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6話

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6話


人間の女がグスグス泣いていると、
雌の臭いに釣られたのか、ゴブリンが涎を滴ながら人間の女に近づいていく。
月の光が天上に登り、辺りは月明かりで大分明るくなっている。
それが幸いしたのか、ゴブリンの射程範囲内に入る前に
人間の女は接近に気づいていた。

「ヒッ!」

ゴブリンの接近に気づくと、人間の女は怯えだしはするが、
俺の顔を見たときの様に気絶はしなかった。
なんとも釈然としない気持ちを抱いたが、
散々弄んでしまった罪悪感を拭う事が出来なかった。

それに俺の獲物・・・・に手を出されるのは面白くない。
そう決めると、辺りに落ちていた手頃な木の棒を握り締める。
散々最弱として過ごしてきたが、
不思議と危機感や、負けるイメージを抱く事が無かった。
だが油断すること無く、集中するとゴブリンの死角から全力の力を込めた一撃をお見舞いしてやった。

「・・・!?」
ゴブリンは断末魔の叫びを上げる事無く、
豆腐でも切る位の抵抗で真っ二つになってしまった。
当然、即死している。

はあ!?よわっ!?嘘だろ・・・?
こっちはその辺で拾った気の棒だぞ!?
こんなので真っ二つに出来るもんか・・・?
実は俺強かったのか?
いやいや・・・そんな馬鹿な。
きっとゴブリンが弱すぎただけだろう。
そう考えを切り替えると人間の女に声をかけた。

「・・・大丈夫か?」

「は、はい。助けて頂いてありがとうございます。」
暗闇でも分かる位頬を赤くし、ぽーっとした表情で俺を見つめている。・・・・・・・・

「お、俺の顔を見ても平気なのか?」

「勿論です!命の恩人ですから。でも、その・・・隠された方が・・・」

俺の随分と立派になっている愚息がモロだしだった。
小指の先程しかなかった愚息が、ノーマル状態でも大分大きくなっている。
軽く10cmは越えている様に見える。

「ああ、すまない」
慌ててその辺の木から大きめの葉っぱをむしると、
腰に巻き付けた。
そういえば身長も大分伸びている・・・?
・・・俺に何が起こっているんだ?
敵でも倒してレベルアップでもしたのか?

「あの、あなた様のお名前は・・・?」

「ああ、俺は・・・」
適当な偽名を答えようとした瞬間、俺以外”世界が止まった”。
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