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61 マッチョさん、サバ缶を懐かしがる
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「ただの魔物災害じゃないっすか。龍族の人たちなら楽勝っぽいっすけれどね。」
「お若いの。ワシは統率能力のある固有種と言ったのだ。」
「つまり魔物の集団じゃなくて、魔物の軍団。トロールの軍隊だ。俺たちは軍の相手をしなくてはいけないんだ。」
「うぉ、すんませんでした・・・へ?俺たち?」
私たちも戦うのか。
「こんな僻地じゃハトも持ってないだろう。龍族と人族とはほとんど親交が無かったからな。」
「フェイスの言う通りじゃ。人族に再度の援軍を頼むつもりだったのだが、今から伝令を送っても間に合わないだろう。」
「統率型の固有種か・・・マッチョはドワーフの里でやったことがあるよな?」
「ドロスさんが一人で仕留めましたけれどね。私は魔法を使う固有種を足止めしただけです。」
「陣形や策を練られると龍族であっても手こずるだろうな。」
「知っていることは話したし、人族の領土に入った理由も話した。時間が無いかもしれないのだ。我々は個人の武については自信があるが、集団戦をほとんどやったことが無い。フェイス、マッチョ君、ツイグ君?、加勢を頼めないだろうか?」
「ひとつ条件があります。俺たちを別働隊にしてもらえないでしょうか?あと二人ほど足が速くて戦える龍族が欲しい。」
「・・・なにか策があるようだな。よろしい。準備しておこう。」
「あのー、俺も戦うんすか?」
「お前も別働隊の一人だ。ちょっとは期待しているぞ。」
ツイグがあからさまに逃げたいという顔をしている。また巻き込まれたのか、私は。
「族長。ドワーフの里で精霊の恩寵を受けた勇者の話は聞いていますか?」
ロキさんは真面目にトレーニングと育成を行っているはずだ。あと一カ月ほどすればロキさんの肉体改造も後進の育成も終わる。
「・・・初耳だな。やれやれ。やはり山にこもり切りというのは種族としてよろしくないな。勇者か・・・なるほど限界領域にまでお前が行きたがるワケだな・・・」
「なにか起きるとすれば、あそこに異変が起こるはずです。」
「だろうな。そちらは我々が対処しよう。人間国との連絡手段も確保せんといかんな。」
「近々のうちにハトを用意させます。いま狼煙は焚けますか?赤が出るならいい。」
「近くの山でならいいだろう。例の遺跡と我々の里の中間地点で赤の狼煙を炊こう。我々の里に多くの人が入ることは好ましいことではない。」
「ああそうか。そうでしたね。」
「敵が来るまで部屋を用意しておく。我々の里で客人としてゆっくりしていけばいい。」
部屋というよりも樹上の小屋だった。だが風通しがいいのでけっこう居心地はいい。藁のソファに藁のベッドか。しばらくはここで寝泊まりすることになりそうだ。
「ギルマスぅ、なんで俺らも戦わなくちゃいけないんすか?」
「統率力のある固有種を野放しにしていたら、さらにトロールの軍が膨らむぞ。軍としての規模が大きくなったら次はタベルナやソロウがやられる。逃げられてもダメだ。敵の規模がさらにデカくなる前に確実にここで仕留めるぞ。」
「う、うぃす・・・」
「あー、あとツイグ。お前短剣は使えるか?」
「へっ?いや果物を剥くくらいなら使えますけれど。」
「アホ。武器としてだ。弓が当たらなかったら接近戦になるだろうが・・・」
「・・・俺、接近戦をやらなくちゃいけないんすか?」
「接近戦にならないほど弓に自信があるならいいけれどな。付け焼刃だが短剣術を仕込んでやる。敵が来る前のヒマつぶしにちょうどいいだろう。」
ツイグのトレーニングをヒマつぶしと断言してしまった。
「フェイスさん、私たちいつまでこちらに滞在するんですか?」
「ん?敵が来て倒すまでだ。兵隊は待つのも仕事だ。」私は兵隊では無い。
「私の休暇が終わっちゃいますよ。」
「お前いちおう要人だろう?行き先もギルドに伝えておいたし、休暇を過ぎても帰って来なければこっち方面に軍を使ってお前と俺を探しに来るんじゃないのか?」
チョー適当だな、この人。
「まぁ人手が足りないんだ。ここで龍族を見殺しにするのも寝ざめが悪いだろうが。本来なら個人的な旅として来るんじゃなくて、仕事で来るような内容だからな。事情が事情なのだから王もゴチャゴチャ言わないだろう。」
言われてみればそうか。
それでもなにかあったら、ぜんぶフェイスさんのせいにすればいいか。
龍族の主食は果物と川魚だ。
ぶどう、なつめやし、メロンのようなもの。あまり甘くないので糖質として適度に摂取しても構わないだろう。
生の川魚を食べるワケにはいかないので、外に出て火を焚き、塩を振って焼いて食べた。
「魚なんざ久々に食ったな。」
「ソロウまで持ってくる人が減りましたからね。」
私は異世界に来てから初めて魚を食べた。塩をふって焚火で焼いただけなのだがけっこう美味しい。水の良さが魚の質へと直結しているのだろう。そういえば龍族の人たちが使っている槍は、魚を獲るための銛に似た形状をしているな。フェイスさんに聞いてみたら、三叉鎗という名前らしい。
魚を食べながら、私は以前にいた世界で夕食や夜食に水煮のサバ缶を愛用していたことを思い出した。低カロリー高タンパク低コスト。ダイエッターだけではなくトレーニーにも人気だ。酒飲みであればつまみにしてもいい。
水煮のサバ缶か。久しぶりに食べたいが、そもそもこの世界にサバはいるのだろうか?
「お若いの。ワシは統率能力のある固有種と言ったのだ。」
「つまり魔物の集団じゃなくて、魔物の軍団。トロールの軍隊だ。俺たちは軍の相手をしなくてはいけないんだ。」
「うぉ、すんませんでした・・・へ?俺たち?」
私たちも戦うのか。
「こんな僻地じゃハトも持ってないだろう。龍族と人族とはほとんど親交が無かったからな。」
「フェイスの言う通りじゃ。人族に再度の援軍を頼むつもりだったのだが、今から伝令を送っても間に合わないだろう。」
「統率型の固有種か・・・マッチョはドワーフの里でやったことがあるよな?」
「ドロスさんが一人で仕留めましたけれどね。私は魔法を使う固有種を足止めしただけです。」
「陣形や策を練られると龍族であっても手こずるだろうな。」
「知っていることは話したし、人族の領土に入った理由も話した。時間が無いかもしれないのだ。我々は個人の武については自信があるが、集団戦をほとんどやったことが無い。フェイス、マッチョ君、ツイグ君?、加勢を頼めないだろうか?」
「ひとつ条件があります。俺たちを別働隊にしてもらえないでしょうか?あと二人ほど足が速くて戦える龍族が欲しい。」
「・・・なにか策があるようだな。よろしい。準備しておこう。」
「あのー、俺も戦うんすか?」
「お前も別働隊の一人だ。ちょっとは期待しているぞ。」
ツイグがあからさまに逃げたいという顔をしている。また巻き込まれたのか、私は。
「族長。ドワーフの里で精霊の恩寵を受けた勇者の話は聞いていますか?」
ロキさんは真面目にトレーニングと育成を行っているはずだ。あと一カ月ほどすればロキさんの肉体改造も後進の育成も終わる。
「・・・初耳だな。やれやれ。やはり山にこもり切りというのは種族としてよろしくないな。勇者か・・・なるほど限界領域にまでお前が行きたがるワケだな・・・」
「なにか起きるとすれば、あそこに異変が起こるはずです。」
「だろうな。そちらは我々が対処しよう。人間国との連絡手段も確保せんといかんな。」
「近々のうちにハトを用意させます。いま狼煙は焚けますか?赤が出るならいい。」
「近くの山でならいいだろう。例の遺跡と我々の里の中間地点で赤の狼煙を炊こう。我々の里に多くの人が入ることは好ましいことではない。」
「ああそうか。そうでしたね。」
「敵が来るまで部屋を用意しておく。我々の里で客人としてゆっくりしていけばいい。」
部屋というよりも樹上の小屋だった。だが風通しがいいのでけっこう居心地はいい。藁のソファに藁のベッドか。しばらくはここで寝泊まりすることになりそうだ。
「ギルマスぅ、なんで俺らも戦わなくちゃいけないんすか?」
「統率力のある固有種を野放しにしていたら、さらにトロールの軍が膨らむぞ。軍としての規模が大きくなったら次はタベルナやソロウがやられる。逃げられてもダメだ。敵の規模がさらにデカくなる前に確実にここで仕留めるぞ。」
「う、うぃす・・・」
「あー、あとツイグ。お前短剣は使えるか?」
「へっ?いや果物を剥くくらいなら使えますけれど。」
「アホ。武器としてだ。弓が当たらなかったら接近戦になるだろうが・・・」
「・・・俺、接近戦をやらなくちゃいけないんすか?」
「接近戦にならないほど弓に自信があるならいいけれどな。付け焼刃だが短剣術を仕込んでやる。敵が来る前のヒマつぶしにちょうどいいだろう。」
ツイグのトレーニングをヒマつぶしと断言してしまった。
「フェイスさん、私たちいつまでこちらに滞在するんですか?」
「ん?敵が来て倒すまでだ。兵隊は待つのも仕事だ。」私は兵隊では無い。
「私の休暇が終わっちゃいますよ。」
「お前いちおう要人だろう?行き先もギルドに伝えておいたし、休暇を過ぎても帰って来なければこっち方面に軍を使ってお前と俺を探しに来るんじゃないのか?」
チョー適当だな、この人。
「まぁ人手が足りないんだ。ここで龍族を見殺しにするのも寝ざめが悪いだろうが。本来なら個人的な旅として来るんじゃなくて、仕事で来るような内容だからな。事情が事情なのだから王もゴチャゴチャ言わないだろう。」
言われてみればそうか。
それでもなにかあったら、ぜんぶフェイスさんのせいにすればいいか。
龍族の主食は果物と川魚だ。
ぶどう、なつめやし、メロンのようなもの。あまり甘くないので糖質として適度に摂取しても構わないだろう。
生の川魚を食べるワケにはいかないので、外に出て火を焚き、塩を振って焼いて食べた。
「魚なんざ久々に食ったな。」
「ソロウまで持ってくる人が減りましたからね。」
私は異世界に来てから初めて魚を食べた。塩をふって焚火で焼いただけなのだがけっこう美味しい。水の良さが魚の質へと直結しているのだろう。そういえば龍族の人たちが使っている槍は、魚を獲るための銛に似た形状をしているな。フェイスさんに聞いてみたら、三叉鎗という名前らしい。
魚を食べながら、私は以前にいた世界で夕食や夜食に水煮のサバ缶を愛用していたことを思い出した。低カロリー高タンパク低コスト。ダイエッターだけではなくトレーニーにも人気だ。酒飲みであればつまみにしてもいい。
水煮のサバ缶か。久しぶりに食べたいが、そもそもこの世界にサバはいるのだろうか?
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