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「ただいま戻ったわ。」
「急に来るなよな。」
「そう言いながらも、驚いていないじゃない。」
「そりゃあ、空間の歪みを感じたからな。」
「でしょうね。今度からは、それすらも感じさせないよう努力してみようかしら。」
「やめといてくれ。寿命が縮みそうだ。」
「あら?私より長生き出来る方が何を言っているのやら。」
「お前だって、自分の身体の時を止めてるじゃねーか。」
「気付いていたのね。」
「当然だ。身体が止まっているわけじゃないが、『老いる』という行為そのものを止めてんだろ。つまりは永遠とその姿のままだ。魔法を解除しない限り、不死になってんだろうよ。」
「大正解。さて、私の話はこれくらいにしましょう。幹部を決めたわ。」
「早すぎねぇか?」
「それぞれ相応しいか、ちゃんと調べたわよ。幹部にするのは今の各部隊の統率者。彼らの実力は中々ね。過去の報告書も見たけれど、書類仕事なども完璧にこなしていたわ。改めて部隊長に任命しても、問題がないと判断したわ。」
私は報告を続ける。
各部隊の部隊長にする魔族の名をあげていった。
防衛部隊・・・王城・アレーユ、領内・ギュエザ、国境・レクア
情報部隊・・・ミレ
攻撃部隊・・・ジェヌク
そして一つ提案をした。
「防衛部隊は各場所で3つあるけれど、言ってしまえばどれも防衛部隊。そこで提案よ。名を改めるのはどうかしら?」
「名前を改める?つまり別名にすると。」
「ええ。例えば、簡潔に『一軍』・『二軍』・『三軍』というようにし、現部隊の数は5つが故に『五軍』まで。そして各軍の軍務内容を『王城防衛』、『領内警備』、『国境監視』、『情報の収集と管理』、とするのよ。」
「確かに良い案だな。だが五軍となる『攻撃部隊』は?さきの説明の中で軍務内容を言わなかったが。」
「それなのだけれど…。攻撃部隊と言ってしまえば、何に対してか分からないわ。聞いた話によると、他国への進軍などをする部隊のようね。戦争は望まないとゼギュアス殿が以前言っていたから、この部隊は矛盾していると思うのだけれど。」
「そうだな。だがこの部隊は凶暴化した魔獣討伐や、他種族が進行して来る際に応戦するのが主な行動内容だ。こちらからは攻めないが、向こうから来られたら戦うしかないだろう?」
「その通りね。とりあえずこの部隊については分かったわ。それで、私の提案は受け入れてくれるのかしら。」
「ああ、受け入れるぜ。『一軍』~『五軍』に名を改め、軍団長をシェルアの言った5人に任命しよう。……そう言えば、お前の軍は?」
「それね。軍団を一から作るのは大変なのよ。だからもう一つ、私からの提案よ。私を総軍団長にしてほしいの。」
「総軍団長?どういう意味だ。」
「私は出来るだけ自由に動きたいのよ。総軍団長とは、その名の通り各軍の総長。軍の中で一番上に立つ者を決めた方が良いと思ってね。」
「なるほど。全軍のまとめ役か。だがそれだと、お前の仕事が多くなると思うが?」
「問題ないわ。総軍団長とは名ばかりのもの。仕事はこれまで通りそれぞれの軍団長が行うようにすれば、 私は自由に動ける。緊急時の指示などは、総軍団長として私がするわ。それ以外はゼギュアス殿の命令がある時のみ動く。どうかしら?」
「ふむ……それで良いだろう。」
「なら決まりね。一応側近という立場にもなるわ。」
「分かったぜ。つまり、シェルアは俺の右腕だな。」
「ゼギュアス殿がそれでいいのなら、私は構わないわ。さて、今すぐ幹部任命を行う?」
「いや、明日で良いぜ。今日は定期報告で忙しいだろうからな。明日の方が落ち着いてるだろう。」
「了解したわ。通達だけしておくわね。」
「ああ、頼んだ。」
--翌日。
幹部任命される私を含めた6名が、玉座の間に集められていた。
魔王ゼギュアスの前で跪き、言葉を待つ。
「よく来てくれたな。お前達を呼んだのは正式に俺から幹部任命をする為だ。今まではただの統率者というだけが故に、言う事を聞かない者もいただろうからな。そしてそれぞれの部隊名も改める事となった。シェルア、頼む。」
「分かったわ。」
私は立ち上がり、異空間収納から書類を取り出した。
そしてそれを読んでいく。
「魔王殿の言った通り、それぞれの部隊名を改める事になったわ。全て『部隊』ではなく『軍』とし、『一軍』『二軍』という名で『五軍』までとする。それぞれの仕事内容はこれまでと変わらない。」
「と、おっしゃいますと?」
「まず、『一軍』の軍務内容は王城の防衛。そして『二軍』は領内警備、『三軍』は国境の監視。『四軍』は情報の収集と管理、『五軍』は凶暴化した魔獣討伐や、他種族が進行して来る際に応戦する。というような感じよ。」
「なるほど、理解致しました。しかし、今回我々と共に並んでいたということは、シェルア様も幹部になるのでは?」
「正解よ。私は総軍団長……全軍の総まとめ役ね。けれど緊急時以外は私の出る幕はないわ。これまで通り、貴方達が王城の者に報告をすれば良いだけよ。異変があった際などは私も介入するけれどね。」
「そういうことでしたか。」
「今シェルアの言ったことが、新たに決まったこれからの魔族領の在り方だ。そしてシェルアは俺の右腕、つまりは側近となる。ちゃんと理解しておけよ。」
「「「はっ!!!」」」
「現時点をもって、この場にいる6名を軍団長に任命する。お前らは幹部となった。それに相応しい行動を期待している。」
「「「はっ。」」」
「それと、勇者ゼイスが動き出したようだ。四軍、情報を少し流せ。」
「かしこまりました。内容はいかがなさいますか?」
「ゼギュアス殿、私から良いかしら?」
「ああ、構わねぇぜ。」
「ありがとう。それじゃあ、こういう噂を流して。『魔王ゼギュアスは部隊名を『一軍』などに改めた。そして総軍団長という各軍の総まとめ役がいるのだが、その者は魔王の右腕らしい。』とね。私の名は明かさないように。」
「分かりました。」
「話は以上だ。行っていいぜ。」
「「「はっ。失礼致します。」」」
「私も失礼するわね。」
「ああ。ご苦労だったな。」
そして、私もその場を後にした。
「急に来るなよな。」
「そう言いながらも、驚いていないじゃない。」
「そりゃあ、空間の歪みを感じたからな。」
「でしょうね。今度からは、それすらも感じさせないよう努力してみようかしら。」
「やめといてくれ。寿命が縮みそうだ。」
「あら?私より長生き出来る方が何を言っているのやら。」
「お前だって、自分の身体の時を止めてるじゃねーか。」
「気付いていたのね。」
「当然だ。身体が止まっているわけじゃないが、『老いる』という行為そのものを止めてんだろ。つまりは永遠とその姿のままだ。魔法を解除しない限り、不死になってんだろうよ。」
「大正解。さて、私の話はこれくらいにしましょう。幹部を決めたわ。」
「早すぎねぇか?」
「それぞれ相応しいか、ちゃんと調べたわよ。幹部にするのは今の各部隊の統率者。彼らの実力は中々ね。過去の報告書も見たけれど、書類仕事なども完璧にこなしていたわ。改めて部隊長に任命しても、問題がないと判断したわ。」
私は報告を続ける。
各部隊の部隊長にする魔族の名をあげていった。
防衛部隊・・・王城・アレーユ、領内・ギュエザ、国境・レクア
情報部隊・・・ミレ
攻撃部隊・・・ジェヌク
そして一つ提案をした。
「防衛部隊は各場所で3つあるけれど、言ってしまえばどれも防衛部隊。そこで提案よ。名を改めるのはどうかしら?」
「名前を改める?つまり別名にすると。」
「ええ。例えば、簡潔に『一軍』・『二軍』・『三軍』というようにし、現部隊の数は5つが故に『五軍』まで。そして各軍の軍務内容を『王城防衛』、『領内警備』、『国境監視』、『情報の収集と管理』、とするのよ。」
「確かに良い案だな。だが五軍となる『攻撃部隊』は?さきの説明の中で軍務内容を言わなかったが。」
「それなのだけれど…。攻撃部隊と言ってしまえば、何に対してか分からないわ。聞いた話によると、他国への進軍などをする部隊のようね。戦争は望まないとゼギュアス殿が以前言っていたから、この部隊は矛盾していると思うのだけれど。」
「そうだな。だがこの部隊は凶暴化した魔獣討伐や、他種族が進行して来る際に応戦するのが主な行動内容だ。こちらからは攻めないが、向こうから来られたら戦うしかないだろう?」
「その通りね。とりあえずこの部隊については分かったわ。それで、私の提案は受け入れてくれるのかしら。」
「ああ、受け入れるぜ。『一軍』~『五軍』に名を改め、軍団長をシェルアの言った5人に任命しよう。……そう言えば、お前の軍は?」
「それね。軍団を一から作るのは大変なのよ。だからもう一つ、私からの提案よ。私を総軍団長にしてほしいの。」
「総軍団長?どういう意味だ。」
「私は出来るだけ自由に動きたいのよ。総軍団長とは、その名の通り各軍の総長。軍の中で一番上に立つ者を決めた方が良いと思ってね。」
「なるほど。全軍のまとめ役か。だがそれだと、お前の仕事が多くなると思うが?」
「問題ないわ。総軍団長とは名ばかりのもの。仕事はこれまで通りそれぞれの軍団長が行うようにすれば、 私は自由に動ける。緊急時の指示などは、総軍団長として私がするわ。それ以外はゼギュアス殿の命令がある時のみ動く。どうかしら?」
「ふむ……それで良いだろう。」
「なら決まりね。一応側近という立場にもなるわ。」
「分かったぜ。つまり、シェルアは俺の右腕だな。」
「ゼギュアス殿がそれでいいのなら、私は構わないわ。さて、今すぐ幹部任命を行う?」
「いや、明日で良いぜ。今日は定期報告で忙しいだろうからな。明日の方が落ち着いてるだろう。」
「了解したわ。通達だけしておくわね。」
「ああ、頼んだ。」
--翌日。
幹部任命される私を含めた6名が、玉座の間に集められていた。
魔王ゼギュアスの前で跪き、言葉を待つ。
「よく来てくれたな。お前達を呼んだのは正式に俺から幹部任命をする為だ。今まではただの統率者というだけが故に、言う事を聞かない者もいただろうからな。そしてそれぞれの部隊名も改める事となった。シェルア、頼む。」
「分かったわ。」
私は立ち上がり、異空間収納から書類を取り出した。
そしてそれを読んでいく。
「魔王殿の言った通り、それぞれの部隊名を改める事になったわ。全て『部隊』ではなく『軍』とし、『一軍』『二軍』という名で『五軍』までとする。それぞれの仕事内容はこれまでと変わらない。」
「と、おっしゃいますと?」
「まず、『一軍』の軍務内容は王城の防衛。そして『二軍』は領内警備、『三軍』は国境の監視。『四軍』は情報の収集と管理、『五軍』は凶暴化した魔獣討伐や、他種族が進行して来る際に応戦する。というような感じよ。」
「なるほど、理解致しました。しかし、今回我々と共に並んでいたということは、シェルア様も幹部になるのでは?」
「正解よ。私は総軍団長……全軍の総まとめ役ね。けれど緊急時以外は私の出る幕はないわ。これまで通り、貴方達が王城の者に報告をすれば良いだけよ。異変があった際などは私も介入するけれどね。」
「そういうことでしたか。」
「今シェルアの言ったことが、新たに決まったこれからの魔族領の在り方だ。そしてシェルアは俺の右腕、つまりは側近となる。ちゃんと理解しておけよ。」
「「「はっ!!!」」」
「現時点をもって、この場にいる6名を軍団長に任命する。お前らは幹部となった。それに相応しい行動を期待している。」
「「「はっ。」」」
「それと、勇者ゼイスが動き出したようだ。四軍、情報を少し流せ。」
「かしこまりました。内容はいかがなさいますか?」
「ゼギュアス殿、私から良いかしら?」
「ああ、構わねぇぜ。」
「ありがとう。それじゃあ、こういう噂を流して。『魔王ゼギュアスは部隊名を『一軍』などに改めた。そして総軍団長という各軍の総まとめ役がいるのだが、その者は魔王の右腕らしい。』とね。私の名は明かさないように。」
「分かりました。」
「話は以上だ。行っていいぜ。」
「「「はっ。失礼致します。」」」
「私も失礼するわね。」
「ああ。ご苦労だったな。」
そして、私もその場を後にした。
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