溢れる愛は、どうやって?

甘栗

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伍 幸せとは儚きユートピアである。ただ、幸せとは主観により変わる概念である。

世界は、時に残酷なものを見せる

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♣︎(方見視点)
 ゼェゼェと息を切らしながら、なんとか小屋に辿り着いた私達は、おそるおそるドアを、トントン、とノックした。
 すると中から、「ちょっと待機していて」と、電話の時とのテンションの差がかなりある声が聞こえてきた。
 一、二分後……木製のドアから佐竹が出てきた。
 端正な顔立ちで、まるで整形したように顔のパーツが理想的な場所にあった。
「さて……方見クンって言ったっけ?ありがとね~僕の笠井クンを僕がいない間、監視してくれて。いや、あれはストーカーかな。まぁ、どっちでもいいけど」
 憎まれ口を叩く佐竹の言葉に、私は怒りを覚えたが、とりあえず愛音の引き渡しをしてもらわないと、本末転倒なので、なんとか自分で自分を宥めた。
「とりあえず、携帯での取引内容の通り、愛音をコチラに引き渡してくれないかな」
コクリと私は唾を飲んだ。
「うん、分かった!……というとでも思った?そんな簡単に引き渡すわけないじゃん。バッカじゃねーの。まぁ、愛音クンの方は最後に返してあげるから、とりあえず今から言う要求を飲んでくれない?
まず一つ」
 そう、佐竹が要求しようとした時だった。
 バンッ!、と乾いた音が空に響いた。
「えっ……?なんで……?まさか……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 佐竹は頭から血をタラァと流し、地面に倒れた。
 私は銃声が聞こえた方を向いた。
 そこには、目の焦点が合っていない、白いタンクトップのジジィがいた。
 あぁ……あぁ……とまるで死者のように呻いているジジィは、ピクピクと手を震わせて、銃を持っていた。
すると運が良いのか悪いのか、小屋の中から愛音と笠井が出てきた。
「バカ!早く戻れ!」
 世羅は咄嗟にそう叫んだ。しかし、その言葉が聞こえなかったのか、愛音達は小屋から普通に出てきた。
 するとジジィは何をとち狂ったのか、なぜか愛音に向かって銃弾を放った。
「マズイ!愛音、伏せろ!」
 世羅が喉から手を出しそうな勢いで、叫んだ。
 しかし、愛音は足がすくんで動けなかった。
 だが……笠井はそんな愛音を見てマズイと咄嗟に感じ、愛音を横に突き飛ばした。
 銃弾が笠井の肩にめり込んでいく。
 血が、赤い血が笠井の肩から溢れ出てくる。
 私は狂いそうな心を止められず、タンクトップのジジィを勢いをつけて、思いっきり殴った。
 タンクトップは宙を舞い、床に身体を強く叩きつけた。やがて、気絶した。
「笠井!」
 私は笠井に近づいた。
「……アハハ……ゴメン……もうダメかもしれない……」
笠井が弱々しく言った。
「まだ諦めるな!今からお前を背負って、麓の病院まで連れていってやるからな!」
 私は軽々と笠井をおんぶし、急いで山を下った。
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