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109話 タイムリミット
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鏡を前に、ボルグは歯を食いしばっていた。
胸を握りしめ、苦痛に顔をゆがめている。息もできないくらい胸が痛い、心臓を針で刺されているかのようだ。
膝が折れ、倒れかけた体を寸でのところで支える。無理やり笑みを作り、鏡に額を押し付けた。
「大丈夫……痛みは生きている証……これは喜び、痛みは喜び……笑え……笑え……!」
次第に痛みはやわらぎ、呼吸を整える。
発作の間隔が日増しに短くなっていた。痛みも強く、激しくなっていた。
「残された時間は、多くありませんか。それでも……いや、だからこそ……生きる事の楽しさが、理解できますね」
ボルグは汗をぬぐい、窓を開いた。
「光が眩しいですね。木の葉がこすれる音も心地よいし、土の匂いのなんてかぐわしい事か。風の柔らかい感触、吸う息の滑らかさ。五感の全てで、命を感じますね」
残された時間が短いからか、こうして普通に生きているだけで喜びを感じる。一瞬一瞬を大事にしようと、心から思えた。
最後までボルグ・ロックとして生きよう。自分で居られるこの瞬間を大事にして、心から美しく生き続けよう。
そう考えるようになれたのは、大事な二人の子供たちのおかげだ。
ハワードとリリーと過ごす日々はとても楽しくて、元気が湧いてくる。二人のおかげでボルグは、本来なら生きられない時間を、生き続けていた。
さて、弟子達を待たせている。早く行かねば。
中庭へ向かうと、リリーの姿が見えた。
十九歳になった彼女は、美しく成長していた。騎士修道会でも重要な仕事を任されるようになり、師匠としても鼻が高かった。
「遅れて申し訳ありません。それで、彼は?」
「いつものごとく遅刻ですよ。全くあの子猿……行動が子供の頃から変わってないんだから」
「それも彼の魅力ですよ。個性を大事にしないと個性を」
「限度があります。いつも思いますけど、あいつに対して甘すぎやしませんか?」
「まぁ息子ですし、どうしても親の贔屓が働いてしまうといいますか」
「全く……! な、なんかスースーする……!?」
リリーは顔を真っ赤にした。何者かに下着をはぎ取られたようだ。
頭上から声が聞こえてくる。見上げれば、教会の屋根に彼は居た。
「純白か、清楚なの履いてるねぇ」
「こ、こらぁハワード! 【窃盗】で人の下着を奪うなんて卑劣な真似を……降りてこーい!」
「降りたらハンマーで殴るだろ? 誰が下りるかよ!」
そう言ってけらけら笑うのは、ボルグの息子ハワード・ロック。十三歳に成長した、賢者の弟子だ。
リリー同様、彼の成長も著しい物だ。レベルは人類未踏の900を超え、魔力も身体能力も、常人を遥かに凌駕していた。
多分今の彼ならば、世界を滅ぼす事も可能だろう。だけど彼はそんな事はしない。そうならないよう、ボルグが育てたから。
スラムの片隅で震えていた姿はもう微塵も感じない。ただ、女性に対するマナーはなっていないようだが。
「ハワード君、無断で女性の下着を貰ってはいけませんよ。どうしても欲しいならばこうしなさい。リリーさん、ブラをいただいてもよろしいですか?」
「死ねド変態!」
リリーにぶん投げられて、ボルグは頭から地面に突き刺さった。相変わらず手厳しーい。
「頼んでダメなら盗むまでって奴さ。ほら返すよ、今度は紫のレースでも履いたらどう?」
「人のパンツ盗んだ挙句何をぬかしているかドスケベ!」
ハワードも地面にぶっ刺さり、馬鹿師弟のオブジェが出来上がった。
「いや~、見事なツッコミでしたねぇ。弟子の成長が嬉しくて私は嬉しいですよHAHAHA☆」
「もっと別の事で褒めて欲しいものなんですが……」
「そういやDカップまで育ったっけか。あのぺったんこが成長したもんだなぁ」
したり顔で語るハワードにリリーのヘッドロックが炸裂。あっという間に落とされた。
これから仕事だというのにパーティが半壊している。まぁ主に変態二人のせいであるが。
「ほらとっとと立つ! こんな馬鹿なやり取りをしてる暇なんかないんですからね!」
リリーは二人を縛り上げ、引きずって連れて行く。しかし二人は一瞬の隙を突き、【変わり身の術】で逃げ出した。
身代わりの丸太を引きずっていくリリーを眺め、ハワードはくすくす笑った。
「やっぱり便利なスキルだぜ、教えてくれてありがとな」
「愛弟子の頼みとあれば当然です」
「リリーに気付かれる前にとっとと逃げようぜ。バレたら余計に怒るだろうし……」
「本気でキレた彼女は私でも止められませんからねぇ……」
って事でこっそりと教会から抜け出す二人。ハワードは行動がすっかりボルグそっくりになっていた。
「よし、無事教会から脱出できたことだし……ケバブ食いに行こうぜ!」
「いいですよ。しかし君は本当にケバブが好きですねぇ」
「ボルグがあんな美味い物を教えるからだよ」
「ふーむ、ならば責任を取らねばいけませんね」
辛口ケバブを与えると、ハワードは嬉しそうに食べ始める。ケバブを食べる姿は、昔と全く変わらない。
「そういや、葉巻はいいの? 最近吸ってるのを見てないけど」
「禁煙したんですよ、ミントさんからヤニ臭さを指摘されてしまいましてねぇ」
「そうなのか。俺、ボルグが葉巻を吸う姿好きなんだけどな。大人の男って感じがしてカッコいいじゃん」
「なら、君も大人になったら吸ってみてください。その頃にはお酒の味も分かるようになりますよ」
「わかるかなぁ? コーヒーもそうだけど、どうしてボルグはあんなのを美味そうに飲めるんだよ?」
「大人だからです。君も大人になれば分かります」
「大人か。そうか、俺大人になれるんだよな。スラムの片隅に居た頃は、こんな事考えられなかったよ。いつもひもじくて、石投げられて、命を狙われて……毎日死ぬ事しか考えてなかったんだ。ボルグには、感謝してる。ボルグが拾ってくれたから、俺は……ここに居るんだ。けどさボルグ、どうして俺を拾ったんだ? あんな浮浪児の親になっても、何の得にもならないのに」
「理由ですか。そうですね……勿体ないと思ったからでしょう。出会った時の君はとても悲しい顔をしていました。世界には面白い物が沢山あるのに、「神の加護」を持つ君ならば私よりも沢山の楽しみを見つけられるのに、あんなスラムの片隅で朽ちてしまったら、あまりにももったいないじゃないですか。
君のような才ある子をそだてられて、私は幸せです。願わくば、こんな毎日がずっと続けばいいものですが」
「続くに決まってるじゃん。リリーも俺もボルグもずっと、ずーっと一緒に居られるに決まってる。何があっても、俺が絶対皆を守るからさ」
「とても頼もしいですねぇ」
「神の加護」を持っているハワードならば、きっと出来るだろう。
ハワードならば、沢山の人を幸せにできる。
ハワードならば、誰でも救えるヒーローになれる。
ハワードならば、必ず自分の遺志を引き継いでくれる。
他ならぬ、ボルグ・ロックの息子だからこそ、信じられる。
「や っ と 見 つ け た ぞ そ こ の 馬 鹿 師 弟!!!!」
王都全域に轟く怒声が飛んできた。
振り向けば、トゲ付きの金棒を握りしめたリリーが走ってきている。それはもう、鬼のような形相で、ドスドスドスと地響きを鳴らして、「ぶっ殺す」だの物騒な言葉を叫びながら。
「よし逃げましょう」
「合点だぜダディ」
二人はすたこらさっさと逃げ出した。勿論リリーが見逃すはずもなく、どこまでも、どこまでも追いかけていく。
くだらない、阿呆みたいなやり取りが、とても楽しかった。
こんなに幸せな時間が本当に、いつまでも続いて欲しい。続いて、ほしいものだった。
◇◇◇
「助けて……賢者様……!」
「勿論です、今すぐ薬を用意しますね」
病床に伏している村民に、ボルグは頼もしい返事をした。
数日前、突然アザレア西部の村に疫病が広まっていた。光臨教会は感染を広げぬよう賢者ボルグの一派を派遣し、事の収集に当たらせていた。
体がむくみ、四肢が赤紫に腫れ上がる奇病だった。だが幸いにもボルグは特効薬を作り上げており、投与された者は皆一命をとりとめていた。
ハワードとリリーも賢者を手伝い、方々を駆け回っている。薬を与えながら、ハワードは指揮を執るボルグを誇らしげに眺めた。
「こら、手を止めない」
「受け持ちはとっくに終わらせたよ。へへ……」
「何を笑ってるの?」
「いや、ボルグがカッコいいと思っただけだよ。加護が無くて、普段は俺様とバカ騒ぎしてるようなあほなおっさんなのに、いざ事件が起こったらあっという間に解決するんだぜ? 卑怯すぎるよな、あんなの。憧れちまうよ」
「否定はしないわ。こういう時は、あの人の弟子である事を誇りに思えるもの」
「だよな。ボルグは俺様の、永遠のヒーローだ」
力は無くとも、ボルグにはたくさんの人が集まってくる。賢者だからではない、誰かを救おうと行動する姿に、人々はついてくるのだ。
ボルグはハワードに大切な事を教えてくれる。時には言葉で、時には行動で、弟子達に真っすぐ向き合って育ててくれる。
「そんな風にされちゃあ、俺様だって期待に応えたくなるってもんさ」
「ハワード、どこに行くの?」
「ちょっと喧嘩にな。疫病をまき散らしたサンタクロースが様子を見に来たみたいだ」
突発的な疫病の発生を、ハワードは不自然すぎると思っていた。
こんな唐突に、一つの村が病魔に侵される。いくら何でも感染速度が速すぎる。裏で必ず、手ぐすねを引く奴が居るはずだ。
ハワードが顔を上げるなり、村に巨大な影がかぶさった。
『折角広めた病が消え始めたと思ったら、貴様の仕業か賢者ボルグ』
そう言ったのは、五メートルにもなる翼を広げた悪魔だった。見上げるほどの巨躯を持ち、禍々しい紅の剣を握りしめている。
ボルグは手を拭きながら、朗らかに悪魔へ笑顔を向けた。
「私を呼んだのは、あなたですか?」
『左様。我が名は覇王フラウロス! 噂程度は聞いた事があろう?』
「ふむ……数百年前に数国を滅亡まで追いやった危険な存在でしたか。確か当時の賢者が封印したはずですが」
『その通りだ。だが長き時の中で力を蓄え、封印を打ち破ったのだ! 我が力は数百年前の比ではない、手始めにアザレア王国を滅ぼし! この世を我が物にしてくれる!』
「なるほど、この疫病は挨拶代わりの攻撃というわけですね。明確な悪意を持っている以上、貴方を見逃すわけにはいきませんねぇ」
『貴様ごときに出来ると思うなよ!』
「ええ出来ません。ですから、力を借ります。私は自分が弱い事を知っています、だからこそ傍に居る人を信用し、頼るんです。人は誰しも万能ではない、役割があるのです」
『くどくどと下らぬ説法を説くか。地獄でも亡者相手に垂れているがいい!』
ボルグに剣が突き付けられる。しかし届く事はない。
ハワードが神速でボルグの前に立ち、剣を片手で掴んだ。
フラウロスがいくら押しても引っ張っても、剣はびくとも動かない。ハワードは口元に笑みを浮かべ、覇王をにらんだ。
「お任せしましたよ、ハワード君」
「おう、任せとけ!」
ボルグに頼られ、ハワードは張り切った。
フラウロスのどてっぱらに蹴りを叩きこみ、遥か彼方へ吹っ飛ばす。そのまま走って追いかけ、覇王の背後へ回った。
「頭突きっ!」
『あがはっ!?』
フラウロスの背中に頭から突っ込んで、背骨をへし折る。翼も紙を千切るようにもぎ取り、足を握ってジャイアントスイングで地面に叩きつけた。
『ぐふぅっ! な、んだこの力は……! に、人間とは思えぬ……!』
「世界に忘れられた、神の落し子。らしいぜ」
『! まさか貴様……「神の加護」の持ち主か!? 馬鹿な、有り得ん……千年に一度の才覚が……この時代に……!?』
「くどくど下らない事ぬかすなよ。例え世界がお前を許しても、俺だけはお前を許さない。お前はボルグに剣を向けた……万死に値する!」
一瞬でフラウロスに接近し、胸倉をつかむ。これで、奴は逃げられない。
『ま、待て! 話せばわか……』
「じゃあな」
ゼロ距離で【ファイアボール】を放ち、一撃でフラウロスを消滅させた。
疫病の原因は倒した、これでアザレアに病が広がる事もあるまい。
ハワードは意気揚々と帰り、ボルグとリリーに迎えられた。ボルグはハワードの頭を撫で、
「ありがとうございます、君にはいつも助けられてばかりですね。しかし、覇王フラウロスをたった一撃で倒してしまうとは」
「俺様にとっては朝飯前さ。なんでか分かる?」
「いいえ?」
「なぜなら、俺がハワード・ロックだからさ」
浮浪児の頃には、絶対に言えない決め台詞だった。
今のハワードは絶対の自信を持っている。大事な人が居るし、大切な名前もある。
自分が持っている「神の加護」。この力でこれからも、自分の大事な世界を守ってみせる。そう出来るだけの力を、持っているのだから。
自分なら何でもできる。ハワードは、信じて疑わなかった。
◇◇◇
「覇王フラウロス……文献を調べましたが、人の手に負えるような存在ではありません。そんな相手をいとも簡単に倒すとは。彼は私の手を、離れつつあるようですね」
疫病の一件から数日後。ハワードの成長を喜び、ボルグは目を細めた。
リリーはすでに一人前になっている。ハワードも教える事がなくなっていて、あとは自分の道を進むだけ。
心残りがあるとすれば、ただ一つ。
「ボルグ! ちょっと来てくれよ」
いきなりハワードが現れ、腕を引かれた。
連れていかれたのは、教会の一室だ。そこにはリリーと、画家が居た。
「おやおや、珍しいお客様がいらっしゃいますが、これは?」
「もうすぐボルグ様、お誕生日ですよね。少し早いですけど、私達から贈り物がしたくて」
「俺達三人の絵を書いてもらってさ、皆で持ち合おうぜ。いつでもどこでも、皆が傍に居られるように。ちょっとクサかったかな?」
「いいえ。とてもいいアイディアだと思いますよ」
画家は【複写】のスキルを持っていて、描いた絵を別のキャンパスにコピーできるそうだ。
ハワードに促され、ボルグは彼と一緒に腕を組み、胸を張った。
なんて素敵なプレゼントなのだろう。二人と過ごせるだけでも幸せなのに、こうして思い出に残る贈り物までもらえるなんて。
君たちは、私の誇りだ。
出来上がった絵画は見事な物だった。ボルグは二人を抱きしめ、
「ありがとうございます。大事に、しますね」
「ああ、してくれしてくれ! けどさっすが俺様、絵になってもかっこいいぜ」
「今日の主役はボルグ様でしょう。自分が目立ってどうするの」
いつも通りの二人のやりとりを見守り、ボルグは微笑んだ。
二人なら、大丈夫だ。きっと二人なら、正しい選択をしてくれる。
「ボルグ、どうしたんだ? なんか、ぼーっとしてるけど」
「いえ、少し……疲れただけですよ」
「……ボルグ様? 体が、熱くありませんか……?」
リリーが不安そうに顔を覗き込んでくる。心配かけまいと、ボルグは二人から体を離して、胸を張って。
後ろに、倒れ込んだ。
「……ボルグ……? ボルグ!?」
「ひどい冷や汗……! 誰か、誰か!」
弟子達の声が、どこか遠くに聞こえる。ずっと耐えていた胸の痛みが、さらに強くなった。
胸を握りしめ、苦痛に顔をゆがめている。息もできないくらい胸が痛い、心臓を針で刺されているかのようだ。
膝が折れ、倒れかけた体を寸でのところで支える。無理やり笑みを作り、鏡に額を押し付けた。
「大丈夫……痛みは生きている証……これは喜び、痛みは喜び……笑え……笑え……!」
次第に痛みはやわらぎ、呼吸を整える。
発作の間隔が日増しに短くなっていた。痛みも強く、激しくなっていた。
「残された時間は、多くありませんか。それでも……いや、だからこそ……生きる事の楽しさが、理解できますね」
ボルグは汗をぬぐい、窓を開いた。
「光が眩しいですね。木の葉がこすれる音も心地よいし、土の匂いのなんてかぐわしい事か。風の柔らかい感触、吸う息の滑らかさ。五感の全てで、命を感じますね」
残された時間が短いからか、こうして普通に生きているだけで喜びを感じる。一瞬一瞬を大事にしようと、心から思えた。
最後までボルグ・ロックとして生きよう。自分で居られるこの瞬間を大事にして、心から美しく生き続けよう。
そう考えるようになれたのは、大事な二人の子供たちのおかげだ。
ハワードとリリーと過ごす日々はとても楽しくて、元気が湧いてくる。二人のおかげでボルグは、本来なら生きられない時間を、生き続けていた。
さて、弟子達を待たせている。早く行かねば。
中庭へ向かうと、リリーの姿が見えた。
十九歳になった彼女は、美しく成長していた。騎士修道会でも重要な仕事を任されるようになり、師匠としても鼻が高かった。
「遅れて申し訳ありません。それで、彼は?」
「いつものごとく遅刻ですよ。全くあの子猿……行動が子供の頃から変わってないんだから」
「それも彼の魅力ですよ。個性を大事にしないと個性を」
「限度があります。いつも思いますけど、あいつに対して甘すぎやしませんか?」
「まぁ息子ですし、どうしても親の贔屓が働いてしまうといいますか」
「全く……! な、なんかスースーする……!?」
リリーは顔を真っ赤にした。何者かに下着をはぎ取られたようだ。
頭上から声が聞こえてくる。見上げれば、教会の屋根に彼は居た。
「純白か、清楚なの履いてるねぇ」
「こ、こらぁハワード! 【窃盗】で人の下着を奪うなんて卑劣な真似を……降りてこーい!」
「降りたらハンマーで殴るだろ? 誰が下りるかよ!」
そう言ってけらけら笑うのは、ボルグの息子ハワード・ロック。十三歳に成長した、賢者の弟子だ。
リリー同様、彼の成長も著しい物だ。レベルは人類未踏の900を超え、魔力も身体能力も、常人を遥かに凌駕していた。
多分今の彼ならば、世界を滅ぼす事も可能だろう。だけど彼はそんな事はしない。そうならないよう、ボルグが育てたから。
スラムの片隅で震えていた姿はもう微塵も感じない。ただ、女性に対するマナーはなっていないようだが。
「ハワード君、無断で女性の下着を貰ってはいけませんよ。どうしても欲しいならばこうしなさい。リリーさん、ブラをいただいてもよろしいですか?」
「死ねド変態!」
リリーにぶん投げられて、ボルグは頭から地面に突き刺さった。相変わらず手厳しーい。
「頼んでダメなら盗むまでって奴さ。ほら返すよ、今度は紫のレースでも履いたらどう?」
「人のパンツ盗んだ挙句何をぬかしているかドスケベ!」
ハワードも地面にぶっ刺さり、馬鹿師弟のオブジェが出来上がった。
「いや~、見事なツッコミでしたねぇ。弟子の成長が嬉しくて私は嬉しいですよHAHAHA☆」
「もっと別の事で褒めて欲しいものなんですが……」
「そういやDカップまで育ったっけか。あのぺったんこが成長したもんだなぁ」
したり顔で語るハワードにリリーのヘッドロックが炸裂。あっという間に落とされた。
これから仕事だというのにパーティが半壊している。まぁ主に変態二人のせいであるが。
「ほらとっとと立つ! こんな馬鹿なやり取りをしてる暇なんかないんですからね!」
リリーは二人を縛り上げ、引きずって連れて行く。しかし二人は一瞬の隙を突き、【変わり身の術】で逃げ出した。
身代わりの丸太を引きずっていくリリーを眺め、ハワードはくすくす笑った。
「やっぱり便利なスキルだぜ、教えてくれてありがとな」
「愛弟子の頼みとあれば当然です」
「リリーに気付かれる前にとっとと逃げようぜ。バレたら余計に怒るだろうし……」
「本気でキレた彼女は私でも止められませんからねぇ……」
って事でこっそりと教会から抜け出す二人。ハワードは行動がすっかりボルグそっくりになっていた。
「よし、無事教会から脱出できたことだし……ケバブ食いに行こうぜ!」
「いいですよ。しかし君は本当にケバブが好きですねぇ」
「ボルグがあんな美味い物を教えるからだよ」
「ふーむ、ならば責任を取らねばいけませんね」
辛口ケバブを与えると、ハワードは嬉しそうに食べ始める。ケバブを食べる姿は、昔と全く変わらない。
「そういや、葉巻はいいの? 最近吸ってるのを見てないけど」
「禁煙したんですよ、ミントさんからヤニ臭さを指摘されてしまいましてねぇ」
「そうなのか。俺、ボルグが葉巻を吸う姿好きなんだけどな。大人の男って感じがしてカッコいいじゃん」
「なら、君も大人になったら吸ってみてください。その頃にはお酒の味も分かるようになりますよ」
「わかるかなぁ? コーヒーもそうだけど、どうしてボルグはあんなのを美味そうに飲めるんだよ?」
「大人だからです。君も大人になれば分かります」
「大人か。そうか、俺大人になれるんだよな。スラムの片隅に居た頃は、こんな事考えられなかったよ。いつもひもじくて、石投げられて、命を狙われて……毎日死ぬ事しか考えてなかったんだ。ボルグには、感謝してる。ボルグが拾ってくれたから、俺は……ここに居るんだ。けどさボルグ、どうして俺を拾ったんだ? あんな浮浪児の親になっても、何の得にもならないのに」
「理由ですか。そうですね……勿体ないと思ったからでしょう。出会った時の君はとても悲しい顔をしていました。世界には面白い物が沢山あるのに、「神の加護」を持つ君ならば私よりも沢山の楽しみを見つけられるのに、あんなスラムの片隅で朽ちてしまったら、あまりにももったいないじゃないですか。
君のような才ある子をそだてられて、私は幸せです。願わくば、こんな毎日がずっと続けばいいものですが」
「続くに決まってるじゃん。リリーも俺もボルグもずっと、ずーっと一緒に居られるに決まってる。何があっても、俺が絶対皆を守るからさ」
「とても頼もしいですねぇ」
「神の加護」を持っているハワードならば、きっと出来るだろう。
ハワードならば、沢山の人を幸せにできる。
ハワードならば、誰でも救えるヒーローになれる。
ハワードならば、必ず自分の遺志を引き継いでくれる。
他ならぬ、ボルグ・ロックの息子だからこそ、信じられる。
「や っ と 見 つ け た ぞ そ こ の 馬 鹿 師 弟!!!!」
王都全域に轟く怒声が飛んできた。
振り向けば、トゲ付きの金棒を握りしめたリリーが走ってきている。それはもう、鬼のような形相で、ドスドスドスと地響きを鳴らして、「ぶっ殺す」だの物騒な言葉を叫びながら。
「よし逃げましょう」
「合点だぜダディ」
二人はすたこらさっさと逃げ出した。勿論リリーが見逃すはずもなく、どこまでも、どこまでも追いかけていく。
くだらない、阿呆みたいなやり取りが、とても楽しかった。
こんなに幸せな時間が本当に、いつまでも続いて欲しい。続いて、ほしいものだった。
◇◇◇
「助けて……賢者様……!」
「勿論です、今すぐ薬を用意しますね」
病床に伏している村民に、ボルグは頼もしい返事をした。
数日前、突然アザレア西部の村に疫病が広まっていた。光臨教会は感染を広げぬよう賢者ボルグの一派を派遣し、事の収集に当たらせていた。
体がむくみ、四肢が赤紫に腫れ上がる奇病だった。だが幸いにもボルグは特効薬を作り上げており、投与された者は皆一命をとりとめていた。
ハワードとリリーも賢者を手伝い、方々を駆け回っている。薬を与えながら、ハワードは指揮を執るボルグを誇らしげに眺めた。
「こら、手を止めない」
「受け持ちはとっくに終わらせたよ。へへ……」
「何を笑ってるの?」
「いや、ボルグがカッコいいと思っただけだよ。加護が無くて、普段は俺様とバカ騒ぎしてるようなあほなおっさんなのに、いざ事件が起こったらあっという間に解決するんだぜ? 卑怯すぎるよな、あんなの。憧れちまうよ」
「否定はしないわ。こういう時は、あの人の弟子である事を誇りに思えるもの」
「だよな。ボルグは俺様の、永遠のヒーローだ」
力は無くとも、ボルグにはたくさんの人が集まってくる。賢者だからではない、誰かを救おうと行動する姿に、人々はついてくるのだ。
ボルグはハワードに大切な事を教えてくれる。時には言葉で、時には行動で、弟子達に真っすぐ向き合って育ててくれる。
「そんな風にされちゃあ、俺様だって期待に応えたくなるってもんさ」
「ハワード、どこに行くの?」
「ちょっと喧嘩にな。疫病をまき散らしたサンタクロースが様子を見に来たみたいだ」
突発的な疫病の発生を、ハワードは不自然すぎると思っていた。
こんな唐突に、一つの村が病魔に侵される。いくら何でも感染速度が速すぎる。裏で必ず、手ぐすねを引く奴が居るはずだ。
ハワードが顔を上げるなり、村に巨大な影がかぶさった。
『折角広めた病が消え始めたと思ったら、貴様の仕業か賢者ボルグ』
そう言ったのは、五メートルにもなる翼を広げた悪魔だった。見上げるほどの巨躯を持ち、禍々しい紅の剣を握りしめている。
ボルグは手を拭きながら、朗らかに悪魔へ笑顔を向けた。
「私を呼んだのは、あなたですか?」
『左様。我が名は覇王フラウロス! 噂程度は聞いた事があろう?』
「ふむ……数百年前に数国を滅亡まで追いやった危険な存在でしたか。確か当時の賢者が封印したはずですが」
『その通りだ。だが長き時の中で力を蓄え、封印を打ち破ったのだ! 我が力は数百年前の比ではない、手始めにアザレア王国を滅ぼし! この世を我が物にしてくれる!』
「なるほど、この疫病は挨拶代わりの攻撃というわけですね。明確な悪意を持っている以上、貴方を見逃すわけにはいきませんねぇ」
『貴様ごときに出来ると思うなよ!』
「ええ出来ません。ですから、力を借ります。私は自分が弱い事を知っています、だからこそ傍に居る人を信用し、頼るんです。人は誰しも万能ではない、役割があるのです」
『くどくどと下らぬ説法を説くか。地獄でも亡者相手に垂れているがいい!』
ボルグに剣が突き付けられる。しかし届く事はない。
ハワードが神速でボルグの前に立ち、剣を片手で掴んだ。
フラウロスがいくら押しても引っ張っても、剣はびくとも動かない。ハワードは口元に笑みを浮かべ、覇王をにらんだ。
「お任せしましたよ、ハワード君」
「おう、任せとけ!」
ボルグに頼られ、ハワードは張り切った。
フラウロスのどてっぱらに蹴りを叩きこみ、遥か彼方へ吹っ飛ばす。そのまま走って追いかけ、覇王の背後へ回った。
「頭突きっ!」
『あがはっ!?』
フラウロスの背中に頭から突っ込んで、背骨をへし折る。翼も紙を千切るようにもぎ取り、足を握ってジャイアントスイングで地面に叩きつけた。
『ぐふぅっ! な、んだこの力は……! に、人間とは思えぬ……!』
「世界に忘れられた、神の落し子。らしいぜ」
『! まさか貴様……「神の加護」の持ち主か!? 馬鹿な、有り得ん……千年に一度の才覚が……この時代に……!?』
「くどくど下らない事ぬかすなよ。例え世界がお前を許しても、俺だけはお前を許さない。お前はボルグに剣を向けた……万死に値する!」
一瞬でフラウロスに接近し、胸倉をつかむ。これで、奴は逃げられない。
『ま、待て! 話せばわか……』
「じゃあな」
ゼロ距離で【ファイアボール】を放ち、一撃でフラウロスを消滅させた。
疫病の原因は倒した、これでアザレアに病が広がる事もあるまい。
ハワードは意気揚々と帰り、ボルグとリリーに迎えられた。ボルグはハワードの頭を撫で、
「ありがとうございます、君にはいつも助けられてばかりですね。しかし、覇王フラウロスをたった一撃で倒してしまうとは」
「俺様にとっては朝飯前さ。なんでか分かる?」
「いいえ?」
「なぜなら、俺がハワード・ロックだからさ」
浮浪児の頃には、絶対に言えない決め台詞だった。
今のハワードは絶対の自信を持っている。大事な人が居るし、大切な名前もある。
自分が持っている「神の加護」。この力でこれからも、自分の大事な世界を守ってみせる。そう出来るだけの力を、持っているのだから。
自分なら何でもできる。ハワードは、信じて疑わなかった。
◇◇◇
「覇王フラウロス……文献を調べましたが、人の手に負えるような存在ではありません。そんな相手をいとも簡単に倒すとは。彼は私の手を、離れつつあるようですね」
疫病の一件から数日後。ハワードの成長を喜び、ボルグは目を細めた。
リリーはすでに一人前になっている。ハワードも教える事がなくなっていて、あとは自分の道を進むだけ。
心残りがあるとすれば、ただ一つ。
「ボルグ! ちょっと来てくれよ」
いきなりハワードが現れ、腕を引かれた。
連れていかれたのは、教会の一室だ。そこにはリリーと、画家が居た。
「おやおや、珍しいお客様がいらっしゃいますが、これは?」
「もうすぐボルグ様、お誕生日ですよね。少し早いですけど、私達から贈り物がしたくて」
「俺達三人の絵を書いてもらってさ、皆で持ち合おうぜ。いつでもどこでも、皆が傍に居られるように。ちょっとクサかったかな?」
「いいえ。とてもいいアイディアだと思いますよ」
画家は【複写】のスキルを持っていて、描いた絵を別のキャンパスにコピーできるそうだ。
ハワードに促され、ボルグは彼と一緒に腕を組み、胸を張った。
なんて素敵なプレゼントなのだろう。二人と過ごせるだけでも幸せなのに、こうして思い出に残る贈り物までもらえるなんて。
君たちは、私の誇りだ。
出来上がった絵画は見事な物だった。ボルグは二人を抱きしめ、
「ありがとうございます。大事に、しますね」
「ああ、してくれしてくれ! けどさっすが俺様、絵になってもかっこいいぜ」
「今日の主役はボルグ様でしょう。自分が目立ってどうするの」
いつも通りの二人のやりとりを見守り、ボルグは微笑んだ。
二人なら、大丈夫だ。きっと二人なら、正しい選択をしてくれる。
「ボルグ、どうしたんだ? なんか、ぼーっとしてるけど」
「いえ、少し……疲れただけですよ」
「……ボルグ様? 体が、熱くありませんか……?」
リリーが不安そうに顔を覗き込んでくる。心配かけまいと、ボルグは二人から体を離して、胸を張って。
後ろに、倒れ込んだ。
「……ボルグ……? ボルグ!?」
「ひどい冷や汗……! 誰か、誰か!」
弟子達の声が、どこか遠くに聞こえる。ずっと耐えていた胸の痛みが、さらに強くなった。
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「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
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エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
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そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
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しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
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