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1頭目 ようこそ!アニマル商店街へ
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皆さん初めまして、私はゴールデンレトリバーのべぇと申します。今年で五歳を迎えました。
本日はようこそ、当商店街へとお越しいただきました。主人ともども心から歓迎いたします。
私の住まいは、東京都某市に造られた大型商業地区、「アニマル商店街」。
ここには私を始め、多くの動物達が放し飼いにされていて、各々が自由にのびのびと過ごしています。なんでも、「人と動物が共生できる環境」を目指して造られた都市計画だそうですね。私は犬なのでよくわからないのですが。
広さは東京ドーム二個分と非常に広くて、散歩をするのに困らないのが嬉しいですね。
私のご主人はラーメン屋を営んでいる、とても男らしい方です。朝から晩までとんこつのいい香りが鼻をくすぐって……犬の私にはたまりませんね。
「何ぼんやりしてるのよ、ぼんくら」
お客様を迎えながらラーメンの香りを堪能していると、私の前にひらりとしなやかな影が。いつも私と遊んでくださるアメリカンショートヘアーの「ちゃこさん」さんです。
「おや、ちゃこさんさんもお腹がすいたのですか? でも猫さんにラーメンはだめですよ」
「人間じゃないんだからそんなの食べないわよ。それと、私の名前はちゃこなの。ちゃこさんさんなんて奇妙な呼び方をしないで頂戴」
「ですが初めてお会いされた時に「ちゃこさん」と呼んでほしいと伺いましたので、その通りにしているのですけれど」
「だから普通にちゃこの下にさん付けすればいいの」
「ですがそれでは貴方と約束した呼び方が出来なくなります。男とは約束を守るものだとご主人様も申されていますから、私としてはちゃこさんさんと呼ばなければご主人様の飼い犬として申し訳がたたないといいますか」
「あーもううるさい! いつもいつも屁理屈こねて、頭固すぎるのよぼんくら犬」
おやおや、ご機嫌を損ねてしまったようです。まだ生後半年くらいですから、気難しい年ごろなのでしょうね。
ちゃこさんさんは私の背中に乗ると、頭をぱしぱし叩いてきました。
「さ、今日も見回りに行くわよ。この商店街の平和は私達「どうぶつ防衛隊」が守らなきゃならないんだから」
どうぶつ防衛隊、現在私とちゃこさんさんだけが所属している警備隊です。
と言っても、商店街にいらっしゃる動物さん達を訪ねていくだけなのですが。若い子らしい可愛らしい遊びですね。
毎日誘われていますが、若い子と歩けるのは楽しいものです。
「わかりました。それでは、お散歩に行きましょう」
「散歩じゃなくてパトロール」
痛い。猫パンチで叩かれてしまいました。
「大将、べぇがどっか行こうとしているぞ」
「おお! 散歩に行くのか? 気をつけろよ」
私を見送りながら、ご主人様はスマホを操作します。すると私の首輪が光りました。
『お散歩モードに移行しました。電子リード起動』
この商店街の動物達には、電子リードの着用が義務付けられています。
自宅から一定範囲離れると、自動で私達をお家へ案内してくれる機能なんです。おかげでちゃこさんさんと遊んでいても、安心してお散歩が出来ますね。
「お散歩に行く前に、ちゃこさんさんのご主人様にもご挨拶をしないといけませんね」
「いいわよそんなの、今日も仕事忙しそうだし、邪魔したくない」
「ほんのちょっとお邪魔するだけです。年長者として礼儀を通しませんと」
ちゃこさんさんのご主人様は里琴さんと申しまして、向かいでお花屋さんを営んでいる綺麗な方です。
お店に着きますと、里琴さんが迎えてくれました。顎や頬を撫でられて、思わず尻尾を振ってしまいます。
「べぇだ! いつもこの子と遊んでくれてありがとう、ちゃこ、べぇに迷惑かけちゃだめよ?」
「迷惑かけてるのはこっちのぼんくらよ、勘違いしないで」
里琴さんの手に猫パンチ。でも里琴さんは笑顔で見送ってくれます。
と、ふと私のご主人様と里琴さんの目が合いました。
お二人は照れた顔をすると、お店の奥に逃げてしまいます。どうやらお二人はお互いを気にしている様子です。
犬ですから協力出来ないのが悔しいです。何か力になれればいいのですが。
「こら、ちゃんと歩いてよ」
「失礼しました。さて、では今日はどこを歩きましょうか」
「行き先は私が決めるの。どうぶつ防衛隊の隊長は私なんだから」
ぺしぺしと尻尾で叩かれながら、今日の散歩へ向かいます。
さて、本日はどのような出会いがあるのか。今から楽しみですね。
※ゴールデンレトリバー
人気が高い大型犬の一種。イギリス原産。性格は非常に穏やかで協調性に富み、人間に同調する能力を持つ。元々は狩猟犬として獲物を持ち帰る役目を担っていた。
家族とともに生活する事を喜び、主人の願いを察知し、気に入られようとする努力家な面を持ち合わせている。
反面、人懐っこさのせいで番犬としては非常に不向き。飼い主と離れるのを極端に嫌がるため、しっかり遊んであげないと強いストレスを受けてしまう。
本日はようこそ、当商店街へとお越しいただきました。主人ともども心から歓迎いたします。
私の住まいは、東京都某市に造られた大型商業地区、「アニマル商店街」。
ここには私を始め、多くの動物達が放し飼いにされていて、各々が自由にのびのびと過ごしています。なんでも、「人と動物が共生できる環境」を目指して造られた都市計画だそうですね。私は犬なのでよくわからないのですが。
広さは東京ドーム二個分と非常に広くて、散歩をするのに困らないのが嬉しいですね。
私のご主人はラーメン屋を営んでいる、とても男らしい方です。朝から晩までとんこつのいい香りが鼻をくすぐって……犬の私にはたまりませんね。
「何ぼんやりしてるのよ、ぼんくら」
お客様を迎えながらラーメンの香りを堪能していると、私の前にひらりとしなやかな影が。いつも私と遊んでくださるアメリカンショートヘアーの「ちゃこさん」さんです。
「おや、ちゃこさんさんもお腹がすいたのですか? でも猫さんにラーメンはだめですよ」
「人間じゃないんだからそんなの食べないわよ。それと、私の名前はちゃこなの。ちゃこさんさんなんて奇妙な呼び方をしないで頂戴」
「ですが初めてお会いされた時に「ちゃこさん」と呼んでほしいと伺いましたので、その通りにしているのですけれど」
「だから普通にちゃこの下にさん付けすればいいの」
「ですがそれでは貴方と約束した呼び方が出来なくなります。男とは約束を守るものだとご主人様も申されていますから、私としてはちゃこさんさんと呼ばなければご主人様の飼い犬として申し訳がたたないといいますか」
「あーもううるさい! いつもいつも屁理屈こねて、頭固すぎるのよぼんくら犬」
おやおや、ご機嫌を損ねてしまったようです。まだ生後半年くらいですから、気難しい年ごろなのでしょうね。
ちゃこさんさんは私の背中に乗ると、頭をぱしぱし叩いてきました。
「さ、今日も見回りに行くわよ。この商店街の平和は私達「どうぶつ防衛隊」が守らなきゃならないんだから」
どうぶつ防衛隊、現在私とちゃこさんさんだけが所属している警備隊です。
と言っても、商店街にいらっしゃる動物さん達を訪ねていくだけなのですが。若い子らしい可愛らしい遊びですね。
毎日誘われていますが、若い子と歩けるのは楽しいものです。
「わかりました。それでは、お散歩に行きましょう」
「散歩じゃなくてパトロール」
痛い。猫パンチで叩かれてしまいました。
「大将、べぇがどっか行こうとしているぞ」
「おお! 散歩に行くのか? 気をつけろよ」
私を見送りながら、ご主人様はスマホを操作します。すると私の首輪が光りました。
『お散歩モードに移行しました。電子リード起動』
この商店街の動物達には、電子リードの着用が義務付けられています。
自宅から一定範囲離れると、自動で私達をお家へ案内してくれる機能なんです。おかげでちゃこさんさんと遊んでいても、安心してお散歩が出来ますね。
「お散歩に行く前に、ちゃこさんさんのご主人様にもご挨拶をしないといけませんね」
「いいわよそんなの、今日も仕事忙しそうだし、邪魔したくない」
「ほんのちょっとお邪魔するだけです。年長者として礼儀を通しませんと」
ちゃこさんさんのご主人様は里琴さんと申しまして、向かいでお花屋さんを営んでいる綺麗な方です。
お店に着きますと、里琴さんが迎えてくれました。顎や頬を撫でられて、思わず尻尾を振ってしまいます。
「べぇだ! いつもこの子と遊んでくれてありがとう、ちゃこ、べぇに迷惑かけちゃだめよ?」
「迷惑かけてるのはこっちのぼんくらよ、勘違いしないで」
里琴さんの手に猫パンチ。でも里琴さんは笑顔で見送ってくれます。
と、ふと私のご主人様と里琴さんの目が合いました。
お二人は照れた顔をすると、お店の奥に逃げてしまいます。どうやらお二人はお互いを気にしている様子です。
犬ですから協力出来ないのが悔しいです。何か力になれればいいのですが。
「こら、ちゃんと歩いてよ」
「失礼しました。さて、では今日はどこを歩きましょうか」
「行き先は私が決めるの。どうぶつ防衛隊の隊長は私なんだから」
ぺしぺしと尻尾で叩かれながら、今日の散歩へ向かいます。
さて、本日はどのような出会いがあるのか。今から楽しみですね。
※ゴールデンレトリバー
人気が高い大型犬の一種。イギリス原産。性格は非常に穏やかで協調性に富み、人間に同調する能力を持つ。元々は狩猟犬として獲物を持ち帰る役目を担っていた。
家族とともに生活する事を喜び、主人の願いを察知し、気に入られようとする努力家な面を持ち合わせている。
反面、人懐っこさのせいで番犬としては非常に不向き。飼い主と離れるのを極端に嫌がるため、しっかり遊んであげないと強いストレスを受けてしまう。
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