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魔蜂の毒
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魔蜂の一針は鋭く容赦ない、羽音に気付いた時には視界の中に女の顔があった、ヒュンッ ジグロが左胸を貫いている「あっ!?」信じられない、ダーク・エリクサーで選民され長い時間をかけて書き換えてきた、以前とは比較にならない身体能力を手に入れて非選民を蹂躙してきた、超人になったはずだった。
それが刃を交える事さえ叶わず屠られる、グリリッ 抵抗なく吸い込まれた刃を身体の中で捩る、徹底的な破壊、ゾンビでさえ復活できないだろう。
刃の向こうに女の顔が見える、なんて無機質で無表情な顔だ、人を殺そうというときに何故そんな顔なのだ?
「ぐおっ!!」胸に激烈な痛みが走る、世界が光を失っていく向こうに走馬灯の光が見えた・・・・・・これが死か。
ジグロは突き刺さった状態から肋骨を避けて横向きにタロスの身体からなんの抵抗もないように脱出していく。
出血の少ない綺麗な切り口、しかし内臓はメチャメチャに破壊されている、タロスはエミーの全身を見ることなく絶命した。
「貴方が幽霊女さん・・・・・・ですか」
精一杯の虚勢と時間稼ぎ、ニュクスはエミーと向き合う、毒蜂の周りだけが色を失うほどに冷たい、僅かに何かの花の匂いがした。
「貴方はスピードが自慢なのでしょう、一撃の抜きあいで勝負するのはどう?」
初めて女が言葉を発した、穏やかな声だ、高揚も怯えもない、この状況で平常心を保っていられるのが不気味だ。
ニュクスは足を生かして逃走する方法を選んだ、バッ 形振り構わずに全力で森を駆けた、背の低い枝が邪魔をしてスピードが乗らない、振り返りたい衝動を抑えて前だけを向いて足を動かす、どのくらい走ったのか分からない、一分なのか十分なのか時間の感覚が恐怖に狭窄する。
小柄な女だと舐めていた判断を後悔するが遅い、幽霊女を割り振ったフレディを呪った、奴はきっとJBからの情報でこうなることを予期していたに違いない。
目の前に道が開けた!鬱陶しい森を抜けた!あと少し行けば馬を繋いである、逃げ切れる!
「!!」ニュクスは絶望を見た、道には既に幽霊女が立っていた、自分よりも早く森を抜けていたのだ「くそぉっ、ハァハァッ どうやって・・・・・・」息が上がって言葉が続かない。
「遅いわね、基本が出来ていない、ホランドが言うほどじゃない」汗ひとつ息ひとつ切らしていない、まるで無機質な機械、つけ入る隙がない、自分が平凡な人間に思えた、踏みつけてきた自信が砕けた。
種明かしは簡単だ、森から道までの最短をエミーは抜けたに過ぎない、狭窄した視界がニュクスから方向感覚を奪っていた。
「どうする、まだやる?」女の見下げた視線にカッと血が昇る、ギリッと奥歯を噛んだが言葉が出ない。
「聞いてあげる、貴方は何者?そして目的は?簡潔に二十文字以内で答えて!出来ないなら殺す」スウッと目が細くなる、本気だ。
「答えたならどうなる?」
「殺さない、そして伝言を頼みたいの」
「・・・・・・」一太刀も抜かずに負けを認めて帰れば、主席やアポサル様にどんな評価をされるか、選民から外される屈辱とプライドが右手をサーベルの柄に誘う。
女の表情も姿勢も変わらない、でも・・・・・・さっきから何回切られた?幻影の刃が無数に自分の身体に届いている。
測られている、氷のような女の視線が呼吸と感情の動き、脳が指令する電流まで視ている、殺意を向けた瞬間に幻影は現実となると分かる、それほどはっきりとした感覚、ニュクスは相手の感覚を捉えるのを得意としていた、いわばエミーの劣化版だ、その共感能力がよりエミーの発信する共感を受けて具体的な映像として脳に刻む、魔蜂の毒針が首元に突き付けられている。
右手かギリギリと震える、プライドと恐怖の拮抗は恐怖が勝った。
「わっ、わかった、伝言役を引き受けよう」
サーベルを抜かずに地面に落とした。
「そう、良かった、殺しは好きじゃないの、嫌いでもないけどね」
「はっ、ははっ、そう・・・・・・なんだ」森の中に置き去りの仲間三人を思った、最強を誇ったハウンド四人が抜く事さえ出来ずにたった一人!華奢な女に!!
「約束だ、私はノスフェラトゥ教団のハウンド、猟犬の七人が一人、そして目的はイブを探している」
「イブとは何?」
「ダーク・エリクサーの精製のためだ、始祖となるイブの血が必要だ」
「貴方たちがエリクサーを作っているの?凄いわね、あの赤い小瓶のことね、なら既に持っているのに何故そのイブとやらが必要なの」
「あれはプロトタイプ、個人に合わせる必要がある、効果も劣るらしい、らしいというのは本物を知らないからだ、アポサル様がいうダーク・エリクサーは違うそうだ」
「面白い話ね、それで私やエルザ達の血がイブ候補だとでも言いたいの」
「そう聞いている、適正のある者には体のどこかに鱗状の痣があるそうだ、貴方にもあるんじゃないか?」
「痣?どうかしらね、自分の身体をそんなにしげしげとは見ないもの、フフッ神薬エリクサーに悪魔の血が必要だなんて笑わせるわ、それはエリクサーじゃない、別なものね」
「奇跡であることに違いはない、貴方も試せば納得するはずだ、アポサル様の偉大な夢、それは不老不死の神の国を創る事、我々は神の使徒だ」
「不老不死なんて本気なの!?馬鹿げている」
「くっ、僕に言わせれば君の強さの方が馬鹿げていると言いたいよ」
「それは違う、私の技は師匠の理論と実戦で培われたもの、単に身体能力だけでは到達できない」
「やめよう、殺しあった者同士でする議論じゃない、何を伝えればいい、約束だ、屈辱に塗れようと伝える」
「そうね、私に用があるならこちらから出向くから待っていなさい、行ってあげるわ」
「!?」
「私はエミー、フレジィ・エミーよ、毒蜂の針をもつ者、毒が欲しいならあげるわ、そのかわり命の保証はしない、そう伝えて」
「分かった、僕はニュクス、ハウンドのニュクスだ」
「デートの場所はどこがいいかしら」
「港町ニース、詳細はそこで知ることになるだろう」
「楽しみにしているわ」
美しい魔蜂がゾクリと笑う、背を向ければ毒針に貫かれそうで正面を向いたまま後ずさる。
繋いだ馬に向かうニュクスにサーベルを放って返す「忘れものよ」、やっとのことで馬に跨ったニュクスは、全力で振り返らずに視界から消えていった。
指を首に伸ばす、目を細くして次を考える、ノスフェラトゥ教団の目的は血、既にエルザたちの血は手に入れているはず、それとニュクスは猟犬の七人と言った、ここに現れたのは四人、残りも来ている可能性がある。
来ているとすればその目的は・・・・・・ダーク・エリクサーの試飲か。
エルザ達のいるマナーハウスが危険だ、トマスやカーニャは関連がないと考えてもいいだろう、優先順位はマナーハウスだ!
それが刃を交える事さえ叶わず屠られる、グリリッ 抵抗なく吸い込まれた刃を身体の中で捩る、徹底的な破壊、ゾンビでさえ復活できないだろう。
刃の向こうに女の顔が見える、なんて無機質で無表情な顔だ、人を殺そうというときに何故そんな顔なのだ?
「ぐおっ!!」胸に激烈な痛みが走る、世界が光を失っていく向こうに走馬灯の光が見えた・・・・・・これが死か。
ジグロは突き刺さった状態から肋骨を避けて横向きにタロスの身体からなんの抵抗もないように脱出していく。
出血の少ない綺麗な切り口、しかし内臓はメチャメチャに破壊されている、タロスはエミーの全身を見ることなく絶命した。
「貴方が幽霊女さん・・・・・・ですか」
精一杯の虚勢と時間稼ぎ、ニュクスはエミーと向き合う、毒蜂の周りだけが色を失うほどに冷たい、僅かに何かの花の匂いがした。
「貴方はスピードが自慢なのでしょう、一撃の抜きあいで勝負するのはどう?」
初めて女が言葉を発した、穏やかな声だ、高揚も怯えもない、この状況で平常心を保っていられるのが不気味だ。
ニュクスは足を生かして逃走する方法を選んだ、バッ 形振り構わずに全力で森を駆けた、背の低い枝が邪魔をしてスピードが乗らない、振り返りたい衝動を抑えて前だけを向いて足を動かす、どのくらい走ったのか分からない、一分なのか十分なのか時間の感覚が恐怖に狭窄する。
小柄な女だと舐めていた判断を後悔するが遅い、幽霊女を割り振ったフレディを呪った、奴はきっとJBからの情報でこうなることを予期していたに違いない。
目の前に道が開けた!鬱陶しい森を抜けた!あと少し行けば馬を繋いである、逃げ切れる!
「!!」ニュクスは絶望を見た、道には既に幽霊女が立っていた、自分よりも早く森を抜けていたのだ「くそぉっ、ハァハァッ どうやって・・・・・・」息が上がって言葉が続かない。
「遅いわね、基本が出来ていない、ホランドが言うほどじゃない」汗ひとつ息ひとつ切らしていない、まるで無機質な機械、つけ入る隙がない、自分が平凡な人間に思えた、踏みつけてきた自信が砕けた。
種明かしは簡単だ、森から道までの最短をエミーは抜けたに過ぎない、狭窄した視界がニュクスから方向感覚を奪っていた。
「どうする、まだやる?」女の見下げた視線にカッと血が昇る、ギリッと奥歯を噛んだが言葉が出ない。
「聞いてあげる、貴方は何者?そして目的は?簡潔に二十文字以内で答えて!出来ないなら殺す」スウッと目が細くなる、本気だ。
「答えたならどうなる?」
「殺さない、そして伝言を頼みたいの」
「・・・・・・」一太刀も抜かずに負けを認めて帰れば、主席やアポサル様にどんな評価をされるか、選民から外される屈辱とプライドが右手をサーベルの柄に誘う。
女の表情も姿勢も変わらない、でも・・・・・・さっきから何回切られた?幻影の刃が無数に自分の身体に届いている。
測られている、氷のような女の視線が呼吸と感情の動き、脳が指令する電流まで視ている、殺意を向けた瞬間に幻影は現実となると分かる、それほどはっきりとした感覚、ニュクスは相手の感覚を捉えるのを得意としていた、いわばエミーの劣化版だ、その共感能力がよりエミーの発信する共感を受けて具体的な映像として脳に刻む、魔蜂の毒針が首元に突き付けられている。
右手かギリギリと震える、プライドと恐怖の拮抗は恐怖が勝った。
「わっ、わかった、伝言役を引き受けよう」
サーベルを抜かずに地面に落とした。
「そう、良かった、殺しは好きじゃないの、嫌いでもないけどね」
「はっ、ははっ、そう・・・・・・なんだ」森の中に置き去りの仲間三人を思った、最強を誇ったハウンド四人が抜く事さえ出来ずにたった一人!華奢な女に!!
「約束だ、私はノスフェラトゥ教団のハウンド、猟犬の七人が一人、そして目的はイブを探している」
「イブとは何?」
「ダーク・エリクサーの精製のためだ、始祖となるイブの血が必要だ」
「貴方たちがエリクサーを作っているの?凄いわね、あの赤い小瓶のことね、なら既に持っているのに何故そのイブとやらが必要なの」
「あれはプロトタイプ、個人に合わせる必要がある、効果も劣るらしい、らしいというのは本物を知らないからだ、アポサル様がいうダーク・エリクサーは違うそうだ」
「面白い話ね、それで私やエルザ達の血がイブ候補だとでも言いたいの」
「そう聞いている、適正のある者には体のどこかに鱗状の痣があるそうだ、貴方にもあるんじゃないか?」
「痣?どうかしらね、自分の身体をそんなにしげしげとは見ないもの、フフッ神薬エリクサーに悪魔の血が必要だなんて笑わせるわ、それはエリクサーじゃない、別なものね」
「奇跡であることに違いはない、貴方も試せば納得するはずだ、アポサル様の偉大な夢、それは不老不死の神の国を創る事、我々は神の使徒だ」
「不老不死なんて本気なの!?馬鹿げている」
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「!?」
「私はエミー、フレジィ・エミーよ、毒蜂の針をもつ者、毒が欲しいならあげるわ、そのかわり命の保証はしない、そう伝えて」
「分かった、僕はニュクス、ハウンドのニュクスだ」
「デートの場所はどこがいいかしら」
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「楽しみにしているわ」
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指を首に伸ばす、目を細くして次を考える、ノスフェラトゥ教団の目的は血、既にエルザたちの血は手に入れているはず、それとニュクスは猟犬の七人と言った、ここに現れたのは四人、残りも来ている可能性がある。
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