青春聖戦 24年の思い出

くらまゆうき

文字の大きさ
124 / 140

第124話 限界だね

しおりを挟む
元気のないアヤノを放課後にラーメンに連れていく事が頻繁になっていた。


夕飯を一緒に食べる時間だけはアヤノが楽しそうにしていた。


それしかできなかったが祐輝は自分にできる事を精一杯行っていた。


だが事態は悪い方向へと向かっていった。


ある日の学校での事だった。


体育の授業での事だ。


サッカーの授業は祐輝の苦手なスポーツでいつもゴールキーパーをしていた。


けんせーを含む野球部の仲間達は相手チームになっていた。


だがこれは生徒達が振り分けたチーム分けだった。


祐輝は不審に思いながらもサッカーを始めると事件は起きた。


ドリブルをして祐輝が構えるゴールへと近づいてくると力強いシュートをあえて祐輝の体にけんせーは当ててきた。


最初は気にしていなかったが、驚く事に大熊や他の仲間達までがわざと祐輝にボールをぶつけ始めた。


不快感をあらわにしたまま、授業を終えた祐輝はけんせーの元へ詰め寄る勢いで近づいて「言いたい事あるなら言え」と鬼の形相で話した。


だがけんせーは何も返答をせずに仲間と着替えては教室へ戻ろうとしていた。


祐輝は肩を掴んで「待てよ」睨みつけると振り払ってその場を後にしようとしていた。




「随分汚い事するよな・・・」
「なんのこと?」




あれだけの事をしても何も知らないとしらを切るつもりだったけんせーに我慢の限界がきた祐輝は力強く腕を引っ張った。


するとけんせーは手を振り払い祐輝の胸元を力強くどついた。


後ろにのけぞった祐輝は壁に頭をぶつけた。


その瞬間に祐輝の中で眠っている「何か」が目を覚ましかけた。


けんせーの胸ぐらを掴むとその場で足を引っ掛けて転ばせた。


そして腹部を踏みつけるとけんせーは祐輝の足を何度も殴った。


一度は親友の様に仲の良かった2人は激しい殴り合いに発展した。


だが何よりも周囲には野球部の仲間がいたが誰も止めに入らなかった。


見かねた不良生徒達が喧嘩を止めに入ったがなんと祐輝は5人がかりでも止まらなかった。


既にけんせーは顔から血を流していたが我を失った様に暴れる祐輝を前に不良達ではどうにもならなかった。


やがて騒ぎを聞きつけた体育教師が止めに入ってなんとか冷静になった。


けんせーと祐輝は体育教師に体育館へと連れて行かれると「続きをやるか?」と尋ねられた。



「お前ら高校野球を今日まで一生懸命やってきたんだろ。 喧嘩するって事は最後の夏大会に出場できなくてもいいんだろ? それぐらいの覚悟があるならここで続きをやれ。」



教師なのに何を言っているのかと驚いた祐輝だったがじっと目をつぶってアヤノの泣いている顔を思い浮かべた。


隣を見るとけんせーは何食わぬ顔をしていた。


陰湿なイジメをしてきたけんせーの顔は腫れていたが祐輝の目には小学校の時に出会った勝に見えた仕方なかった。


「い、いえもうやりません」と話したけんせーを見た体育教師は「お前は?」と尋ねてきた。




「やります。 どっちかが死ぬまで・・・」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...