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第94話 不良球児
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野球部の部室へと訪れた祐輝達、1年生はずらりと並んで睨みつけている3年生を前に畏縮していた。
中でも主将千野は体格も祐輝より大きく鋭い目つきで睨むものだから1年生達は恐怖で顔を上げられずにいた。
すると千野は2年生を何人か連れてきて突如殴り始めた。
吹き飛ばされる2年生は怯えながらもビシッと立っていた。
「1年聞け。 俺達に逆らうとこうなるぞ。」
千野は「これは通過儀礼」だとでも言っているかの様に1年生の前に来ると誰を殴ろうか見ていた。
当然の様に祐輝の前に来ると「お前ボタン止めてなかったやつだな?」と顔を近づけてきた。
さすがの祐輝も千野の圧力には飲まれていた。
「そうです」と答えると胸ぐらを掴まれて地面に叩きつけられた。
直ぐに立ち上がった祐輝は千野を睨みつけた。
この千野という男は容赦がない。
立ち上がった祐輝の顔目掛けてハイキックをすると馬乗りになって更に殴った。
こんな男が主将だなんて終わりだ。
祐輝は早くも退部を考えた。
殴り続ける千野は祐輝を立たせると「お前ポジションは?」と聞いてきた。
「元はピッチャーですがもう投げられません」と答えたが千野は3年生のキャッチャーを座らせると祐輝に無理やり投げさせた。
「投げられません。」
「聞いてねえ。 何キロ出るんだよ?」
「・・・怪我をしているので投げられません。」
だが千野はまるで聞く耳を持たなかった。
仕方なく3年生のキャッチャーとキャッチボールを始めると「おお」と1年生が驚いていた。
怪我をしていると言うわりには本格的な投球フォームでボールの回転数も良い。
「これはエース祐輝じゃね?」とけんせー達が小声で3年生に怒られない様に話していた。
キャッチャーは座ると「本気でこいよ」と一言だけ言った。
祐輝は一球で話を終わらせるつもりだった。
ろくに投げられない事を証明するために暴投するつもりだ。
そして投げたボールはふんわりとフェンスへ直撃すると2、3年生から失笑が起きた。
「体だけじゃねえか」とバカにしている。
1年生達もガッカリとした表情で顔を見合わせていた。
「何だよあのボール。 お前は今日から俺の舎弟な。」
「・・・・・・」
祐輝は黙ってマウンドから降りると千野の元へ歩いていった。
誰にも聞こえない小さい声で「放課後お時間いいですか?」とだけ言った。
「ああ?」と威嚇されたが祐輝は臆する事なくじっと千野の目を見ていた。
すると千野には何を考えているのかわかったのかニヤリと笑うと「いいぜ」と返した。
しばらく不気味な微笑みを浮かべた2人は練習へと戻った。
基本的に高校野球での1年生は雑用が主になる。
たまに行われる練習試合で活躍すると先輩に混じって練習する事もあるが基本的には掃除や先輩の身の回りの世話などで1年間が終わる。
祐輝達は先輩の練習を整列しながら声出しをするだけだった。
そして練習が終わり祐輝は千野の元を訪れた。
人生で唯一無二の存在との運命的な出会いだった。
中でも主将千野は体格も祐輝より大きく鋭い目つきで睨むものだから1年生達は恐怖で顔を上げられずにいた。
すると千野は2年生を何人か連れてきて突如殴り始めた。
吹き飛ばされる2年生は怯えながらもビシッと立っていた。
「1年聞け。 俺達に逆らうとこうなるぞ。」
千野は「これは通過儀礼」だとでも言っているかの様に1年生の前に来ると誰を殴ろうか見ていた。
当然の様に祐輝の前に来ると「お前ボタン止めてなかったやつだな?」と顔を近づけてきた。
さすがの祐輝も千野の圧力には飲まれていた。
「そうです」と答えると胸ぐらを掴まれて地面に叩きつけられた。
直ぐに立ち上がった祐輝は千野を睨みつけた。
この千野という男は容赦がない。
立ち上がった祐輝の顔目掛けてハイキックをすると馬乗りになって更に殴った。
こんな男が主将だなんて終わりだ。
祐輝は早くも退部を考えた。
殴り続ける千野は祐輝を立たせると「お前ポジションは?」と聞いてきた。
「元はピッチャーですがもう投げられません」と答えたが千野は3年生のキャッチャーを座らせると祐輝に無理やり投げさせた。
「投げられません。」
「聞いてねえ。 何キロ出るんだよ?」
「・・・怪我をしているので投げられません。」
だが千野はまるで聞く耳を持たなかった。
仕方なく3年生のキャッチャーとキャッチボールを始めると「おお」と1年生が驚いていた。
怪我をしていると言うわりには本格的な投球フォームでボールの回転数も良い。
「これはエース祐輝じゃね?」とけんせー達が小声で3年生に怒られない様に話していた。
キャッチャーは座ると「本気でこいよ」と一言だけ言った。
祐輝は一球で話を終わらせるつもりだった。
ろくに投げられない事を証明するために暴投するつもりだ。
そして投げたボールはふんわりとフェンスへ直撃すると2、3年生から失笑が起きた。
「体だけじゃねえか」とバカにしている。
1年生達もガッカリとした表情で顔を見合わせていた。
「何だよあのボール。 お前は今日から俺の舎弟な。」
「・・・・・・」
祐輝は黙ってマウンドから降りると千野の元へ歩いていった。
誰にも聞こえない小さい声で「放課後お時間いいですか?」とだけ言った。
「ああ?」と威嚇されたが祐輝は臆する事なくじっと千野の目を見ていた。
すると千野には何を考えているのかわかったのかニヤリと笑うと「いいぜ」と返した。
しばらく不気味な微笑みを浮かべた2人は練習へと戻った。
基本的に高校野球での1年生は雑用が主になる。
たまに行われる練習試合で活躍すると先輩に混じって練習する事もあるが基本的には掃除や先輩の身の回りの世話などで1年間が終わる。
祐輝達は先輩の練習を整列しながら声出しをするだけだった。
そして練習が終わり祐輝は千野の元を訪れた。
人生で唯一無二の存在との運命的な出会いだった。
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