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4話 追放の後
闇魔法はかなり有能だ。希少な属性ということもあってか、強力なうえに応用も利く。
特に影を用いた魔法が便利だった。人や建物の影に潜ることが出来るだけではなく、魔力で印を付けておけば、影を通して遠距離を移動することも出来る。魔法の印も周囲に漂う自然の魔力に溶け込ませるように付けておくことで、誰かに気付かれることはない。
私はこの影を用いた闇魔法で、冒険者ギルドのギルドマスターの部屋へと移動した。
「ギルマス。」
「おわぁっ!?」
私が急に現れたことに、驚いている様子のギルマスことエデスラード。
冒険者にはランクがあり、上から順にS・A・B・C・D・E・Fの七段階。彼は元Aランク冒険者であり、実力は本物だ。
「私を見て変な声を出さないで欲しいわね。」
「それはお前がいきなり現れるからだろうが!…ったく、来るなら扉から入ってこいよな。」
「いつもの事じゃない。それに移動が面倒なのよ。」
この世界にある主な移動手段の馬車は、前世で乗っていた車のように早いわけではなく、さらには揺れで体が痛くなってしまう。お忍びで行動する際には、闇魔法が徒歩や馬車よりも圧倒的に早く移動出来るのだ。
「はぁ…。それで、今日はどうしたんだ?普段より随分と早い時間じゃないか。何かあったのか?」
「では単刀直入に。王太子に婚約破棄されて、さらに公爵家を追放されたわ。」
「……はあ?」
「…何、その間抜け面。」
「おいおい……。お前って、突拍子もないことを言い出したかと思えば、本当に貴族かと疑いたくなるような言葉遣いをするよな…。」
呆れたようにエデスラードは私を見る。まぁ前世は平民のようなものなので、貴族としての立ち居振る舞いが性に合わないのは事実だ。彼の言葉を否定出来ないだろう。
エデスラードが詳しい説明を求めてきた為、私は包み隠さず全て話した。途中、彼が『馬鹿王子…』と呟いていたのを、私は聴き逃していない。
「親も非情だな…。」
「昔から自分の利益しか考えていない人達だから、今さら気にしていないわ。あの地獄のような公爵家から出られたことの方が嬉しいわね。とはいえ、兄様や妹とあまり会えなくなってしまうのは、最悪な部分かしら。」
「『あまり会えない』、ねぇ…。」
「何か言いたげね。」
「そりゃあな。普通、貴族家から追放されてしまえば兄妹に『会えない』と言い切るものだが、お前は『あまり会えない』と言った。つまり会う手段があるということだろう?それだけで恐ろしいもんだ。」
エデスラードの言葉は正しい。私は公爵家の一部の場所に、自身の魔力を溶け込ませている。そこを目印として影での移動を行えば、警備を潜り抜けて公爵家内に入ることが容易なのだ。
「有能な人材を易々と手放すなんてな…。」
「これからは冒険者として過ごすつもりよ。とはいえこの時間から宿を取るのは無理でしょうから、今日だけギルドの一室を借りられないかしら。」
「構わないぞ。後で鍵を渡そう。」
「感謝するわ。」
私の冒険者としての名は『リエラ』だ。ラリエットを少し変えただけ。
ランクは現在《A》。冒険者達に知り合いや友人もいるが、ソロで活動していた。
「それと、お前のランクについてなんだが…。」
「ランク?Aから変動でもあるの?規定違反を犯した記憶はないし、Sランクになるにはまだ十分な依頼をこなしていないと思うのだけれど。」
「実はな、昨日リエラが討伐依頼のついでに、近隣の村を襲っていた悪魔を倒したと言って、死体を持ってきただろう?その魔物が《上級悪魔》だったことが判明した。」
「そうだったのね。」
「……軽くないか…?かなり大事なんだが…?」
《上級悪魔》とは、百年に一度現れるか現れないかの天災級魔物だ。知性があり、その圧倒的な力で人を襲い、建物を破壊する。歴史書には、上級悪魔によって滅ぼされた国が幾つか書かれていた。
魔物も冒険者ギルドによってランク分けがされている。分け方は冒険者と同じS級~F級の七段階。自分と同じランクの魔物であれば、対処可能とされていた。
ただし組んでいるパーティーメンバーがいるのならば、そのパーティー全員でのランクが反映される。個々では一つ或いは二つ下位ランクの魔物が対処出来るくらいだという訳だ。
《悪魔》のランクはB~Aとされているが、《上級悪魔》のランクはS。しかしS以上のランクが定められていないというだけで、厳密には《S~》となっていた。
「確かに今まで戦った中で一番面倒な相手だったけれど、あれが天災級と呼ばれている魔物なの?」
「お前が持ってきた悪魔の死体を解析した結果だ。言葉を流暢に話していなかったか?」
「あぁそういえば、『この世を滅ぼす』とか何とか言っていたわね。苛ついたから、言葉を聞いた後に秒殺したけれど。」
「はぁ!?秒殺だと?!」
「面倒というだけで、強いとは思わなかっわね。」
私の言葉を聞いたエデスラードは、呆れた様子で机に肘をついて俯いていた。
昨夜、私は悪魔にこちらの言葉が通じると分かった時、あえて挑発した。最近はどんな魔物も相手にならなかったので、丁度良い相手だと判断したのだ。
すると悪魔はあっさりと挑発に乗った。そしてお返しとばかりに、強い口調で色々と言ってきた。しかし悪魔が言ってきたのは、私への挑発ではなくただの悪口だ。
知恵比べも何も、脳筋なのか頭が低レベル過ぎて話にならなかった。一方的に戯言を言ってくるので、苛ついた私は跡形もなく悪魔の頭部を消滅させたのだ。
あの悪魔は決して弱くはなかっただろう。だが私にとっては子供を相手にしているような感覚だ。負ける気がしなかった。
「…まぁ、お前は昔から規格外だからな……、今さら驚きはしないが…。とにかく、国を滅ぼせる程の存在を、リエラは単独で討伐したんだ。この功績とこれまでの活躍を踏まえて、リエラを《Sランク冒険者》として認めることになった。」
「……冗談でしょう?」
「冗談な訳ねぇよ。上級悪魔を倒したんだ。寧ろSランクになって当然だろ。それに、お前の実力があれば普通だと、俺は思うがな。」
「…面倒事はギルマスに任せるわね。」
「丸投げかよ!?……はぁ、分かった。とりあえず、明日部屋にまた来てくれ。」
「了解したわ。」
エデスラードから鍵をもらい、私は借りた部屋で横になった。
Sランク冒険者になるのが嫌という訳ではない。自分の実力が認められていることの証明なので、寧ろありがたいくらいだ。
それに報酬も桁が変わり、今後の生活を心配する必要はなくなるだろう。
だが面倒な部分もある。貴族との関わりが出てくることだ……。
最も最悪なのは、自分の家に取り込もうとしてくる貴族。ただでさえ貴族の相手は嫌いだというのに、このタイプの貴族は平民嫌いが多い。上から目線で『雇ってやることを光栄に思え』などと言ってくるのだ。
Sランク冒険者は、この世界では国王に匹敵する地位を持つ。魔物から人々を守り、二つ名が付くほど有名になれば、人々への影響力が高まるからだ。
Bランク以上になると自然に二つ名が付くが、Sランクともなれば国境を越えてその名が轟くようになる。つまり、より影響力が増すことになるという訳だ。
「ようやく貴族ではなくなったというのに、また忙しくなりそうね…。」
特に影を用いた魔法が便利だった。人や建物の影に潜ることが出来るだけではなく、魔力で印を付けておけば、影を通して遠距離を移動することも出来る。魔法の印も周囲に漂う自然の魔力に溶け込ませるように付けておくことで、誰かに気付かれることはない。
私はこの影を用いた闇魔法で、冒険者ギルドのギルドマスターの部屋へと移動した。
「ギルマス。」
「おわぁっ!?」
私が急に現れたことに、驚いている様子のギルマスことエデスラード。
冒険者にはランクがあり、上から順にS・A・B・C・D・E・Fの七段階。彼は元Aランク冒険者であり、実力は本物だ。
「私を見て変な声を出さないで欲しいわね。」
「それはお前がいきなり現れるからだろうが!…ったく、来るなら扉から入ってこいよな。」
「いつもの事じゃない。それに移動が面倒なのよ。」
この世界にある主な移動手段の馬車は、前世で乗っていた車のように早いわけではなく、さらには揺れで体が痛くなってしまう。お忍びで行動する際には、闇魔法が徒歩や馬車よりも圧倒的に早く移動出来るのだ。
「はぁ…。それで、今日はどうしたんだ?普段より随分と早い時間じゃないか。何かあったのか?」
「では単刀直入に。王太子に婚約破棄されて、さらに公爵家を追放されたわ。」
「……はあ?」
「…何、その間抜け面。」
「おいおい……。お前って、突拍子もないことを言い出したかと思えば、本当に貴族かと疑いたくなるような言葉遣いをするよな…。」
呆れたようにエデスラードは私を見る。まぁ前世は平民のようなものなので、貴族としての立ち居振る舞いが性に合わないのは事実だ。彼の言葉を否定出来ないだろう。
エデスラードが詳しい説明を求めてきた為、私は包み隠さず全て話した。途中、彼が『馬鹿王子…』と呟いていたのを、私は聴き逃していない。
「親も非情だな…。」
「昔から自分の利益しか考えていない人達だから、今さら気にしていないわ。あの地獄のような公爵家から出られたことの方が嬉しいわね。とはいえ、兄様や妹とあまり会えなくなってしまうのは、最悪な部分かしら。」
「『あまり会えない』、ねぇ…。」
「何か言いたげね。」
「そりゃあな。普通、貴族家から追放されてしまえば兄妹に『会えない』と言い切るものだが、お前は『あまり会えない』と言った。つまり会う手段があるということだろう?それだけで恐ろしいもんだ。」
エデスラードの言葉は正しい。私は公爵家の一部の場所に、自身の魔力を溶け込ませている。そこを目印として影での移動を行えば、警備を潜り抜けて公爵家内に入ることが容易なのだ。
「有能な人材を易々と手放すなんてな…。」
「これからは冒険者として過ごすつもりよ。とはいえこの時間から宿を取るのは無理でしょうから、今日だけギルドの一室を借りられないかしら。」
「構わないぞ。後で鍵を渡そう。」
「感謝するわ。」
私の冒険者としての名は『リエラ』だ。ラリエットを少し変えただけ。
ランクは現在《A》。冒険者達に知り合いや友人もいるが、ソロで活動していた。
「それと、お前のランクについてなんだが…。」
「ランク?Aから変動でもあるの?規定違反を犯した記憶はないし、Sランクになるにはまだ十分な依頼をこなしていないと思うのだけれど。」
「実はな、昨日リエラが討伐依頼のついでに、近隣の村を襲っていた悪魔を倒したと言って、死体を持ってきただろう?その魔物が《上級悪魔》だったことが判明した。」
「そうだったのね。」
「……軽くないか…?かなり大事なんだが…?」
《上級悪魔》とは、百年に一度現れるか現れないかの天災級魔物だ。知性があり、その圧倒的な力で人を襲い、建物を破壊する。歴史書には、上級悪魔によって滅ぼされた国が幾つか書かれていた。
魔物も冒険者ギルドによってランク分けがされている。分け方は冒険者と同じS級~F級の七段階。自分と同じランクの魔物であれば、対処可能とされていた。
ただし組んでいるパーティーメンバーがいるのならば、そのパーティー全員でのランクが反映される。個々では一つ或いは二つ下位ランクの魔物が対処出来るくらいだという訳だ。
《悪魔》のランクはB~Aとされているが、《上級悪魔》のランクはS。しかしS以上のランクが定められていないというだけで、厳密には《S~》となっていた。
「確かに今まで戦った中で一番面倒な相手だったけれど、あれが天災級と呼ばれている魔物なの?」
「お前が持ってきた悪魔の死体を解析した結果だ。言葉を流暢に話していなかったか?」
「あぁそういえば、『この世を滅ぼす』とか何とか言っていたわね。苛ついたから、言葉を聞いた後に秒殺したけれど。」
「はぁ!?秒殺だと?!」
「面倒というだけで、強いとは思わなかっわね。」
私の言葉を聞いたエデスラードは、呆れた様子で机に肘をついて俯いていた。
昨夜、私は悪魔にこちらの言葉が通じると分かった時、あえて挑発した。最近はどんな魔物も相手にならなかったので、丁度良い相手だと判断したのだ。
すると悪魔はあっさりと挑発に乗った。そしてお返しとばかりに、強い口調で色々と言ってきた。しかし悪魔が言ってきたのは、私への挑発ではなくただの悪口だ。
知恵比べも何も、脳筋なのか頭が低レベル過ぎて話にならなかった。一方的に戯言を言ってくるので、苛ついた私は跡形もなく悪魔の頭部を消滅させたのだ。
あの悪魔は決して弱くはなかっただろう。だが私にとっては子供を相手にしているような感覚だ。負ける気がしなかった。
「…まぁ、お前は昔から規格外だからな……、今さら驚きはしないが…。とにかく、国を滅ぼせる程の存在を、リエラは単独で討伐したんだ。この功績とこれまでの活躍を踏まえて、リエラを《Sランク冒険者》として認めることになった。」
「……冗談でしょう?」
「冗談な訳ねぇよ。上級悪魔を倒したんだ。寧ろSランクになって当然だろ。それに、お前の実力があれば普通だと、俺は思うがな。」
「…面倒事はギルマスに任せるわね。」
「丸投げかよ!?……はぁ、分かった。とりあえず、明日部屋にまた来てくれ。」
「了解したわ。」
エデスラードから鍵をもらい、私は借りた部屋で横になった。
Sランク冒険者になるのが嫌という訳ではない。自分の実力が認められていることの証明なので、寧ろありがたいくらいだ。
それに報酬も桁が変わり、今後の生活を心配する必要はなくなるだろう。
だが面倒な部分もある。貴族との関わりが出てくることだ……。
最も最悪なのは、自分の家に取り込もうとしてくる貴族。ただでさえ貴族の相手は嫌いだというのに、このタイプの貴族は平民嫌いが多い。上から目線で『雇ってやることを光栄に思え』などと言ってくるのだ。
Sランク冒険者は、この世界では国王に匹敵する地位を持つ。魔物から人々を守り、二つ名が付くほど有名になれば、人々への影響力が高まるからだ。
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