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3章 異魔眼と瞬滅
第13話 魔眼と魔法具体
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「魔眼……だって?」
ミアスは目を見開いた。
魔眼を持つ者は、この世界で数百年に一度しか生まれてこない。
そしてその能力は、殆ど魔力を消費しないで行使する事が出来る。
「そうよ。この魔眼の名は『透視心眼』と言うの。その名の通り、心を読む事が出来るわ。」
「心を…ね。まさかだけど、俺の──」
「貴方の心なんて、魔眼を使わなくても分かるわよ。何年一緒だと思っているの?」
ミアスが言いかけた言葉を、私は遮った。
少し呆れたように笑った私を見て、ミアスも苦笑した。
「疑って悪かった。」
「それくらいで怒らないわ。」
「感謝するよ。だが、貴族達に対して使っているのは、相手の真意を見る為か?」
「その通りね。あの貴族達ったら、自己利益のことしか考えてないわ。ほんと、迷惑な話よね。」
「仕方ないだろ。」
「分かっていても、腹が立つのよ。」
そう言いながら、2人は苦笑し合った。
「反対の目も魔眼なのか?」
そう、唐突にミアスは聞いた。
私は少し驚いた。
気付かれるようなことはしていないはずだったからだ。
「それも……見抜いていたの?」
「お前に鍛えられているんだ。主の一挙一動、見逃すはずがないさ。」
「ふぅーん。」
「つまらないって顔してるぞ。」
「ええ、つまらないもの。隠してるつもりだったのに。」
本当につまらなかった。
だが直ぐに態度を改め、ミアスを真正面から見つめ、
「私の左目はね……魔眼ではないわ。似たようなものだけれど。正確には『魔法具体』になるわね。」
「『魔法具体』?」
「ええ。」
「聞き慣れない言葉だな。『魔法具』と何が違うんだ?」
「『魔法具』は、道具に魔法を付与した物の事よね。そして『魔法体』は、そもそもの体が魔法で出来た、『分身体』の様なものを指す。これは分かるわね?」
「ああ。『道具に付与する』か、『そもそもが魔法で出来たもの』か、という事だろ。」
「その通りよ。という事は、『魔法具体』と言うのはどう言うものか……」
「まさか……!」
「ふふっ。」
「『魔法具体』は──」
──自分の体に付与をしたという事──
ミアスは目を見開いた。
魔眼を持つ者は、この世界で数百年に一度しか生まれてこない。
そしてその能力は、殆ど魔力を消費しないで行使する事が出来る。
「そうよ。この魔眼の名は『透視心眼』と言うの。その名の通り、心を読む事が出来るわ。」
「心を…ね。まさかだけど、俺の──」
「貴方の心なんて、魔眼を使わなくても分かるわよ。何年一緒だと思っているの?」
ミアスが言いかけた言葉を、私は遮った。
少し呆れたように笑った私を見て、ミアスも苦笑した。
「疑って悪かった。」
「それくらいで怒らないわ。」
「感謝するよ。だが、貴族達に対して使っているのは、相手の真意を見る為か?」
「その通りね。あの貴族達ったら、自己利益のことしか考えてないわ。ほんと、迷惑な話よね。」
「仕方ないだろ。」
「分かっていても、腹が立つのよ。」
そう言いながら、2人は苦笑し合った。
「反対の目も魔眼なのか?」
そう、唐突にミアスは聞いた。
私は少し驚いた。
気付かれるようなことはしていないはずだったからだ。
「それも……見抜いていたの?」
「お前に鍛えられているんだ。主の一挙一動、見逃すはずがないさ。」
「ふぅーん。」
「つまらないって顔してるぞ。」
「ええ、つまらないもの。隠してるつもりだったのに。」
本当につまらなかった。
だが直ぐに態度を改め、ミアスを真正面から見つめ、
「私の左目はね……魔眼ではないわ。似たようなものだけれど。正確には『魔法具体』になるわね。」
「『魔法具体』?」
「ええ。」
「聞き慣れない言葉だな。『魔法具』と何が違うんだ?」
「『魔法具』は、道具に魔法を付与した物の事よね。そして『魔法体』は、そもそもの体が魔法で出来た、『分身体』の様なものを指す。これは分かるわね?」
「ああ。『道具に付与する』か、『そもそもが魔法で出来たもの』か、という事だろ。」
「その通りよ。という事は、『魔法具体』と言うのはどう言うものか……」
「まさか……!」
「ふふっ。」
「『魔法具体』は──」
──自分の体に付与をしたという事──
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