青春聖戦 24年の思い出

くらまゆうき

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第130話 大きな間違いだった

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リカは祐輝の実家に入った。


だがそんな事を頑固な祐一が許すはずもなかった。


「直ぐに出ていけ」と一点張りを貫く祐一と祐輝との関係は次第に緊張が高まっていった。


高校卒業も目前になった祐輝だったが、既にまるで許嫁の様な存在が家にいた。


この事に関しては日頃から祐輝の味方をしている母親の真美でさえも否定的だった。


何よりも恐ろしいのがリカはこれだけ歓迎されていないにも関わらず平然としていた。


祐輝は孤独に苦しむリカを現在の自分に照らし合わせていた。


だがリカという化け物の正体は徐々に姿を現し始めていった。


祐輝の部屋で共に暮らすリカは買い物に出かけると部屋中にゴミを散乱させていた。




「片付けろよ・・・」




そうつぶやくとリカは不貞腐れた様子で片付けを始めた。


祐輝はリカに対して疑問を持ち始めていた。


だが状況は更に悪化していった。


高校の卒業式も寂しく終えた祐輝は家に帰ってきた。


3年間の最高の思い出もけんせーとの不仲から孤独な卒業式となった。


そして家に帰ればリカはタバコを吸いながらベランダに立っていた。


まともに高校にも行っていなかったリカは卒業する高校すらもなかった。


そんなある日。


真美は祐輝を家から連れ出した。


焼肉屋に入った真美は息子と2人きりで夕食を食べていた。


リカを交えずに。


真剣な眼差しをしている真美は今後の話を始めた。




「結婚相手は慎重に選びなさい。」
「まあリカになるだろうなあ・・・」
「本当にいいわけ?」
「放ってはおけない・・・」




祐輝にとってリカを見捨てられない理由はアヤノの事があったからだった。


純粋で大人しかったアヤノはもはや見る影もなく、連日男に抱かれる日々だ。


可愛らしい笑顔も消えて冷たい表情になっては夜の街へと消えていった。


彼女の心が激しく乱れた理由には自分が関係していると責任を感じていた祐輝はリカを見るとまた、アヤノの様になってしまうのでは恐れていた。




「俺はアヤノを守れなかった・・・リカの事は守りたい。」
「女を甘くみない方がいいよ・・・男に守ってもらうほど弱くないの・・・」




真美の言葉を受け止められない祐輝は肉を食べて白米を頬張った。


烏龍茶を勢い良く飲むと大きく息をついて黙り込んだ。


悲しそうな表情で息子を見つめる真美を睨みつけるほどの眼力で見ると「それでもリカを悲しませたくない・・・」と小さい声で話した。


真美は静かにうなずいていた。




「あんたがそこまで言うならね・・・」



その日以来、真美はリカと関わる事が増えた。


話しかければリカは愛想も良く、懐っこい性格だった。


真美から料理を教わるなどして段々と真美とリカの関係は縮まっていった。


だがそれが大きな間違いだったとは気づかずに。
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