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規格外の存在(皇帝視点)
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ヴァリフィアとの食事が終わった後、王国内の施設等を訪問する為に馬車で移動していた。
馬車内には私と第一宰相しかいない。
「本当に食えない者達だな。」
「陛下…?食えない者達とはまさか…。」
「無論、例の2人だ。」
「やはりそうでしたか。昼食を共にしたとお聞きしましたが……。」
「ああ。だが『私達に関わるな』と釘を刺されてしまった。貸しを作るために放っていた者達も、私の手の者だと気付かれたらしい。」
「ですがいつ気付かれたのでしょうか。」
「私とヴァリフィアが昼食を共にしていた頃、エフェンは一人一人に『余計な事はするな』と言っていたらしい。」
「一人一人にですか!?それはつまり……。」
「そうだ。既に情報戦は負けているということに他ならない。我々が動き出す前に、全て潰しに来ているのだからな。」
「そこまでとは……。」
放っていた者達からの報告では、絶対に気付かれていないという自信がある中でエフェンに貸しを作る機会を窺っていた。
だが急に消えたかと思うと、次の瞬間には真後ろに立っており、
『皇帝陛下の手の者だな。余計な事はするな。命の保証はしないぞ。』
と言われたそうだ。
その短い言葉の中で、殺気を感じ、絶対に敵わないという印象を受けたという。
関わってはいけない者だと。
それはヴァリフィアも同じらしく、今まで一度も殺しはしていないと言われているが、それが真実ではないと思うほどのエフェンと同じ殺気を感じたどのことだった。
ヴァリフィアにはエフェンよりも前に、貸しを作れるよう動いていた。
しかし彼女に気付かれ、睨まれた瞬間に動けなくなり、その間に見失ってしまったらしい。
「計り知れませんね……。」
「全くだ。しかし我々が手を出さない限り、危害を加えないという条約もある。それは逆も然り。あまり刺激しない為にも、ここは大人しくしておこう。」
「陛下がそうおっしゃるのなら、私共に異存はありません。」
「くれぐれも、勝手な真似はしてくれるなよ?」
「はっ。」
私は、絶対に2人には手を出さないでおこうと心の中で誓う。
一歩間違えてしまえば、国が滅びかねないだろう。
条約締結後に動き、彼らに私の手の者を見逃してもらっている時点で、既に借りを作ったも同然なのだから。
(規格外の存在……か。国王殿は凄いな。ヴァリフィアをディルジア第二王子の婚約者などにして、仲間に引き入れられている。エフェンはディルジアの友だと言うしな。よく考えているものだ。)
そう思う皇帝ジエクア・フォン・コールシアだったが、真実は違う……。
馬車内には私と第一宰相しかいない。
「本当に食えない者達だな。」
「陛下…?食えない者達とはまさか…。」
「無論、例の2人だ。」
「やはりそうでしたか。昼食を共にしたとお聞きしましたが……。」
「ああ。だが『私達に関わるな』と釘を刺されてしまった。貸しを作るために放っていた者達も、私の手の者だと気付かれたらしい。」
「ですがいつ気付かれたのでしょうか。」
「私とヴァリフィアが昼食を共にしていた頃、エフェンは一人一人に『余計な事はするな』と言っていたらしい。」
「一人一人にですか!?それはつまり……。」
「そうだ。既に情報戦は負けているということに他ならない。我々が動き出す前に、全て潰しに来ているのだからな。」
「そこまでとは……。」
放っていた者達からの報告では、絶対に気付かれていないという自信がある中でエフェンに貸しを作る機会を窺っていた。
だが急に消えたかと思うと、次の瞬間には真後ろに立っており、
『皇帝陛下の手の者だな。余計な事はするな。命の保証はしないぞ。』
と言われたそうだ。
その短い言葉の中で、殺気を感じ、絶対に敵わないという印象を受けたという。
関わってはいけない者だと。
それはヴァリフィアも同じらしく、今まで一度も殺しはしていないと言われているが、それが真実ではないと思うほどのエフェンと同じ殺気を感じたどのことだった。
ヴァリフィアにはエフェンよりも前に、貸しを作れるよう動いていた。
しかし彼女に気付かれ、睨まれた瞬間に動けなくなり、その間に見失ってしまったらしい。
「計り知れませんね……。」
「全くだ。しかし我々が手を出さない限り、危害を加えないという条約もある。それは逆も然り。あまり刺激しない為にも、ここは大人しくしておこう。」
「陛下がそうおっしゃるのなら、私共に異存はありません。」
「くれぐれも、勝手な真似はしてくれるなよ?」
「はっ。」
私は、絶対に2人には手を出さないでおこうと心の中で誓う。
一歩間違えてしまえば、国が滅びかねないだろう。
条約締結後に動き、彼らに私の手の者を見逃してもらっている時点で、既に借りを作ったも同然なのだから。
(規格外の存在……か。国王殿は凄いな。ヴァリフィアをディルジア第二王子の婚約者などにして、仲間に引き入れられている。エフェンはディルジアの友だと言うしな。よく考えているものだ。)
そう思う皇帝ジエクア・フォン・コールシアだったが、真実は違う……。
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