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第十一話 そういうことか!
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「万里子さんって、君の話を聞いてる限りでは鬱病じゃないかと思うんだけど、診断受けてないの? 病院行ってなかったよね?」
「連れていこうとすると本人がめちゃくちゃ嫌がるんですよね……」
「今時、精神科に偏見持ってる人なんているんだね。国民病みたいなもんなのに」
なるほどなぁ、と、マドカさんが机を指先でとんとん、と叩いている。何かを考えているようだ。
「どうせだったら、マドカさんがデートついでに連れて行ってみてくださいよ」
「え、いいの?」
「やっぱなし!!」
ええい、冗談が冗談で通じない!!
「まあ、こないだ話してたようにみんなで行きましょう、皆で。なんちゃらセンターにもいかないといけないしね」
「君の許可さえあれば、俺と万里子さんの二人で……」
「三人で!」
ちっと舌打ちが聞こえたような気がしたが、母は私が守る。この熟女ハンターめ。
面白くなさそうな顔でマドカさんがコーヒーをすすり、「じゃあ、次ね」と話しだした。
「とりあえず、パソコンのこと、明日は無理だから、君、次のバイトいつ?」
当たり前のようにシフトを聞かれる。もうどうにでもなれ、の気持ちで抵抗する気が失せている私は話すことにした。しかし。
「マドカさんって暇人なんですか!? なんでここまで私に付きっ切りでできるの!?」
「暇ってほど暇じゃないけど、時間を自分の裁量で作って動かせるだけだよ」
驚くべきなのは社会人ぽいマドカさんの方。ちゃんと働いているみたいではあるんだけれど……それってカタギじゃないってことだろうか。何して生きている人なのか、全然わからない。
「今のペースだったら万垢なんて全然無理だよ。どういうプランを考えているか、ざっとでいいから次会う時には持っておいで」
偉そうな態度で、死に物狂いで頑張れよ、と嫌らしい笑いをされた。それに死ぬほどむかついたけれど仕方ないだろう。
家に帰ってパソコンくらい自分で使えるようになろうか、と初めて立ち上げた。
授業でちょっと触ったことはあるけれど、あんなに力説されるような利便性がわからないんだよね。
スマートフォンならフリック入力と音声入力できるし、そっちの方が楽だと思うし。キーボード触るの慣れてないし。
取扱説明書を見ながらも、わからなくなったらスマートフォンで調べながらやってみたら、意外と簡単にネットに繋ぐことができた。
最初の一歩を踏み出すのが一番大変なのかもしれない何事も。
……これは楽かも、と思ったのは、字が大きいところ。
スマートフォンだとどうしても字が小さいから目が疲れる。
あと、マウスで範囲指定してコピーアンドペーストは失敗しにくい。
私のスマートフォンだと感度のせいか、どうにもやりにくくて。
でも寝っ転がって見られないけれどね。そこはスマートフォンに軍配が上がる。
パソコンからSNSを開き、皆の流れる発言を見て、いろんな人が色んなことを勝手に言ってる様子をいつものように眺める。
ほんと、世の中って色んな人がいるんだなぁ。
同じことでもそれに対する反応は、それこそ千差万別だ。そしてそれが不思議で面白い。
アカウント名しかわからないけれど、この向こうには誰かがいて、その人にもちゃんと暮らしてて。その人たちの呟きは、その人の人生のほんとちょっとしか見えてない。
可愛い美少女のアカウントの向こうは、おじさんかもしれないしね。
そして、自分のアカウントを見ながら、自分はどのような人だと思われているんだろうと思った。
まず、ニッキーのファンということは前面に出しているからわかるだろう。でも、それ以外は?
ニッキーファンとしてSNSを運営して、と言われたのでニッキーのファンと繋がり、相手からもフォローしてもらえばいいのかと思っていたけれど、だいたい、ニッキーのファン自体が一万人もいなかったらどうするんだ? 失礼なこと言うようだけれどさーあ。
となると、私のやるべきことは、そうじゃないのでは?
別にニッキーファンを1万人集めろって言われたわけじゃないよね?
それなら別にニッキーファンじゃなくて最悪、高松志保ファン1万人でもいいんじゃない?
人はどういう時に相手と繋がりたいと思うんだ?
例えば、美味しそうなご飯を写真撮っている人は何を見た人に求めている?
飯テロ~www と返信をした人は、その写真から「美味しそう」ということを受け取ったわけで。
それが繋がりだとしたら、フォローしたりするのは、お互いの感情の共有であり、つまり共感なんだ。
何も、ニッキーファンとしての私でなく、高松志保という素材の中のいくつもの要素から、その要素ごとに共有したい人と繋がってもいいんだ。
そうすれば、繋がれる相手がその要素の数だけ膨らむ。
例えば同じ女子高生同士だから、ということで仲良くなった相手がたまたまニッキーファンだった、というだけでもいいじゃないか。
マドカさんが求めているのは、もしかしたら、そういうことなのだろうか?
そうなると、みんなが私に美容について配信をやれというのは、それで釣った人を、SNSのアカウントに流し込めということだろうか。
文字だけ繋がっているSNSだと知れる相手には限界があるから、その媒体以外の動画からなら被らずに興味を持った人を効率的に集められるから。
あえてこの私に美容動画配信をしろ、というところにも意図がありそうだ。
みんな、顔に自信あるからこそ配信をするのだろうに、なんで……と思いつつ、パソコンで早速美容系動画を見る。
でもみんながみんな綺麗なわけじゃない。綺麗にはしていると思うけれど。
美容動画もピンキリだなぁというような失礼な雑感を抱いたのは内緒だ。
実際のところみんな人間なのだから、どこかしらに欠点があるはず。それを乗り越えて配信をしているんだなぁ、とは思ったかな。
逆にいうと、私みたいに美にも興味なく美しくもない人間が、そこそこ美しくなっただけでも、それは大きなインパクトになるのでは?
よし、言われてたみたいにお金かけずに美人になる。その方向性でやってみよう。プチプラすら買わないで、どこまで綺麗になれるかをみんなに見てもらうという感じなら、少なくとも私の懐は痛まないしな。
ほんとの意味で「0からスタート美容法」の計画を立ててみようか。
「連れていこうとすると本人がめちゃくちゃ嫌がるんですよね……」
「今時、精神科に偏見持ってる人なんているんだね。国民病みたいなもんなのに」
なるほどなぁ、と、マドカさんが机を指先でとんとん、と叩いている。何かを考えているようだ。
「どうせだったら、マドカさんがデートついでに連れて行ってみてくださいよ」
「え、いいの?」
「やっぱなし!!」
ええい、冗談が冗談で通じない!!
「まあ、こないだ話してたようにみんなで行きましょう、皆で。なんちゃらセンターにもいかないといけないしね」
「君の許可さえあれば、俺と万里子さんの二人で……」
「三人で!」
ちっと舌打ちが聞こえたような気がしたが、母は私が守る。この熟女ハンターめ。
面白くなさそうな顔でマドカさんがコーヒーをすすり、「じゃあ、次ね」と話しだした。
「とりあえず、パソコンのこと、明日は無理だから、君、次のバイトいつ?」
当たり前のようにシフトを聞かれる。もうどうにでもなれ、の気持ちで抵抗する気が失せている私は話すことにした。しかし。
「マドカさんって暇人なんですか!? なんでここまで私に付きっ切りでできるの!?」
「暇ってほど暇じゃないけど、時間を自分の裁量で作って動かせるだけだよ」
驚くべきなのは社会人ぽいマドカさんの方。ちゃんと働いているみたいではあるんだけれど……それってカタギじゃないってことだろうか。何して生きている人なのか、全然わからない。
「今のペースだったら万垢なんて全然無理だよ。どういうプランを考えているか、ざっとでいいから次会う時には持っておいで」
偉そうな態度で、死に物狂いで頑張れよ、と嫌らしい笑いをされた。それに死ぬほどむかついたけれど仕方ないだろう。
家に帰ってパソコンくらい自分で使えるようになろうか、と初めて立ち上げた。
授業でちょっと触ったことはあるけれど、あんなに力説されるような利便性がわからないんだよね。
スマートフォンならフリック入力と音声入力できるし、そっちの方が楽だと思うし。キーボード触るの慣れてないし。
取扱説明書を見ながらも、わからなくなったらスマートフォンで調べながらやってみたら、意外と簡単にネットに繋ぐことができた。
最初の一歩を踏み出すのが一番大変なのかもしれない何事も。
……これは楽かも、と思ったのは、字が大きいところ。
スマートフォンだとどうしても字が小さいから目が疲れる。
あと、マウスで範囲指定してコピーアンドペーストは失敗しにくい。
私のスマートフォンだと感度のせいか、どうにもやりにくくて。
でも寝っ転がって見られないけれどね。そこはスマートフォンに軍配が上がる。
パソコンからSNSを開き、皆の流れる発言を見て、いろんな人が色んなことを勝手に言ってる様子をいつものように眺める。
ほんと、世の中って色んな人がいるんだなぁ。
同じことでもそれに対する反応は、それこそ千差万別だ。そしてそれが不思議で面白い。
アカウント名しかわからないけれど、この向こうには誰かがいて、その人にもちゃんと暮らしてて。その人たちの呟きは、その人の人生のほんとちょっとしか見えてない。
可愛い美少女のアカウントの向こうは、おじさんかもしれないしね。
そして、自分のアカウントを見ながら、自分はどのような人だと思われているんだろうと思った。
まず、ニッキーのファンということは前面に出しているからわかるだろう。でも、それ以外は?
ニッキーファンとしてSNSを運営して、と言われたのでニッキーのファンと繋がり、相手からもフォローしてもらえばいいのかと思っていたけれど、だいたい、ニッキーのファン自体が一万人もいなかったらどうするんだ? 失礼なこと言うようだけれどさーあ。
となると、私のやるべきことは、そうじゃないのでは?
別にニッキーファンを1万人集めろって言われたわけじゃないよね?
それなら別にニッキーファンじゃなくて最悪、高松志保ファン1万人でもいいんじゃない?
人はどういう時に相手と繋がりたいと思うんだ?
例えば、美味しそうなご飯を写真撮っている人は何を見た人に求めている?
飯テロ~www と返信をした人は、その写真から「美味しそう」ということを受け取ったわけで。
それが繋がりだとしたら、フォローしたりするのは、お互いの感情の共有であり、つまり共感なんだ。
何も、ニッキーファンとしての私でなく、高松志保という素材の中のいくつもの要素から、その要素ごとに共有したい人と繋がってもいいんだ。
そうすれば、繋がれる相手がその要素の数だけ膨らむ。
例えば同じ女子高生同士だから、ということで仲良くなった相手がたまたまニッキーファンだった、というだけでもいいじゃないか。
マドカさんが求めているのは、もしかしたら、そういうことなのだろうか?
そうなると、みんなが私に美容について配信をやれというのは、それで釣った人を、SNSのアカウントに流し込めということだろうか。
文字だけ繋がっているSNSだと知れる相手には限界があるから、その媒体以外の動画からなら被らずに興味を持った人を効率的に集められるから。
あえてこの私に美容動画配信をしろ、というところにも意図がありそうだ。
みんな、顔に自信あるからこそ配信をするのだろうに、なんで……と思いつつ、パソコンで早速美容系動画を見る。
でもみんながみんな綺麗なわけじゃない。綺麗にはしていると思うけれど。
美容動画もピンキリだなぁというような失礼な雑感を抱いたのは内緒だ。
実際のところみんな人間なのだから、どこかしらに欠点があるはず。それを乗り越えて配信をしているんだなぁ、とは思ったかな。
逆にいうと、私みたいに美にも興味なく美しくもない人間が、そこそこ美しくなっただけでも、それは大きなインパクトになるのでは?
よし、言われてたみたいにお金かけずに美人になる。その方向性でやってみよう。プチプラすら買わないで、どこまで綺麗になれるかをみんなに見てもらうという感じなら、少なくとも私の懐は痛まないしな。
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