18 / 79
本編
15.本題
しおりを挟む
「それじゃ、本題にうつろっか」
いつの間にやってきたのか、咲夜の後ろに立っていたイオがひょいとトートバッグを持ち上げる。それから無造作に手を突っ込み、鷲掴みにしてフィルを取り出した。
「え、ちょ……」
「ったくもう、どういう使い方したらこの短期間で魔力切れなんておこせるの?」
「本当にのう、情けない奴じゃ。これだけ使っておきながら番1人守れぬとは」
竜王も堕ちたものだね、とか話しながらイオとティオは何かの準備をはじめる。正確にいうと金色に輝く光のつぶを集め、凝縮して、集め、を繰り返している。
「これぐらいでいいかな?」
「少し多いぐらいがちょうどいいじゃろう」
最終的に大きめの飴玉サイズになったものを、ティオが咲夜に渡す。それから、それを食べさせるのは番の役目じゃ、と言ってイオと2人してニヤニヤして咲夜を見守る。
「あの、」
「ん?……あぁ、竜体のままではやりにくいと」
「そうだね、今人にしてあげるよ!」
「え、いや」
本当に私がするの?という咲夜が言いたかったことは言葉にならず、イオによってフィルが人になる。その上でキラキラした期待の目で見られては断るものも断れない。
「あんまりジロジロ見ないでくださいよ……」
かっこよすぎるフィルの口を開けて飴玉を入れる。それだけの作業に緊張してガチガチになる咲夜。それでもなんとか任務を遂行すると、生暖かい視線が送られた。
「……う。あれ、俺……?」
「フィル!」
咲夜が視線に耐えること数十秒、フィルが唐突に目を覚まして起き上がる。対して一気に脱力した咲夜が座り込み、上半身を起こしたフィルと目線が合う。その後ろでイオがゆあにとある提案をしているのには気づかない。
「……あっ」
そしてノリのいいゆあのこと、イオの提案を快く受け入れて咲夜を後ろから少し押す。それから自分の役目は終わった、と再び咲夜とフィルをニヤニヤと見守る。
「おっと」
「え、」
ゆあに押されて体制を崩した咲夜はフィルを向かって倒れ込み、そしてしっかりと抱きとめられる。途端に真っ赤になった咲夜が慌ててフィルの抱擁から逃れようとするも、離してもらえるはずもなく。
「もうちょい……もうちょっとだけ、このままで居させてくれ……」
「う、ん」
フィルに一生のお願いを告げられるように、甘えるように言われ、拒絶できない咲夜。おずおずとフィルの背中に腕を回しかけたところで、ゆあ達の存在を思い出したのか素早く引っ込められる。
「わあっ、らぶらぶだ!」
「ゆあ、ナイス!」
「たまにはこういうものを酒の摘みにするのもいいものじゃ」
「(よ、よくないよくない!ちょっともう3人ともイタズラがすぎるって!というかとにかくそんな目で見ないでー!!)」
そんな咲夜の心の叫びはゆあ達にサラリと無視され。フィルがようやく満足して咲夜を解放する頃には、それこそゆでダコのようになっていたのだった。
いつの間にやってきたのか、咲夜の後ろに立っていたイオがひょいとトートバッグを持ち上げる。それから無造作に手を突っ込み、鷲掴みにしてフィルを取り出した。
「え、ちょ……」
「ったくもう、どういう使い方したらこの短期間で魔力切れなんておこせるの?」
「本当にのう、情けない奴じゃ。これだけ使っておきながら番1人守れぬとは」
竜王も堕ちたものだね、とか話しながらイオとティオは何かの準備をはじめる。正確にいうと金色に輝く光のつぶを集め、凝縮して、集め、を繰り返している。
「これぐらいでいいかな?」
「少し多いぐらいがちょうどいいじゃろう」
最終的に大きめの飴玉サイズになったものを、ティオが咲夜に渡す。それから、それを食べさせるのは番の役目じゃ、と言ってイオと2人してニヤニヤして咲夜を見守る。
「あの、」
「ん?……あぁ、竜体のままではやりにくいと」
「そうだね、今人にしてあげるよ!」
「え、いや」
本当に私がするの?という咲夜が言いたかったことは言葉にならず、イオによってフィルが人になる。その上でキラキラした期待の目で見られては断るものも断れない。
「あんまりジロジロ見ないでくださいよ……」
かっこよすぎるフィルの口を開けて飴玉を入れる。それだけの作業に緊張してガチガチになる咲夜。それでもなんとか任務を遂行すると、生暖かい視線が送られた。
「……う。あれ、俺……?」
「フィル!」
咲夜が視線に耐えること数十秒、フィルが唐突に目を覚まして起き上がる。対して一気に脱力した咲夜が座り込み、上半身を起こしたフィルと目線が合う。その後ろでイオがゆあにとある提案をしているのには気づかない。
「……あっ」
そしてノリのいいゆあのこと、イオの提案を快く受け入れて咲夜を後ろから少し押す。それから自分の役目は終わった、と再び咲夜とフィルをニヤニヤと見守る。
「おっと」
「え、」
ゆあに押されて体制を崩した咲夜はフィルを向かって倒れ込み、そしてしっかりと抱きとめられる。途端に真っ赤になった咲夜が慌ててフィルの抱擁から逃れようとするも、離してもらえるはずもなく。
「もうちょい……もうちょっとだけ、このままで居させてくれ……」
「う、ん」
フィルに一生のお願いを告げられるように、甘えるように言われ、拒絶できない咲夜。おずおずとフィルの背中に腕を回しかけたところで、ゆあ達の存在を思い出したのか素早く引っ込められる。
「わあっ、らぶらぶだ!」
「ゆあ、ナイス!」
「たまにはこういうものを酒の摘みにするのもいいものじゃ」
「(よ、よくないよくない!ちょっともう3人ともイタズラがすぎるって!というかとにかくそんな目で見ないでー!!)」
そんな咲夜の心の叫びはゆあ達にサラリと無視され。フィルがようやく満足して咲夜を解放する頃には、それこそゆでダコのようになっていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる