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第74話 日本で唯一無二
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祐輝は越田と連絡先の交換をした。
そして数日後に選考会初日の結果発表がされると祐輝と越田は一次選考を通過していた。
これにはたまらずに祐輝は越田に電話をかけたが「当たり前だ。」と一言言われて電話を切られた。
怪童越田には当たり前でも祐輝には大事件でミズキにまで電話して話す始末だった。
そして週明けの学校でミズキが嬉しそうに賞賛してくると祐輝は「あの越田と一緒に野球できる!」と何とも嬉しそうだった。
学校が終わりいつもの様にランニングをして壁当てをしている祐輝はじっとボールを見つめていた。
「フォークかあ。」
選考会で見た桜木のフォークは今まで見た事のない変化球だった。
越田の指示通り手を出さなかったがそもそもあんな変化球は打てるわけがないと祐輝は考えていた。
ボールを二本指だけで挟んで投げるなんてできるのかと首を傾げていた。
「祐輝君また変化球?」
「えっ!?」
「わかるよー。 3年間も見てきたんだよ? カーブ覚える時と同じ顔でボール見てたから。」
ミズキは祐輝へ惚れ込むあまりに野球のルールまで覚えていた。
そしてプロ野球中継まで見るほど野球を学び、変化球の事も知っていた。
祐輝は選考会で出会った桜木というピッチャーのフォークの話をするとミズキは「怪我するよ。」と心配そうにしていた。
しかし中学1年生の頃に比べて祐輝は足や腕も太くなり、身長も183センチとかなり高かった。
「もう投げられるよ。 最近じゃ身長も伸びなくなったし。 身体は出来上がった。」
「でもまだ細いよー。」
「筋肉はこれからつけていくけど負荷には耐えられるよ。」
成長が止まるまで祐輝は筋トレもせずに走り込みに専念していた。
筋トレをすると身長が伸びないと言われていたので祐輝は絶対にベンチプレスなどは触らない様に気をつけていた。
とにかく食べてたくさん眠って伸ばしたピッチャーとしては申し分ない183センチという高身長。
後はしっかりと筋肉をつければ球速も更に上がり、変化球も多彩に投げ込める。
その一歩としてフォークに着手した。
心配そうに見つめるミズキの目の前で二本指でボールを挟むと壁に向かって投げた。
「うわっ!」
「あらー! ホームランだね!」
「やべえ!」
壁に当たるどころか壁を越えて民家に入ってしまった。
祐輝はミズキと一緒にボールを探しに行くと民家の主が不思議そうにボールを持っていた。
「すいません。」と申し訳なさそうに謝ると主は笑顔で返してくれた。
定番の雷親父でなかった事に祐輝は安堵してもう一度壁に向かってフォークを投げた。
「あー。」
「んー。 落ちた?」
「たぶん落ちてないよね。」
壁には当たったがユラユラと力のないボールだった。
桜木の様に手元ですとんっと落ちるフォークではなかった。
するとジャージ姿で汗だくの越田がこの間と同じ様にリュックを背負って走ってきた。
「お前何キロ走ってんだよ!」
「10キロぐらいじゃん? それよりお前また女といちゃついて! 選抜に入るんだぞ俺達は!」
「なあ越田。」
祐輝はボールをじっと見て「捕ってくれ。」と小さくつぶやいた。
すると越田はどこか嬉しそうにリュックからキャッチャーミットを取り出した。
前回会った時に越田の背負うリュックが気になっていたが、あの日以来祐輝はずっと考えていた。
本当はあの日自分の球を捕りにきてくれたのではないかと。
その答えは今わかった。
「投げろよ祐輝。 俺とお前で日本一の中学生になるんだ。」
「お前は日本で一番のキャッチャーだな。」
「そしてお前は日本で一番のピッチャーだ。」
日本で唯一無二のバッテリーを目指す2人の姿はあまりにも美しかった。
そして数日後に選考会初日の結果発表がされると祐輝と越田は一次選考を通過していた。
これにはたまらずに祐輝は越田に電話をかけたが「当たり前だ。」と一言言われて電話を切られた。
怪童越田には当たり前でも祐輝には大事件でミズキにまで電話して話す始末だった。
そして週明けの学校でミズキが嬉しそうに賞賛してくると祐輝は「あの越田と一緒に野球できる!」と何とも嬉しそうだった。
学校が終わりいつもの様にランニングをして壁当てをしている祐輝はじっとボールを見つめていた。
「フォークかあ。」
選考会で見た桜木のフォークは今まで見た事のない変化球だった。
越田の指示通り手を出さなかったがそもそもあんな変化球は打てるわけがないと祐輝は考えていた。
ボールを二本指だけで挟んで投げるなんてできるのかと首を傾げていた。
「祐輝君また変化球?」
「えっ!?」
「わかるよー。 3年間も見てきたんだよ? カーブ覚える時と同じ顔でボール見てたから。」
ミズキは祐輝へ惚れ込むあまりに野球のルールまで覚えていた。
そしてプロ野球中継まで見るほど野球を学び、変化球の事も知っていた。
祐輝は選考会で出会った桜木というピッチャーのフォークの話をするとミズキは「怪我するよ。」と心配そうにしていた。
しかし中学1年生の頃に比べて祐輝は足や腕も太くなり、身長も183センチとかなり高かった。
「もう投げられるよ。 最近じゃ身長も伸びなくなったし。 身体は出来上がった。」
「でもまだ細いよー。」
「筋肉はこれからつけていくけど負荷には耐えられるよ。」
成長が止まるまで祐輝は筋トレもせずに走り込みに専念していた。
筋トレをすると身長が伸びないと言われていたので祐輝は絶対にベンチプレスなどは触らない様に気をつけていた。
とにかく食べてたくさん眠って伸ばしたピッチャーとしては申し分ない183センチという高身長。
後はしっかりと筋肉をつければ球速も更に上がり、変化球も多彩に投げ込める。
その一歩としてフォークに着手した。
心配そうに見つめるミズキの目の前で二本指でボールを挟むと壁に向かって投げた。
「うわっ!」
「あらー! ホームランだね!」
「やべえ!」
壁に当たるどころか壁を越えて民家に入ってしまった。
祐輝はミズキと一緒にボールを探しに行くと民家の主が不思議そうにボールを持っていた。
「すいません。」と申し訳なさそうに謝ると主は笑顔で返してくれた。
定番の雷親父でなかった事に祐輝は安堵してもう一度壁に向かってフォークを投げた。
「あー。」
「んー。 落ちた?」
「たぶん落ちてないよね。」
壁には当たったがユラユラと力のないボールだった。
桜木の様に手元ですとんっと落ちるフォークではなかった。
するとジャージ姿で汗だくの越田がこの間と同じ様にリュックを背負って走ってきた。
「お前何キロ走ってんだよ!」
「10キロぐらいじゃん? それよりお前また女といちゃついて! 選抜に入るんだぞ俺達は!」
「なあ越田。」
祐輝はボールをじっと見て「捕ってくれ。」と小さくつぶやいた。
すると越田はどこか嬉しそうにリュックからキャッチャーミットを取り出した。
前回会った時に越田の背負うリュックが気になっていたが、あの日以来祐輝はずっと考えていた。
本当はあの日自分の球を捕りにきてくれたのではないかと。
その答えは今わかった。
「投げろよ祐輝。 俺とお前で日本一の中学生になるんだ。」
「お前は日本で一番のキャッチャーだな。」
「そしてお前は日本で一番のピッチャーだ。」
日本で唯一無二のバッテリーを目指す2人の姿はあまりにも美しかった。
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