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ある日--
私はゼティスーアと共に魔法を練習していた。
練習と言うよりは、魔法で遊んでいるだけなのだが。
「ゼティスーア様っ!」
「何だ、騒々しい。」
「申し訳ありません…。しかし、緊急事態です!」
「緊急事態だと?」
「はい。大量の魔物が、こちらへ向かってきていますっ!」
「何?しかし、この結界は奴らさえ反対側へ送るものだ。そう慌てなくても良いだろう。」
「それが……最近現れていた、結界を通り抜けてくる魔物のようなのです。」
「……。」
かなり厳しい状況なのだと、報告に来た精霊フィズとゼティスーアの様子で分かった。
私はゼティスーアに向かって頷く。
意図を読み取ってくれたのか、少し笑ってからフィズの方へと向き直った。
「フィズ、私が直接出る。ユイレも連れて行くぞ。」
「承知致しました。しかしユイレも連れて行くのですか…。」
「不満か?既にお前達よりも強くなっているぞ。」
「なっ!?」
「さっさと行くぞ。」
「はっ…。」
そうして、私達は魔物が大量発生しているという場所へと向かった。
その場所には、確かに魔物がいた。
数はおよそ5000体ほどだろうか。
森の一角を埋めつくしている。
「報告します!反対側より、人族が向かってきております!」
「人族だと?」
「はっ。この里は結界により見えぬようになっている為、おそらく魔物を領地に入る前に倒しておきたい、という思惑で来たのかと…。」
「だろうな。数はどの程度だ?」
「はっ、およそ300名です。」
「仕方ない。精霊族は神出鬼没という人族の知識を利用し、少数で行こう。私とユイレは共に行く。その他数名を、不可視化の魔法を発動した状態でこちらに向かわせろ。私とユイレ以外は、人族に悟らせぬようにしろ。」
「かしこまりました。」
「ユイレ、行くぞ。」
「ええ。」
魔物のいる地点まで向かうと、その数の多さと大きさに少し萎縮してしまう。
ゼティスーアと共に、実践訓練という名目で魔物と戦ったことは何度もあるが、単体ではない魔物を前にするのは、無意識に身体が怖がっているようだった。
「さて、やりましょうか。」
「ああ。くれぐれも、無茶はしないようにな。」
「分かっているわ。」
魔物 対 ゼティスーア&私の戦闘が始まった。
私とゼティスーアは次々と広範囲魔法を放ち、魔物の数を一気に減らしていく。
後に合流した他の精霊達も攻撃している。
と言っても、その姿を見ることが出来るのは私とゼティスーアくらいだろうが。
「かなり減ったわね。」
「だが残り半分もいる。」
「そうね…。あら?」
「どうした。ん?」
後ろを見ると、人族がこちらに向かってきている。
報告にあった者達だろう。
とはいえ、先行としての10人程度だった。
「そこにいるのは…精霊族か!?それともう一人……魔族?!」
「何故魔族が魔物と戦っている…?」
来るなり口々と私を見ては仲間と話している。
魔法でも撃ってやろうかと思うほどに、少し苛ついていた。
「無礼な奴らだな。」
「ええ、本当にね。でもあの武具にある模様は……。」
「貴様らは人族だな。」
「そうです、精霊殿。魔物が大量発生しているという報告を受け、被害が出る前に討伐に来ました。加勢させていただきましょう。」
「それは助かる。」
「しかし何故魔族といるのです?」
「今は話している場合ではない。」
「そうですね。後ほどお聞きするとしましょう。我々は先行してきた者ですので、本隊がもうすぐ合流します。」
「承知した。」
その頃、後方・魔物討伐隊本隊では--
「侯爵様、先行していた者からの報告です。魔物達と交戦する、精霊族一人と魔族らしき者が一人いるようです。加勢する形で戦闘を開始したとのこと。」
「魔族だと?それに精霊とは、珍しいな。」
魔物討伐には、侯爵自らが指揮を執っていた。
その事に、反対する者はいない。
何故なら侯爵がその領地で最も強いからだった……。
私はゼティスーアと共に魔法を練習していた。
練習と言うよりは、魔法で遊んでいるだけなのだが。
「ゼティスーア様っ!」
「何だ、騒々しい。」
「申し訳ありません…。しかし、緊急事態です!」
「緊急事態だと?」
「はい。大量の魔物が、こちらへ向かってきていますっ!」
「何?しかし、この結界は奴らさえ反対側へ送るものだ。そう慌てなくても良いだろう。」
「それが……最近現れていた、結界を通り抜けてくる魔物のようなのです。」
「……。」
かなり厳しい状況なのだと、報告に来た精霊フィズとゼティスーアの様子で分かった。
私はゼティスーアに向かって頷く。
意図を読み取ってくれたのか、少し笑ってからフィズの方へと向き直った。
「フィズ、私が直接出る。ユイレも連れて行くぞ。」
「承知致しました。しかしユイレも連れて行くのですか…。」
「不満か?既にお前達よりも強くなっているぞ。」
「なっ!?」
「さっさと行くぞ。」
「はっ…。」
そうして、私達は魔物が大量発生しているという場所へと向かった。
その場所には、確かに魔物がいた。
数はおよそ5000体ほどだろうか。
森の一角を埋めつくしている。
「報告します!反対側より、人族が向かってきております!」
「人族だと?」
「はっ。この里は結界により見えぬようになっている為、おそらく魔物を領地に入る前に倒しておきたい、という思惑で来たのかと…。」
「だろうな。数はどの程度だ?」
「はっ、およそ300名です。」
「仕方ない。精霊族は神出鬼没という人族の知識を利用し、少数で行こう。私とユイレは共に行く。その他数名を、不可視化の魔法を発動した状態でこちらに向かわせろ。私とユイレ以外は、人族に悟らせぬようにしろ。」
「かしこまりました。」
「ユイレ、行くぞ。」
「ええ。」
魔物のいる地点まで向かうと、その数の多さと大きさに少し萎縮してしまう。
ゼティスーアと共に、実践訓練という名目で魔物と戦ったことは何度もあるが、単体ではない魔物を前にするのは、無意識に身体が怖がっているようだった。
「さて、やりましょうか。」
「ああ。くれぐれも、無茶はしないようにな。」
「分かっているわ。」
魔物 対 ゼティスーア&私の戦闘が始まった。
私とゼティスーアは次々と広範囲魔法を放ち、魔物の数を一気に減らしていく。
後に合流した他の精霊達も攻撃している。
と言っても、その姿を見ることが出来るのは私とゼティスーアくらいだろうが。
「かなり減ったわね。」
「だが残り半分もいる。」
「そうね…。あら?」
「どうした。ん?」
後ろを見ると、人族がこちらに向かってきている。
報告にあった者達だろう。
とはいえ、先行としての10人程度だった。
「そこにいるのは…精霊族か!?それともう一人……魔族?!」
「何故魔族が魔物と戦っている…?」
来るなり口々と私を見ては仲間と話している。
魔法でも撃ってやろうかと思うほどに、少し苛ついていた。
「無礼な奴らだな。」
「ええ、本当にね。でもあの武具にある模様は……。」
「貴様らは人族だな。」
「そうです、精霊殿。魔物が大量発生しているという報告を受け、被害が出る前に討伐に来ました。加勢させていただきましょう。」
「それは助かる。」
「しかし何故魔族といるのです?」
「今は話している場合ではない。」
「そうですね。後ほどお聞きするとしましょう。我々は先行してきた者ですので、本隊がもうすぐ合流します。」
「承知した。」
その頃、後方・魔物討伐隊本隊では--
「侯爵様、先行していた者からの報告です。魔物達と交戦する、精霊族一人と魔族らしき者が一人いるようです。加勢する形で戦闘を開始したとのこと。」
「魔族だと?それに精霊とは、珍しいな。」
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その事に、反対する者はいない。
何故なら侯爵がその領地で最も強いからだった……。
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