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58 マッチョさん、寝たがる
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「薄暗くなってきたし、今日はここで野営するか。まだしっかりと調べつくしてないからな。なにか他にも痕跡があるかもしれねぇしな。」
近くの比較的壊れていない建物の中にテントを張り拠点とした。食事を摂り、私が最初に歩哨に出た。まとめて四時間眠れるというのが大きい。ツイグはもう大いびきをかいている。お墓の近くだというのに神経が太いというか平気なのだな。
ん?フェイスさんが起きて近づいてきた。
「マッチョ、気づいているか?俺たち囲まれているぞ。」
フェイスさんが剣を抜いた。まったく気づかなかった。
「トロールって統率されていないんじゃないんですか?」アホみたいにとりあえず突っ込んでくるトロールばかり相手にしていたが、あれが統率されているとなるとけっこう危険だ。
「トロール以外の魔物かもしれねぇ。この辺ではトロール以外は出ないハズだけれどな。歩哨を替わる。ツイグを起こしていつでも脱出できるようにしろ。左目だけ閉じておけ。闇を利用する。ツイグも準備ができたら火を消すぞ。戦闘が始まったら左目を開けろ。」
完全にヤバい時のフェイスさんだ。敵は数十というところか。背後は取られたくないな。
私はツイグを起こし、静かな声で説明をした。荷物を減らし最小限にして戦闘と脱出に備える。運があれば取りに戻って来られるだろう。
私が建物の外に出て合図をしたら火が消えた。周囲でなにかが動く気配がする。
フェイスさんが戦闘を開始した。剣と剣がぶつかり火花が散る。
ん?剣と剣?
こん棒じゃなくて?
「・・・龍族か?」
「・・・なぜ人族がこんな僻地にまで来ている?」
「旅だ。剣を収めてくれないか?戦闘が目的じゃない。マッチョとツイグも武器を収めろ!」
「急に襲ってすまなかったな。なにか知性の高い魔物かと思った。火を使っているのが見えたのでな。」
「気にするな。ツイグ、火を起こしてくれ。龍族の集団だ。」
ツイグが松明に火を入れる。
これが龍族か。デカいな。身長2m30cm、体重は150㎏程度か?
うーむ、龍というよりもワニだな。大型のワニが二足歩行をしたらこうなりますというような外見だ。言葉遣いは知的だが戦闘能力は人間よりも高いだろう。全身が筋肉で覆われているという印象だ。
「アンタがこの集団の長か?」
「そうだ。」
「たしか一番槍は龍族の長の役割だったな。廃れているとはいえ、ここは人間王の領内だろ。アンタたちなんでこの遺跡に来ているんだ?」
「すまないが言えない。」
おそらく何度聞いたとしても返事は同じだろう。それほどに固い意志を感じた。
「・・・もしかして墓に関係していることか?」
「・・・人族がなぜそれを知っている?」
龍族が色めき立つ。このデカい相手に戦闘をすることになるのか?
「あそこに書いてある文字が読めるようになってな。俺たちはその調査に来たんだ。」
「・・・人族の戦士よ。私からは話せない。だが里長なら話せるだろう。我々の里に来て里長と話さないか?」
「・・・ちょっと遠いな。俺たちはここの調査が終わったら限界領域まで行くつもりだったんだ。」
「限界領域まで行くのであれば、我々からも戦士を出そう。三人では厳しいだろう。」
いい申し出じゃないか。なにより歩哨をせずにぐっすりと眠れるところがいい。
「フェイスさん行きましょう。魔物に襲われない場所でゆっくり寝たいです。」
「ギルマス、俺も寝たいっす・・・魔物が襲ってくるかもっていう緊張感でクタクタっす・・・」
「軍の経験が無いとこういう旅ではヘバっちまうか。仕方ない、龍族の里に行くか。なんでこんなところに龍族が来るのか興味もあるしな。」
これで数日ぶりにぐっすり眠れる。
私は軍人ではなくトレーニーなのだ。筋肉に悪い影響が出るような旅はやはりツライ。
近くの比較的壊れていない建物の中にテントを張り拠点とした。食事を摂り、私が最初に歩哨に出た。まとめて四時間眠れるというのが大きい。ツイグはもう大いびきをかいている。お墓の近くだというのに神経が太いというか平気なのだな。
ん?フェイスさんが起きて近づいてきた。
「マッチョ、気づいているか?俺たち囲まれているぞ。」
フェイスさんが剣を抜いた。まったく気づかなかった。
「トロールって統率されていないんじゃないんですか?」アホみたいにとりあえず突っ込んでくるトロールばかり相手にしていたが、あれが統率されているとなるとけっこう危険だ。
「トロール以外の魔物かもしれねぇ。この辺ではトロール以外は出ないハズだけれどな。歩哨を替わる。ツイグを起こしていつでも脱出できるようにしろ。左目だけ閉じておけ。闇を利用する。ツイグも準備ができたら火を消すぞ。戦闘が始まったら左目を開けろ。」
完全にヤバい時のフェイスさんだ。敵は数十というところか。背後は取られたくないな。
私はツイグを起こし、静かな声で説明をした。荷物を減らし最小限にして戦闘と脱出に備える。運があれば取りに戻って来られるだろう。
私が建物の外に出て合図をしたら火が消えた。周囲でなにかが動く気配がする。
フェイスさんが戦闘を開始した。剣と剣がぶつかり火花が散る。
ん?剣と剣?
こん棒じゃなくて?
「・・・龍族か?」
「・・・なぜ人族がこんな僻地にまで来ている?」
「旅だ。剣を収めてくれないか?戦闘が目的じゃない。マッチョとツイグも武器を収めろ!」
「急に襲ってすまなかったな。なにか知性の高い魔物かと思った。火を使っているのが見えたのでな。」
「気にするな。ツイグ、火を起こしてくれ。龍族の集団だ。」
ツイグが松明に火を入れる。
これが龍族か。デカいな。身長2m30cm、体重は150㎏程度か?
うーむ、龍というよりもワニだな。大型のワニが二足歩行をしたらこうなりますというような外見だ。言葉遣いは知的だが戦闘能力は人間よりも高いだろう。全身が筋肉で覆われているという印象だ。
「アンタがこの集団の長か?」
「そうだ。」
「たしか一番槍は龍族の長の役割だったな。廃れているとはいえ、ここは人間王の領内だろ。アンタたちなんでこの遺跡に来ているんだ?」
「すまないが言えない。」
おそらく何度聞いたとしても返事は同じだろう。それほどに固い意志を感じた。
「・・・もしかして墓に関係していることか?」
「・・・人族がなぜそれを知っている?」
龍族が色めき立つ。このデカい相手に戦闘をすることになるのか?
「あそこに書いてある文字が読めるようになってな。俺たちはその調査に来たんだ。」
「・・・人族の戦士よ。私からは話せない。だが里長なら話せるだろう。我々の里に来て里長と話さないか?」
「・・・ちょっと遠いな。俺たちはここの調査が終わったら限界領域まで行くつもりだったんだ。」
「限界領域まで行くのであれば、我々からも戦士を出そう。三人では厳しいだろう。」
いい申し出じゃないか。なにより歩哨をせずにぐっすりと眠れるところがいい。
「フェイスさん行きましょう。魔物に襲われない場所でゆっくり寝たいです。」
「ギルマス、俺も寝たいっす・・・魔物が襲ってくるかもっていう緊張感でクタクタっす・・・」
「軍の経験が無いとこういう旅ではヘバっちまうか。仕方ない、龍族の里に行くか。なんでこんなところに龍族が来るのか興味もあるしな。」
これで数日ぶりにぐっすり眠れる。
私は軍人ではなくトレーニーなのだ。筋肉に悪い影響が出るような旅はやはりツライ。
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