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第53話 接待のお勉強
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ミズキに言われた通り祐輝はその日の週末もナインズの練習に参加した。
「とりあえずお前ら走ってろ。」
理由もなく走るナインズ。
そしてしばらくすると呼ばれて直ぐに守備練習が始まる。
ただ強打を打たれてみんなは必死に怪我しない様にやり過ごす。
それが日が暮れるまで続くと練習は終わった。
「もう辞める!!!」
いつものエルドの辞める宣言。
しかし誰も止める気も起きなくなっていた。
正直エルドが正しい気がする。
祐輝は健太と話し合っていた。
「でも辞めても今からどこいくの・・・」
「今更キングスに入ってもなあ。」
「絶対に試合出られないよ・・・」
「はあ・・・俺達どうなるんだろうな。」
中学2年になってチームを移籍しても馴染むのは難しいというものだ。
キングスメンバーは1年生の頃から苦楽を共にしている。
そこにナインズメンバーがいきなり移籍しても受け入れがたい。
ナインズを辞めるのは野球を辞める事と同じだった。
そして不満は募り始めて一週間。
既に祐輝は限界だった。
頭からミズキの事が離れなくなっていた。
「帰ろう。 考えても変わらない。」
もはや祐輝達は週末を耐えるだけの時間になっていた。
気がつけば上手くなりたいという向上心も消えてどうやって怒鳴られないかを考えるだけの時間になった。
土曜日をやり過ごして日曜日。
これが終われば学校でミズキに会えると考えると気が少し楽になった。
そして丸一日強打を打ち込まれても祐輝は気にする事もなく家に帰った。
風呂に入って眠ろうとすると真美が話しかけてきた。
「あんた最近野球の話しをしてこないね。」
「うん。」
「なんかあった?」
「俺はもう野球で高校は行けないよ。」
「あら? 諦めるの早いじゃない。」
深刻な顔をしている祐輝を見て真美は心配そうにしている。
歴史にしか興味ない少し変わっている息子が唯一楽しんでいたのが野球だった。
祐一に突然やらされた野球だが中学になると楽しそうだったのに今の息子の顔はまるで祐一と共に野球をしている様だった。
「つまらないんだよね。 ナインズの監督がゴミすぎて練習にならない。」
「なにそれ? 監督に何されてるの?」
「守備練習しかやらなくていきなり怒鳴られれ一日中走らされるし。」
「野球の事は詳しくないけどそれはあんたらにとって練習にならないの?」
「うん全くね。 選手達もやる気なくなってるよ。」
真美は深刻そうに考えていた。
すると携帯を取り出して誰かに電話をしようとしている。
祐輝が誰にかけるのか尋ねると真美は大間総監督と答えた。
驚いた祐輝は真美から携帯を取り上げた。
「なにするの!」
「待って。 それで俺がチクったみたいに鈴木監督に思われたら何されるか・・・大間総監督は娘が産まれて練習来られないんでしょ? 言っても大間総監督が練習見てくれるわけじゃないじゃん・・・」
「でもこのままじゃあんたらの人生が勿体ないでしょ。 今から電話するから貸しなさい。」
「やっぱり母ちゃんに話すんじゃなかった。 余計な事するなよ!! どうしよもないんだって。」
祐輝は部屋に閉じこもったが真美は携帯を拾うと直ぐに大間総監督に電話した。
真美は現状を話すと何とかする様に求めたが大間総監督も困っていた。
鈴木監督に任せていたのにいきなり大間総監督に練習の参加を迫られてもどうする事もできなかった。
娘は産まれたばかりで一番手のかかる時期だった。
大間総監督も仕事をしながらもグラウンドの確保や練習試合の日程などはしっかり組んでいた。
真美は電話を終えると困った表情で下を向いていた。
「はあ。 人の子供の人生をどうしてくれるのよ・・・大間総監督に出てもらうしかないでしょ。」
祐輝は真美が世にいうモンスターペアレントだと世間に認識されてしまうのも嫌だったのだ。
「とりあえずお前ら走ってろ。」
理由もなく走るナインズ。
そしてしばらくすると呼ばれて直ぐに守備練習が始まる。
ただ強打を打たれてみんなは必死に怪我しない様にやり過ごす。
それが日が暮れるまで続くと練習は終わった。
「もう辞める!!!」
いつものエルドの辞める宣言。
しかし誰も止める気も起きなくなっていた。
正直エルドが正しい気がする。
祐輝は健太と話し合っていた。
「でも辞めても今からどこいくの・・・」
「今更キングスに入ってもなあ。」
「絶対に試合出られないよ・・・」
「はあ・・・俺達どうなるんだろうな。」
中学2年になってチームを移籍しても馴染むのは難しいというものだ。
キングスメンバーは1年生の頃から苦楽を共にしている。
そこにナインズメンバーがいきなり移籍しても受け入れがたい。
ナインズを辞めるのは野球を辞める事と同じだった。
そして不満は募り始めて一週間。
既に祐輝は限界だった。
頭からミズキの事が離れなくなっていた。
「帰ろう。 考えても変わらない。」
もはや祐輝達は週末を耐えるだけの時間になっていた。
気がつけば上手くなりたいという向上心も消えてどうやって怒鳴られないかを考えるだけの時間になった。
土曜日をやり過ごして日曜日。
これが終われば学校でミズキに会えると考えると気が少し楽になった。
そして丸一日強打を打ち込まれても祐輝は気にする事もなく家に帰った。
風呂に入って眠ろうとすると真美が話しかけてきた。
「あんた最近野球の話しをしてこないね。」
「うん。」
「なんかあった?」
「俺はもう野球で高校は行けないよ。」
「あら? 諦めるの早いじゃない。」
深刻な顔をしている祐輝を見て真美は心配そうにしている。
歴史にしか興味ない少し変わっている息子が唯一楽しんでいたのが野球だった。
祐一に突然やらされた野球だが中学になると楽しそうだったのに今の息子の顔はまるで祐一と共に野球をしている様だった。
「つまらないんだよね。 ナインズの監督がゴミすぎて練習にならない。」
「なにそれ? 監督に何されてるの?」
「守備練習しかやらなくていきなり怒鳴られれ一日中走らされるし。」
「野球の事は詳しくないけどそれはあんたらにとって練習にならないの?」
「うん全くね。 選手達もやる気なくなってるよ。」
真美は深刻そうに考えていた。
すると携帯を取り出して誰かに電話をしようとしている。
祐輝が誰にかけるのか尋ねると真美は大間総監督と答えた。
驚いた祐輝は真美から携帯を取り上げた。
「なにするの!」
「待って。 それで俺がチクったみたいに鈴木監督に思われたら何されるか・・・大間総監督は娘が産まれて練習来られないんでしょ? 言っても大間総監督が練習見てくれるわけじゃないじゃん・・・」
「でもこのままじゃあんたらの人生が勿体ないでしょ。 今から電話するから貸しなさい。」
「やっぱり母ちゃんに話すんじゃなかった。 余計な事するなよ!! どうしよもないんだって。」
祐輝は部屋に閉じこもったが真美は携帯を拾うと直ぐに大間総監督に電話した。
真美は現状を話すと何とかする様に求めたが大間総監督も困っていた。
鈴木監督に任せていたのにいきなり大間総監督に練習の参加を迫られてもどうする事もできなかった。
娘は産まれたばかりで一番手のかかる時期だった。
大間総監督も仕事をしながらもグラウンドの確保や練習試合の日程などはしっかり組んでいた。
真美は電話を終えると困った表情で下を向いていた。
「はあ。 人の子供の人生をどうしてくれるのよ・・・大間総監督に出てもらうしかないでしょ。」
祐輝は真美が世にいうモンスターペアレントだと世間に認識されてしまうのも嫌だったのだ。
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