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2部
136話 迫られる選択
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遅れながら、三人はリナルドを追いかけた。
リナルドは村の入り口で、ナルガとミネバに保護されていた。ハローはほっとし、手を伸ばしたが、リナルドは払いのけてしまった。
「……あのね、ハロー。お願いがあるの。僕を、殺して」
「何を言い出すんだよ、いきなり」
「殺して! そうすればハローを助けられるんだ。全部思い出したんだ、お姉ちゃんが、教えてくれたんだ……」
リナルドは聖剣を指さした。
やはり姉との接触が、記憶を蘇らせたのだ。
「落ち着いて。思い出した事を、話してくれるかい?」
リナルドの話は舌足らずだったが、オクトが手記の情報を補足してくれたため、ハロー達は彼の生い立ちを知る事が出来た。
リナルドは一地方を治める裕福な家に生まれた。しかし彼が生まれた途端父親が急死し没落、落ち延びる先々で多くの不幸に見舞われ、リナルド達は明日をも知れない日々を送り続けた。
その生活の中で、母親は次第に狂い始めた。リナルドに憎しみを向け、暴力を振るわれるようになった。
姉のシェリーが庇ってくれたが、母親の虐待と、傷だらけになる姉の姿に、リナルドは心を痛め続けた。
「それでね、雪の日にね……お母さんは僕とお姉ちゃんを、恐い人達に預けたんだ」
「人売り、だな」
食うに困った母親は、姉弟を売った。人売り達から動物のように扱われた二人は、ある人物に買い取られた。その人物こそ、剣を打った錬金術師である。
奴は二人の他に幾人もの子供を買い、凄惨な人体実験を続けた。恐怖の日々の中で、リナルドはアルター化した者達の末路を見続けてしまった。
アルターは剣の魔力が自我を持って暴れる現象。その魔力の核となっているのが、剣に封じられた子供だ。
核となる子供は人体改造によって、無尽蔵の魔力を有している。怪物を構成する魔力は子供から供給されており、子供が居る限り怪物は不死である。加えてアルターは魔力で構成されているため、実体を持たない霊体のような存在だ。
アルターはこの性質により、世界の事象全てから外れているため、聖剣ですら一切の傷を負わない無敵の存在なのだ。
「ですが、魔剣にはほんの僅かにリナルド君の魔力が残っています。いわば怪物と同質の存在ですので、傷を付けられます」
「けどこんなもんでまともに戦えるわけがない。根本を解決するには、核をやらないとダメだろ。つまり……」
エドウィンの結論に誰もが口を閉ざした。
アルター化を止めるには、核である子供を殺す他ない。
「僕が居たら、怪物はずっと出てきちゃうんだ。でも僕を殺せば、もう出なくなる。ハローが危ない目に遭わずに済むんだよ」
リナルドはぽろぽろと泣き出した。
「僕ね、ハローが大好き。ナルガも大好き。いっぱい優しくしてくれて、美味しい物も食べさせてくれて、二人と一緒に居る時は、凄く幸せなんだ。でも……僕が居るとハローは殺されちゃうし、ハローが死んじゃったらナルガも悲しくなるし……お姉ちゃんが閉じ込められてるのに、僕だけが幸せになるなんてできない……僕が居るせいで、いっぱいの人が、不幸になっちゃうんだ……でも僕が死んだら皆、無事でいられるんだ……だから、殺して……お願い……僕が死ねばハローもナルガも、助かるから」
「馬鹿を言うな! リナルドを殺して解決など!」
「けどリナルドの言い分も合ってる。実際にハローは死にかけたんだ。村の事を考えれば、人身御供もやむなしだろ」
「エドウィン様! いくらなんでも酷すぎます!」
「なら他に方法があるのか? アルターはハローよりも強い、戦い続けてもハローが殺されるだけだ。ハローかリナルド、どっちかしか選べないのなら僕は、ハローを取る。それだけだ」
「ですが選択肢があまりにも……重すぎます」
誰もが困惑し、答えが出てこない。そんな中、皆の姿を見ていたハローは。
「リナルド、馬乗るか?」
リナルドに手を差し伸べ、こう言った。
リナルドは村の入り口で、ナルガとミネバに保護されていた。ハローはほっとし、手を伸ばしたが、リナルドは払いのけてしまった。
「……あのね、ハロー。お願いがあるの。僕を、殺して」
「何を言い出すんだよ、いきなり」
「殺して! そうすればハローを助けられるんだ。全部思い出したんだ、お姉ちゃんが、教えてくれたんだ……」
リナルドは聖剣を指さした。
やはり姉との接触が、記憶を蘇らせたのだ。
「落ち着いて。思い出した事を、話してくれるかい?」
リナルドの話は舌足らずだったが、オクトが手記の情報を補足してくれたため、ハロー達は彼の生い立ちを知る事が出来た。
リナルドは一地方を治める裕福な家に生まれた。しかし彼が生まれた途端父親が急死し没落、落ち延びる先々で多くの不幸に見舞われ、リナルド達は明日をも知れない日々を送り続けた。
その生活の中で、母親は次第に狂い始めた。リナルドに憎しみを向け、暴力を振るわれるようになった。
姉のシェリーが庇ってくれたが、母親の虐待と、傷だらけになる姉の姿に、リナルドは心を痛め続けた。
「それでね、雪の日にね……お母さんは僕とお姉ちゃんを、恐い人達に預けたんだ」
「人売り、だな」
食うに困った母親は、姉弟を売った。人売り達から動物のように扱われた二人は、ある人物に買い取られた。その人物こそ、剣を打った錬金術師である。
奴は二人の他に幾人もの子供を買い、凄惨な人体実験を続けた。恐怖の日々の中で、リナルドはアルター化した者達の末路を見続けてしまった。
アルターは剣の魔力が自我を持って暴れる現象。その魔力の核となっているのが、剣に封じられた子供だ。
核となる子供は人体改造によって、無尽蔵の魔力を有している。怪物を構成する魔力は子供から供給されており、子供が居る限り怪物は不死である。加えてアルターは魔力で構成されているため、実体を持たない霊体のような存在だ。
アルターはこの性質により、世界の事象全てから外れているため、聖剣ですら一切の傷を負わない無敵の存在なのだ。
「ですが、魔剣にはほんの僅かにリナルド君の魔力が残っています。いわば怪物と同質の存在ですので、傷を付けられます」
「けどこんなもんでまともに戦えるわけがない。根本を解決するには、核をやらないとダメだろ。つまり……」
エドウィンの結論に誰もが口を閉ざした。
アルター化を止めるには、核である子供を殺す他ない。
「僕が居たら、怪物はずっと出てきちゃうんだ。でも僕を殺せば、もう出なくなる。ハローが危ない目に遭わずに済むんだよ」
リナルドはぽろぽろと泣き出した。
「僕ね、ハローが大好き。ナルガも大好き。いっぱい優しくしてくれて、美味しい物も食べさせてくれて、二人と一緒に居る時は、凄く幸せなんだ。でも……僕が居るとハローは殺されちゃうし、ハローが死んじゃったらナルガも悲しくなるし……お姉ちゃんが閉じ込められてるのに、僕だけが幸せになるなんてできない……僕が居るせいで、いっぱいの人が、不幸になっちゃうんだ……でも僕が死んだら皆、無事でいられるんだ……だから、殺して……お願い……僕が死ねばハローもナルガも、助かるから」
「馬鹿を言うな! リナルドを殺して解決など!」
「けどリナルドの言い分も合ってる。実際にハローは死にかけたんだ。村の事を考えれば、人身御供もやむなしだろ」
「エドウィン様! いくらなんでも酷すぎます!」
「なら他に方法があるのか? アルターはハローよりも強い、戦い続けてもハローが殺されるだけだ。ハローかリナルド、どっちかしか選べないのなら僕は、ハローを取る。それだけだ」
「ですが選択肢があまりにも……重すぎます」
誰もが困惑し、答えが出てこない。そんな中、皆の姿を見ていたハローは。
「リナルド、馬乗るか?」
リナルドに手を差し伸べ、こう言った。
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