竜王の番は大変です!

月桜姫

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本編

35.城内見学〜執務エリア〜

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「にしても凄かったなぁ」

「うんうん、リュカの刀全然見えなかった!」

模擬戦は1時間も前に終わったというのにまだまだ熱が冷めないゆあと一。因みに結果は言うまでもなくアーロンの惨敗。

切り傷をたくさん負い、腹にフィルの刀の刀身が半分めり込んだ所でアビーが勝敗を下した。中盤まではフィルの怒涛の攻撃を受け流していたアーロンだが、疲れからか徐々に押され始めた。

もしアビーが終わりを告げなければ、アーロンは文字通り千切りになってしまっていたであろう。

「こっから先の執務エリア、関係者以外立ち入り禁止だ。……このカード無くすなよ?」

「わかった。フィルってここで仕事してるの?」

「あー、書類関係は、だな。どうしても此処でやれって秘書がうるさいんだよ」

魔法陣らしきものが刻まれたカードを一見何も無いような壁にかざすフィル。たちまち黒曜石の壁が溶け消え、ゲートが姿を現した。

「うわ、ぁ……」

ゲートをくぐった瞬間、何も無かった空間に物が溢れかえった。それを見た咲夜が漏らしたのは、呆れではなく感嘆のため息。

「凄いだろ?元々は初代の趣味なんだが、年々増え続けて去年100万冊突破……だっけな」

「100、万……」

この執務エリアはとにかく高い。円柱系に組まれた本棚が、終わりが見えない程高く続いているのだ。そして驚くべきはその棚全てにみっちりと本が詰まっていることだ。

この本棚、階に分かれてはいない。もちろん、ハシゴなんてついていない。皆魔法を使って好きな本を"引き寄せ"ている。

「すごい……世界中の本が揃ってるんじゃない?」

「まさにその通りだ。咲夜の世界じゃ、この詰み方は出来ないだろ?」

「うん……だって高すぎて本置けない」

さてこの職務エリア、巨大図書館が中心となり、その外周部に各執務室が用意されている。数多くの文官達がここで仕事をしているが、大抵部屋ではなく図書館に持ってきている。

「咲夜は俺から離れないからいいとして、朔丸が俺を探す時はまずここに来るといい。それじゃ、秘書を呼んでく……」 

「リュカにーぃっ!」

書類が山と積まれているせいで分かりづらいが、他より2倍は広い竜王の執務室。秘書を呼ぶため部屋を出ようとドアノブに手をかけ引こうとした所ですごい勢いで向こうから開いた。

「リュカにぃ、やっと帰って……ってあんたら誰や?ん?」

ドアが顔面直撃しそうになったがさすがの反射神経で止め、しかし眉が不機嫌そうにピクピクしているフィル。そして突然の乱入者に目をぱちくりさせる咲夜達に、怪訝な表情の関西弁乱入者。

「……紹介する。俺の秘書、リィカだ」

「あ、よろしゅう」

とりあえず、という雰囲気でぺこりと頭を下げたリィカ。髪はフィルと同じ銀で、ただ長さはベリーショート。瞳は元気な向日葵色。

黒い騎士服に身を包み、腰にはキラリと輝くレイピアが吊られている。身長が低く155センチ程度ゆえ、人懐っこい少年という見た目。 

……ただし。

「あと一応、10歳差の……妹だ」

いかにも少年っぽいが弟ではないのだ。フィリアス・リュカ・ラフィリアの 、シェリアス・リィカ。竜王秘書である。
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