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5章 王都上空決戦
第74話 最後の一人
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「……何故その名を?」
空を飛ぶ魔物……、それは真っ黒なドラゴンだ。
王都に張った結界が容易に破られるのも納得がいくというもの。
そのドラゴンの上から、『ジルディガー』という名に反応した男の声が聞こえてくる。
「処刑された罪人、元王国貴族バジュス・ルドゥーリズがあなたの名を吐いていたわ。黒魔法の儀式者はあの一件で4人が処刑されている…。確認されている限り5人だったから、あなたが最後の1人ということになるわね。」
死魔の森にあったキューブ型魔法具を作った者の魔力と、この男から発せられている魔力が酷似していたが故に、『黒魔法の儀式者』だと分かった。
そしてバジュスが拷問時に吐いたという、最後の1人の名。
当時はあの一件に、5人全員の黒魔法の儀式者が関わっているとは思ってもいなかったが、バジュスの発言から1人逃げていたと分かった時、国王ヴィライユと協力して警備を強めたものだ。
王都の結界もその一環で私が張り、1年ごとに貼り直してきた。
あれから8年経も経ち、バジュスに協力していたのは国に恨みのある黒魔法の儀式者ではないと判断していた。
だが……
「なるほど……彼が…。まぁ名を知られたところで、大したことではないかな。」
「随分と余裕なのね。」
「君こそ余裕そうに見えるけど。死魔の森で消耗しているんじゃないのかい?」
「そう…。やはり森の異変はあなたの所為なのね。」
私の言葉に、不敵に笑ったジルディガー。
この反応でよく分かった。
死魔の森に魔法具を置き、異変を招いた真の狙いは『私』にあったのだと…。
王国を襲撃するにあたって、最も障害となるのが私とミアスだろう。
私達が王国内にいては思い通りにいかないと考えたジルディガーは、死魔の森で異変を起こし、調査に行くよう仕向けた。
狙い通り私とミアスは調査へ出向き、その間に王国で破壊を行う…。
「私の計画通りに動いてくれたこと、感謝するよ。けれどまだ邪魔されたくはないからね。」
「……何をするつもり?」
「君の相手は私がするということさ。」
「あら、自ら不利な方に来るのね。」
ジルディガーは再度笑みを浮かべた。
するとドラゴンが離れていき、街へ向かってブレスを放った。
既にその場の住人は避難していたが、建物が次々に破壊されていく。
ブレスは火属性の上位、炎属性であるが故に破壊された建物が燃えてしまっている。
風に吹かれた炎はより勢いを増し、王国内の建物に燃え広がっていた。
「……。」
「おっと、あなたの相手は私です……よっ!」
「ッ!」
ドラゴンを攻撃しようと放った魔法が、ジルディガーの放った魔法で相殺された。
あのドラゴンはジルディガーの従魔になっているのだろう。
《魔物召喚》で呼び出したのだろうか…?
「何故ドラゴンが私に従っているのか、気になるかい?」
「ドラゴンとあなたの魔力は酷似している……。あなたの魔力を贄として、《魔物召喚》で呼び出したのかしら?」
「流石、その通りだよ。本当は大量に魔物を呼び出す魔法だけど、1匹になるように調整し、従順かつ強い魔物を呼び出せるように魔法陣を書き換えたのさ。まさかドラゴンが出てくるとは思わなかったから、運が良かったよ。」
魔物召喚に服従の魔法陣を組み込むとは…。
この男、かなり腕が立つようだ。
だが王国を破壊する理由が分からない。
心を読もうとしたが、対策されているようだ。
私のこの力を知る者はかなり少ないので、彼が知っているとは思えない。
ならば考えられるのは……
「リアラ王女。君……、心が読めるだろう?」
「…お互い様ということね。納得だわ。」
シグザレン公爵の息子、ダナト・シグザレンの時と同じだ。
ならば魔法具体の《魔刃眼》で結界を破壊し、無理やり読むことも出来る。
しかしそれはあえてしないでおこう。
魔法具体のことは、この男には秘密にしておいた方が良さそうだからだ。
「あなたが何故このようなことをするのかは知らないけれど、民を傷付けるのは王女として見過ごせないし、許せないわね。」
「私の相手をしながら、ドラゴンを止められると?」
「……悪いけど、手加減も容赦もしないわ。」
「っははは!いいね、その感じ。ザージュですら圧倒したその力、私にも見せてくれ!」
ジルディガー…。
きっとこの男は私の魔法を見て学び、対策をすぐに立てられるだろう。
洞察力と賢さが備わっていると見て取れる。
それにドラゴンを召喚できるほどの魔力量だ。
どう戦えば、1番効率的に倒せるだろうか──
空を飛ぶ魔物……、それは真っ黒なドラゴンだ。
王都に張った結界が容易に破られるのも納得がいくというもの。
そのドラゴンの上から、『ジルディガー』という名に反応した男の声が聞こえてくる。
「処刑された罪人、元王国貴族バジュス・ルドゥーリズがあなたの名を吐いていたわ。黒魔法の儀式者はあの一件で4人が処刑されている…。確認されている限り5人だったから、あなたが最後の1人ということになるわね。」
死魔の森にあったキューブ型魔法具を作った者の魔力と、この男から発せられている魔力が酷似していたが故に、『黒魔法の儀式者』だと分かった。
そしてバジュスが拷問時に吐いたという、最後の1人の名。
当時はあの一件に、5人全員の黒魔法の儀式者が関わっているとは思ってもいなかったが、バジュスの発言から1人逃げていたと分かった時、国王ヴィライユと協力して警備を強めたものだ。
王都の結界もその一環で私が張り、1年ごとに貼り直してきた。
あれから8年経も経ち、バジュスに協力していたのは国に恨みのある黒魔法の儀式者ではないと判断していた。
だが……
「なるほど……彼が…。まぁ名を知られたところで、大したことではないかな。」
「随分と余裕なのね。」
「君こそ余裕そうに見えるけど。死魔の森で消耗しているんじゃないのかい?」
「そう…。やはり森の異変はあなたの所為なのね。」
私の言葉に、不敵に笑ったジルディガー。
この反応でよく分かった。
死魔の森に魔法具を置き、異変を招いた真の狙いは『私』にあったのだと…。
王国を襲撃するにあたって、最も障害となるのが私とミアスだろう。
私達が王国内にいては思い通りにいかないと考えたジルディガーは、死魔の森で異変を起こし、調査に行くよう仕向けた。
狙い通り私とミアスは調査へ出向き、その間に王国で破壊を行う…。
「私の計画通りに動いてくれたこと、感謝するよ。けれどまだ邪魔されたくはないからね。」
「……何をするつもり?」
「君の相手は私がするということさ。」
「あら、自ら不利な方に来るのね。」
ジルディガーは再度笑みを浮かべた。
するとドラゴンが離れていき、街へ向かってブレスを放った。
既にその場の住人は避難していたが、建物が次々に破壊されていく。
ブレスは火属性の上位、炎属性であるが故に破壊された建物が燃えてしまっている。
風に吹かれた炎はより勢いを増し、王国内の建物に燃え広がっていた。
「……。」
「おっと、あなたの相手は私です……よっ!」
「ッ!」
ドラゴンを攻撃しようと放った魔法が、ジルディガーの放った魔法で相殺された。
あのドラゴンはジルディガーの従魔になっているのだろう。
《魔物召喚》で呼び出したのだろうか…?
「何故ドラゴンが私に従っているのか、気になるかい?」
「ドラゴンとあなたの魔力は酷似している……。あなたの魔力を贄として、《魔物召喚》で呼び出したのかしら?」
「流石、その通りだよ。本当は大量に魔物を呼び出す魔法だけど、1匹になるように調整し、従順かつ強い魔物を呼び出せるように魔法陣を書き換えたのさ。まさかドラゴンが出てくるとは思わなかったから、運が良かったよ。」
魔物召喚に服従の魔法陣を組み込むとは…。
この男、かなり腕が立つようだ。
だが王国を破壊する理由が分からない。
心を読もうとしたが、対策されているようだ。
私のこの力を知る者はかなり少ないので、彼が知っているとは思えない。
ならば考えられるのは……
「リアラ王女。君……、心が読めるだろう?」
「…お互い様ということね。納得だわ。」
シグザレン公爵の息子、ダナト・シグザレンの時と同じだ。
ならば魔法具体の《魔刃眼》で結界を破壊し、無理やり読むことも出来る。
しかしそれはあえてしないでおこう。
魔法具体のことは、この男には秘密にしておいた方が良さそうだからだ。
「あなたが何故このようなことをするのかは知らないけれど、民を傷付けるのは王女として見過ごせないし、許せないわね。」
「私の相手をしながら、ドラゴンを止められると?」
「……悪いけど、手加減も容赦もしないわ。」
「っははは!いいね、その感じ。ザージュですら圧倒したその力、私にも見せてくれ!」
ジルディガー…。
きっとこの男は私の魔法を見て学び、対策をすぐに立てられるだろう。
洞察力と賢さが備わっていると見て取れる。
それにドラゴンを召喚できるほどの魔力量だ。
どう戦えば、1番効率的に倒せるだろうか──
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