禊ぎを終えたから自由に過ごせるようになった

かざみねこ

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第1章

第18話 わたしも付いて行きた~い!

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 緑茶のおかわりとお茶菓子をエメさんが持ってきてくれた。お茶菓子は芋羊羹だった。主原料がサツマイモと砂糖位だけど、素朴な味で僕は好きだった。

「うわ、懐かしい・・・これ、どうしたの?」
「エメに作って頂きました。調査の際に入手したレシピを再現したものです」
「どうぞ~、多めに作ったので遠慮無く食べてみて下さい~」

 早速、竹串で短冊状の芋羊羹を切ってから、刺して口に入れた。しっかりと裏漉《うらご》しがされていて、しっとりとしていてとても美味しかった。お茶で口を潤してからエメさんにお礼を言った。

「美味しいです。ありがとうございます」
「いいえ~、気に入って頂けたなら嬉しいです~」

 エメさんは微笑んで喜んでくれた。お茶とお茶菓子を堪能して満喫して寛いでいたら、ふと聞き忘れていた事があったことを思い出した。

「そういえば、僕が地上に行くのはいつになるの?」
「そうですね、お兄様の了承を得ましたので開発室にカジノスロットのカスタマイズを依頼して完成してからとなります。恐らくそれほどは掛かりません。2・3日というところではないでしょうか」

 そうか、あと数日で地上に降りるのか。僕が思いを馳せていると、ハナがジッと僕を見ている事に気づいた。

「え、なに?」
「いいえ、何でも御座いませんよ」

 やはり寂しがってくれているのかな。慕ってくれているハナには悪いとは思うけど、僕は一度は地上に降りてこの世界を満喫したいと思っているので、止める気は無い。僕は話を変えるために何か話題になる物がないかと、周りを見渡すと先程の特典が書かれていた書類が目に入った。

「そういえば、こういう書類はデータ化したりしないの?」
「残念ながら、タブレット端末でしたか。その装置の開発が成功に至っておりません」

 何でもハードウェア開発自体はある程度出来たが、タッチパネル部分に用いた魔法陣を隠蔽魔法で不可視には出来たが、その反面メンテナンス性が低下したらしい。可視化する際常に魔法を使い続けながら、細かい作業を行うのが大変という切実な理由だった。また現時点で天界ではパソコンは入力作業しか利用されてないので優先度が低いらしい。何とか解決方法は無いのかなと考えて、思いついたことを僕は言ってみた。

「トゥルーサイトを付与したマジックアイテムとか作れないの?例えばメガネとかに」
「あ。・・・可能かと存じます。思い至りませんでした」
「それにタブレット端末は入力作業には不向きだけど、報告書や統計データをリアルタイムで見ることも出来るし、メリットもあると思うよ」
「仰るとおりですね。もし宜しければお兄様からエルザにご説明頂けますか」
「うん、良いよ。スロットのカスタマイズのお願いとかも言いたいし」

 僕は席を立ち、特典のリストアップをしてくれたことに改めてお礼を言い、カスタマイズの依頼をするためにロマーナさんが開発室まで付いてくることなり、僕とリナさん、そしてロマーナさんの3人で開発室へ向かった。

 開発室に入った後、エルザさんに僕のこれからを伝え、スロットのカスタマイズのお願いをしてから、タブレット端末開発の助言を伝えた。

「おぉ、おお~、確かにその方法だと魔法を使いながら作業をしなくて良いから、作業に集中出来ますよ~。ありがとうございます~マサト様~。早速開発してみ」
「待って待って」

 僕はまた直ぐに開発しようとしたエルザさんを引き留め、webベースの統計データや報告書の説明を紙に書いたり口頭で説明した。また説明しながら思いついたので、手書き入力やOCR、入力方法としてソフトウェアキーボード、書面に残したり取込んだりするためのスキャナやプリンタなども含め有効性を伝えた。

「ああ、凄い。開発したいことが一杯・・・。でも、タスクも一杯・・・。でもそうですか~、マサト様が天界に居てくれたら、もっと色々な物が開発出来ると思うんですけど~」

 説明を一通り受けたエルザさんが、恍惚としたり唸ったりしていた後、残念そうに呟いた。

「ご主人様が決めたことです。諦めて下さい」
「ごしゅ?!え、何?リナ、どういうこと?」

 あぁ、そういえばリナさんが付いてくることを言ってなかった。エルザさんにリナさんが一緒に地上に付いてきてくれることを説明した。

「えぇ~。良いなぁ。わたしも付いて行きた~い!」
「良いのですか?付いてきたら、先程のご主人様が助言された開発が出来ませんよ?」
「あぁ~、そうだった~」

 エルザさんは頭を抱えて嘆いた。エルザさんも地上へ行ってみたかったのかな。

「まぁ、もう開発することが無くなって、ハナがもしOKしてくれたら良いですよ」
「ほ、ほんとですか!?・・・いよ~し、頑張るぞ~~~!」
「あ、僕のお願いした事からやってくださいね?」

 スロットのカスタマイズを後回しにしそうだったので、僕は念のためエルザさんに釘を刺しておいた。

                  ◇

 エルザさんが頑張ってくれたお陰で2日でスロットのカスタマイズが終わり、いよいよ地上へ降りるときが来た。地上に降りる儀式は執務室で行うらしく、僕は執務室へ行く前にリナさんと開発室へ行きエルザさんや開発室のメンバーにお礼とお別れを告げ、そのまま広間に出て忙しそうに走り回っているバニーさんたちに頭を下げて、今は事務室の天女たちの前に居た。

 休憩が取れるようになってからは、みんな生き生きとしていた。まだ完全に休暇のローテーションが回りきっていないけど、休暇を先に取った者からローテーションの最後の天女の仕事を少しだけ多めに請け負い、負荷をなるべく減らす方法も取り入れたようで、全体的に効果は出ているようだった。

「「「「「「「「「「マサト様、ありがとうございました!」」」」」」」」」」

 そして、事務室の皆にお別れを伝えに来たところ、みんな作業を止めて立ち上がり、僕に頭を下げてお礼を言ってくれた。僕は大したことはしたとは思っていないけど、皆が笑顔になれた要因になれたのなら嬉しい。

「こちらこそ、ありがとうございました。あ、皆忙しいだろうから作業再開してね」

 僕もお礼を言われたことと今までのことに、お礼を返してからハナの居る執務室へと向かった。ノックしてから部屋に入ると、ハナとロマーナさん、エメさんが待っていてくれた。

「暫くお別れですね、お兄様」
「そうかな?僕のことだから案外直ぐに死んで戻って来そうだけど」

 ハナがしんみりと別れを惜しんでくれたけれど、僕は茶化すように慰めた。実際僕のことだから、うっかりで死ぬ気がするし。

「それはそれで喜んで良いのか分かりかねます、お兄様」
「ハナ様。ご主人様は私がしっかりサポートしますので、ご安心下さい」

 ハナにしては珍しい苦笑で返してくれて、リナさんはご主人様は私が守ると言わんばかりに気合いが入っていた。そういえば天女って戦闘とか出来るんだろうか?丁度良いから聞いてみた。

「リナさんもそうだけど、天女ってどれ位戦えるの?」
「天女にも依りますが、リナは戦闘技術もマスターしておりますので、神の尖兵とも言える力を持っております。具体的な力ですとマルギット様より遙かに強いかと存じます」
「え、何それ凄い」

 あのマルギットさんより遙かにってどれだけ強いんだろう。僕が貰った身体強化やスキルなんてリナさんに比べたらもしかすると赤子レベルなんだろうか。

「お兄様。以前申し上げた通り、リナはあくまでもサポートに徹します。お兄様に言われない限りはお兄様は勿論、世界にも影響は御座いません。また、もしもお兄様が錯乱し、世界の滅亡などをご希望なされてもリナは応えてくれません。安心してリナに頼って下さいませ」
「あぁ、うん。頼りにするよ」

 むしろ僕が心配してるのは、僕がサポート役になるんじゃないかって事だけど、何だか情けないし言わないでおいた。
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