。急ぎ伝令願います!」
ドワーフの軍人らしき人がずいぶんと焦って食堂へ入って来た。
「どうした?」
「コボルトによる魔物災害です!固有種が二体!規模は推計で400です!」
固有種が二体。二人がかりでやっと倒したアレが二体も出たのか。
「現在固有種以外の魔物は人間の軍が相手をしていますが苦戦中!」
「俺たちも出るぞ!戦える者は全員投擲用の斧も持って城外で配置に着け。人間の軍と挟み撃ちにするぞ!」
「マッチョ君、ワシらも出よう。固有種となると、ドワーフと言えども苦戦するじゃろう。ワシらが持ってきた魔物災害じゃしの。」
「分かりました。行きましょう。」
「固有種を倒した経験のあるお二人が参加してくれるのはありがたい。よろしく頼む。」
さてと。また固有種か。珍しいハズのものが二体も出てくるとは・・・
しかし私の戦闘は常に強敵ばかりになってしまうな。できればもう少しラクな魔物を相手にして、もう少し実戦経験を積みたいのだが。
急ぎ城外に出ると、たしかに苦戦していた。固有種の指揮がしっかりしていて、スクルトさんたちは効果的な仕事ができないでいる。しかもコボルトは粗末とはいえ弓を用いているのか。速度でぶった切る精鋭の騎馬隊は、こうも傾斜地が多いとその機動力をいかんなく発揮するというワケにはいかないか。
固有種二体を確認した。3mを超える大型のものが一体。これが全体の指揮をしているように見える。2mほどの固有種はいまのところなにもしていない。
「投擲用意!隊列が組み次第に各個に攻撃を開始しろ!人間軍の騎馬隊だけに働かせるな!」
「マッチョ君。ワシはあの大型の方を倒してくる。小さいほうはキミが抑え込んでくれ。大型の方を倒したらすぐに加勢に戻る。」
私が返事をする前にドロスさんは大型固有種の方へと走っていった。倒してくるとドロスさんは言ったな。一人でアレを倒す気なのか。いや、ドロスさんを心配してる場合ではない。問題は私の方だ。中型固有種とはいえ、アレをどれくらい足止めできるのか。私ひとりでは倒せる自信が無いな。
「名前はマッチョだったな?剣聖の指示通り、小さい方の固有種を頼む。俺は指揮を取らなくてはならん。お前ら、客人にばかり働かせないでぶっ倒せ!」
ドワーフの里長直々の指名だ。しかも適任者が私しかいないと来ている。行くしか無いだろう。
ドワーフたちの投擲はコボルトたちを着実に減らしている。距離の優位はドワーフの投擲とコボルトの弓とで四分六分。しかし、ドワーフたちが盾を持っている分だけ、コボルトの減りが若干早い。近いうちに接近戦になるだろう。
ドロスさんも戦闘を開始した。あちらは身体強化のようだ。ドロスさんは固有種との戦い方も慣れているな。着実にダメージを与え続けている。勝利は時間の問題だろう。
さて、私も目の前の固有種を足止めしないとな。
うん、なんだ?フィーンと空気が集まってくるような音がする。中型固有種の近くに氷の槍ができた。これは氷の魔法を使うタイプか!また面倒なものが来てしまったな。
近づこうとする私に槍を投げてきた。けっこう大きいし速度もある。とっさに斧を盾にして弾き返した。氷の槍が進路を変えて、ドワーフの里へ突き刺さった。ドワーフの里から悲鳴が聞こえる。この戦い方で大丈夫なのだろうか?
「マッチョ、後ろは気にするな!里の人間は奥の方へ退避させている!アレが里へ入ってきたらマズい!アレの足止めだけを考えてくれ!」里長の声は大きくてよく通る。了解です。
とりあえず魔法が来たら斧で弾くで問題無いらしい。が、魔法のせいで近づけないな。連射できるとまではいかないが、二秒に一発程度は魔法を打ってくる。私に引きつけて魔法が切れるまで待つか、あるいは踏み込んで一発入れるか。投擲部隊の一部が中型固有種に投擲斧を投げたが弾かれた。こちらも身体強化魔法持ちか。厄介だな。
よし決めた。
ドロスさんを待とう。
私ひとりでどうにかなる相手では無さそうだ。魔法が切れるまで私の方に注意を引きつけておけばいいだろう。他の戦場にあの魔法をブチ込まれたら、こちらの戦力が大幅に落ちてしまう。
と思ったら、この固有種はさっそくターゲットを変えて、私ではなくドワーフの隊列に向けて魔法を打とうとしている。マズいと思って近づいたら、今度は至近距離から敵の魔法を受けてしまった。なんとか弾き返したが、弾き返した角度が悪かったのだろう。角度をつけて高さを持った氷の槍は、ドワーフの建物にまた刺さってしまった。
距離を置き過ぎると私を攻撃してこないで他の味方に当てにいく。距離を詰めたら私が弾ききれない。うーむ、手の打ちようが無くなってきた。ギリギリ私に注意が行くところまで距離を詰めるしか無いか。
いまいち戦い方が定まらないうちに、中型固有種が私に向かって突っ込んできた。大きな杖のようなもので私を薙ぎ払いながら、別の戦場に氷の槍を飛ばそうとしている。マズい。槍が発射される。
里長が魔法を弾き返してくれた。うお、危なかった・・・
「指揮は別のやつに任せてきた。剣聖が指揮官を抑えた分だけ、相手の指揮系統が乱れてきている。コイツの魔法を他の戦場に持ち込ませるな!ここで止めるぞ!」
「はい!」
接近戦も強い。魔法もある。そして攻撃と魔法を同時に扱うこともできる。
さて、足止めでいいのか、踏み込んで倒すべきなのか。
ドワーフの軍人らしき人がずいぶんと焦って食堂へ入って来た。
「どうした?」
「コボルトによる魔物災害です!固有種が二体!規模は推計で400です!」
固有種が二体。二人がかりでやっと倒したアレが二体も出たのか。
「現在固有種以外の魔物は人間の軍が相手をしていますが苦戦中!」
「俺たちも出るぞ!戦える者は全員投擲用の斧も持って城外で配置に着け。人間の軍と挟み撃ちにするぞ!」
「マッチョ君、ワシらも出よう。固有種となると、ドワーフと言えども苦戦するじゃろう。ワシらが持ってきた魔物災害じゃしの。」
「分かりました。行きましょう。」
「固有種を倒した経験のあるお二人が参加してくれるのはありがたい。よろしく頼む。」
さてと。また固有種か。珍しいハズのものが二体も出てくるとは・・・
しかし私の戦闘は常に強敵ばかりになってしまうな。できればもう少しラクな魔物を相手にして、もう少し実戦経験を積みたいのだが。
急ぎ城外に出ると、たしかに苦戦していた。固有種の指揮がしっかりしていて、スクルトさんたちは効果的な仕事ができないでいる。しかもコボルトは粗末とはいえ弓を用いているのか。速度でぶった切る精鋭の騎馬隊は、こうも傾斜地が多いとその機動力をいかんなく発揮するというワケにはいかないか。
固有種二体を確認した。3mを超える大型のものが一体。これが全体の指揮をしているように見える。2mほどの固有種はいまのところなにもしていない。
「投擲用意!隊列が組み次第に各個に攻撃を開始しろ!人間軍の騎馬隊だけに働かせるな!」
「マッチョ君。ワシはあの大型の方を倒してくる。小さいほうはキミが抑え込んでくれ。大型の方を倒したらすぐに加勢に戻る。」
私が返事をする前にドロスさんは大型固有種の方へと走っていった。倒してくるとドロスさんは言ったな。一人でアレを倒す気なのか。いや、ドロスさんを心配してる場合ではない。問題は私の方だ。中型固有種とはいえ、アレをどれくらい足止めできるのか。私ひとりでは倒せる自信が無いな。
「名前はマッチョだったな?剣聖の指示通り、小さい方の固有種を頼む。俺は指揮を取らなくてはならん。お前ら、客人にばかり働かせないでぶっ倒せ!」
ドワーフの里長直々の指名だ。しかも適任者が私しかいないと来ている。行くしか無いだろう。
ドワーフたちの投擲はコボルトたちを着実に減らしている。距離の優位はドワーフの投擲とコボルトの弓とで四分六分。しかし、ドワーフたちが盾を持っている分だけ、コボルトの減りが若干早い。近いうちに接近戦になるだろう。
ドロスさんも戦闘を開始した。あちらは身体強化のようだ。ドロスさんは固有種との戦い方も慣れているな。着実にダメージを与え続けている。勝利は時間の問題だろう。
さて、私も目の前の固有種を足止めしないとな。
うん、なんだ?フィーンと空気が集まってくるような音がする。中型固有種の近くに氷の槍ができた。これは氷の魔法を使うタイプか!また面倒なものが来てしまったな。
近づこうとする私に槍を投げてきた。けっこう大きいし速度もある。とっさに斧を盾にして弾き返した。氷の槍が進路を変えて、ドワーフの里へ突き刺さった。ドワーフの里から悲鳴が聞こえる。この戦い方で大丈夫なのだろうか?
「マッチョ、後ろは気にするな!里の人間は奥の方へ退避させている!アレが里へ入ってきたらマズい!アレの足止めだけを考えてくれ!」里長の声は大きくてよく通る。了解です。
とりあえず魔法が来たら斧で弾くで問題無いらしい。が、魔法のせいで近づけないな。連射できるとまではいかないが、二秒に一発程度は魔法を打ってくる。私に引きつけて魔法が切れるまで待つか、あるいは踏み込んで一発入れるか。投擲部隊の一部が中型固有種に投擲斧を投げたが弾かれた。こちらも身体強化魔法持ちか。厄介だな。
よし決めた。
ドロスさんを待とう。
私ひとりでどうにかなる相手では無さそうだ。魔法が切れるまで私の方に注意を引きつけておけばいいだろう。他の戦場にあの魔法をブチ込まれたら、こちらの戦力が大幅に落ちてしまう。
と思ったら、この固有種はさっそくターゲットを変えて、私ではなくドワーフの隊列に向けて魔法を打とうとしている。マズいと思って近づいたら、今度は至近距離から敵の魔法を受けてしまった。なんとか弾き返したが、弾き返した角度が悪かったのだろう。角度をつけて高さを持った氷の槍は、ドワーフの建物にまた刺さってしまった。
距離を置き過ぎると私を攻撃してこないで他の味方に当てにいく。距離を詰めたら私が弾ききれない。うーむ、手の打ちようが無くなってきた。ギリギリ私に注意が行くところまで距離を詰めるしか無いか。
いまいち戦い方が定まらないうちに、中型固有種が私に向かって突っ込んできた。大きな杖のようなもので私を薙ぎ払いながら、別の戦場に氷の槍を飛ばそうとしている。マズい。槍が発射される。
里長が魔法を弾き返してくれた。うお、危なかった・・・
「指揮は別のやつに任せてきた。剣聖が指揮官を抑えた分だけ、相手の指揮系統が乱れてきている。コイツの魔法を他の戦場に持ち込ませるな!ここで止めるぞ!」
「はい!」
接近戦も強い。魔法もある。そして攻撃と魔法を同時に扱うこともできる。
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