アラサーでクビになった魔王四天王ですが勇者に「結婚しよ」と告白され、溺愛されてるので今は幸せです

歩く、歩く。

文字の大きさ
175 / 207
3部

176話 新たな子宝

しおりを挟む
 二人が定期的にリナルドとの時間を作るようにしてから、義息子が寂しがる様子は無くなった。
 兄としての自覚も出て来たか、アマトの面倒も積極的に見るようになった。子供達が遊ぶ姿を、ハローとナルガは優しく見守っていた。
 そんな中で、もう一方の夫婦にも、待望の時期が訪れようとしていた。

「ミネバももうじきか」
「はいっ。もう楽しみで楽しみで、夜も眠れません」

 ミネバはナルガと話しながら、嬉しそうに腹をさすった。
 彼女も臨月に入っており、出産まで秒読みだ。大きく膨れた腹を見やり、ナルガは首を傾げた。

「しかし、私の時より大きい気がするが」
「そうなんですよね、胎動もちょっと激しくて、凄く元気なんです」
「息災なのは重畳な事だ。出産の時は私も手を貸そう」
「心強いです。早く会いたいなぁ」

 その願いは、一週間後に訪れた。
 翌週の昼頃、ミネバの陣痛が始まった。エドウィンはこれまでになく緊張し、マンチェスター夫妻の協力の下、己の子を取り上げた。

「っし……産まれた、産まれたぞ……!」

 元気な男の子だ。我が子を手に取り、産声にエドウィンは涙した。でも、何か違和感がある。ミネバの陣痛が、終わっていないのだ。

「まさか……! ミネバ! もうひと頑張りしてくれ!」
「どうしたんだよエド!?」
「もう一人居る……双子だ、双子だったんだ!」

 予想外の二人目に、ハローとナルガは慌てて準備した。
 程なくして二人目の男の子も産声を上げ、可愛らしい赤子が寝台に並んだ。ワイズナー夫妻は一人ずつ抱きかかえ、新たな家族を迎え入れた。

「双子だったなんて、言葉が出てきません……神よ、感謝します……!」
「…………」

 エドウィンは何も言わなかった。ハローは胸中を察し、エドウィンの肩を叩いた。

「二人とも疲れただろ、一息入れようか」
「ふん、お前にしちゃ、気が利いてるな」

 エドウィンは涙声になっていた。男二人で外に出ると、エドウィンはしゃがんで顔に手を当てた。

「おめでとう、これでエドもお父さんだな」
「何がおめでとうだ、子育てした事ないのに、いきなり二人も面倒見なきゃなんないんだぞ。ったく、ただでさえ面倒ごとは嫌いだってのに、双子だなんてさ……マジで神様、何考えてんだか……」

 いつもの皮肉にキレがない。ハローは親友の隣に座り、彼の心に寄り添った。
 彼の嫌味は、本心を隠すためのカーテンだ。本当は物凄く嬉しくて、感動しているのに。エドウィンは他人に弱味を見せるのが嫌いだからだ。
 そんな彼が唯一、弱味を見せられる人物が、ハローだ。

「どうだエド、今、どんな気持ちだ」
「……人生で一番に決まってるだろ、バカヤロー……」
「そっか。よかったな」
「ああ……本当に、よかったよ……」

 エドウィンが落ち着くまで、ハローは傍に居てあげた。
 子供の頃、孤独を紛らすために、肩を並べていた少年達は。
 今は互いに父親として、肩を並べていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...