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あくまで彼女の為ですよ?(王子視点)

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ヴァリフィアとミエラがブュージェ伯爵領へと出向いている頃--


「ふふふっ……。」


不気味に笑っているのはディルジアだ。
ヴァリフィアに頼られると、つい嬉しくなってしう。
そんなディルジアの姿を見た使用人達は……


「また浮かれていらっしゃる…。」

「ええ……ヴァリフィア様と出会われてから、殿下は本当に変わりましたわ。毎日が楽しそうです。」

「勉学は元々優秀ではございましたが、今はより一層、励まれるようになりましたね。」

「様々な事に関して、ヴァリフィア様が影響を与えているのは確実ですね。」


等など、全員が微笑ましい目で見ていた。

これから報告資料の撮影に行こうかという時、メイドの1人がディルジアを呼びに来た。


「ディルジア殿下。国王陛下がお呼びでございます。」

「父上がっ!?」

「重要なお話があるそうです。書斎で待っているとの事です。」

「分かりました。直ぐに向かいましょう。」


(何の話だろう……。)


ディルジアは傍付きなどには普通に喋るが、その他の使用人達には丁寧な言葉遣いをするようにしていた。


「国王陛下、ディルジアです。」

「入るが良い。」

「失礼致します。」

「……よく来たな。お前にこれを渡そうと思うてな。」

「これはっ!?」

「うむ。事情は知っている。ラーノンス侯爵から話は聞いたからな。それらの資料、十分に役立てると良い。」

「ありがとうございます、父上。その……調査している事が知られてしまえば、叱責されると思っていたのですが…。」

「確かに、一声かけて欲しかったな。だが、放置されていたかの伯爵家に、ようやく鉄槌を下せるのだ。協力は惜しまないぞ。」

「重ね重ね、感謝致します。」

「……しかし、これくらいの事しか協力出来ないのだ。すまぬな。」

「とんでもございません!お気持ちだけでも十分です!」


ディルジアは国王である父が協力してくれる事は想定外だった為、内心ではとても喜んでいた。


(これで調査も捗るはずだ!ヴァリフィアの喜ぶ顔が見られるぞ!)


ではなく、あくまでヴァリフィアの笑顔……つまりは、に動いているのだった。
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