溢れる愛は、どうやって?

甘栗

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弐 突然の失踪

在りし日の思い出

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♣︎(笠井視点)
「ゴメンな、笠井」

……!佐竹の声だ。
……ということは、これは夢だろうか?

「お前を救おうと思って取った行動が、結局お前を
自殺に追い込んでしまったんだな……本当に、ゴメン」
白くてふわふわした光で象られた(かたどられた)佐竹の姿は、あの時と全く変わっていなかった。

「謝るのは僕の方なんだ……警察が崖まで犯人を追い詰めた時、彼は気が狂ったのか、僕らに銃弾を撃ち込もうとしてきたよね。僕はその時、諦めたんだ。君と一緒に死んでしまうんだって。
でも君は諦めずに僕を庇ってくれて、その時の反動で樹海の中へと君は、落ちていったよね。
その後、君の死体は行方不明。結局、犯人には逃げられる。……あの時、僕が君を庇っていたら……本当に……ゴメン……」

僕のキラキラした目から、塩辛い涙が頬を流れていく。……涙の雫が、ポツポツと床に零れ落ちる。

「いや、大丈夫だよ。謝らなくても。悪い…は、
ヤツらなん…から」

……目の前が白い絵の具のように真っ白になっていく。それと共に、佐竹の声が、どんどん小さくなっていく。

「それ…さ、実…俺、…き………ん………………」

彼の声が、一切聞こえなくなってしまった。
それと共に、目の前に、オレンジ色の光が溢れてきた。



♡(愛音視点)
「方見くん!笠井くんの目が覚めたのです!」
オレンジ色の光が射す旅館の部屋の中、笠井君の目が覚めたのです!

「笠井!大丈夫か!?全く……急に気を失ったから、お前を引っ張っている側からしたら、びっくりしたし、大変だったぞ……全く……でも、良かった。笠井が……生きて……いて」

さっきも泣いていた気がするのに、また方見君は泣きだしたのです。

「方見……泣かないで……僕は……もう、大丈夫だから……」

ふわふわとした声で、笠井君は、方見君をなだめたのです。

「本当か!?信じていいんだな!?」

「うん……」

笠井君が儚げに笑うと、方見君も泣きながら笑ったのです。
その二人の姿を見ると、世羅っちが言っていたように、やっぱり方見君じゃなきゃ笠井君を救えなかったんだな、と、思ったのです。
その後、良い雰囲気の中、(明日は何をしようかな)と、二人を眺めながら考えていると、突然、世羅っちが苦い顔をして、何かを話し始めたのです。
 
「あの……笠井……こんな雰囲気で言う事じゃないだけど……さ……佐竹の墓のこと、方見に言ってしまって、すまなかったな……」

……すると笠井君は、かぶっていた布団から少し身を乗り出して、世羅っちの額に、パチンと、デコピンをしたのです。

「コレで……許してあげる……だけど……今度そのことを誰かに言ったら、世羅の口を縫いつけるから」

笠井君は、かなり真剣な顔で、そう応えたのです。

「あぁ、これからは気を付けるよ……」

世羅っちは苦い顔の中に、微かな安堵感を垣間見せ、手を肩に当てながら苦笑いをしたのです。
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