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本編
43.ゆあと一、武器屋に行く
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視点:イト
「えっ、まだ武器を決めてないんですか!?」
「う、うん」
とても親切で優しい人に会った。ユアさんとハジメさんにパーティを組んでもらって、いざ依頼を受けようとしたらまだ武器を買っていないと言われてしまった。
二人はたった今冒険者になったばかりで、まともに戦ったことすらないと言う。僕はすぐに出発するつもりだったから、少し面食らった。二人の服がどう見ても高級品だから、きっとどこかの貴族で幼い頃から訓練を受けていると思ったのだけれど。
「あの、よければ僕がお二人に合う武器を見立てますよ?」
「えっ、いいの?ゆあ達何にもわかんないからすっごく助かる!」
「はい!」
とりあえずギルドカードを見せてもらって、そこに記載されたステータスを確認してみる。それからこの街で唯一僕が入れる武器屋へと向かう。
色々と試行錯誤した結果、ユアさんはダガーを、ハジメさんは大剣と盾を購入。最低限、と言われて貰ったらしい大金を持っていたので質のいい武器を買えた。もちろん、防具やユアさんのサブウエポンのナイフ数本、回復薬も購入。
「イトは何か買わないの?」
「僕は大丈夫です。元々稼ぎが少ないので、節約しないといけないんですよ」
「そう?じゃあゆあ達からプレゼントする!」
「へっ?」
「それいいな。武器選び任せっきりになったし、パーティも組んでもらったしお礼ってことで」
「い、いやそんな……」
「良いって。ほら、何か欲しいもの持ってこい!」
ハジメさんに背を押され、少しよろけてから杖がたくさん置いてあるコーナーへ。かねてから狙っていた惚れ惚れするくらい美しい杖が目に止まるが、一瞬だけ見て目をそらす。さすがに僕がしたちっぽけな手伝いのお礼には高すぎるから。
「えっと……じゃあこれをお願いします」
「おう。ゆあ、あといくらある?」
「んーとね、6G9S3Cだよ」
色々と出費をして減らしたのだけど、まだまだ持ち歩くには危ない金額だと思う。あの手の届かない金額の杖を買っても、しっかりお釣りがくるぐらいだから。
そんなことを考えながら手に持つ杖をハジメさんに渡す。悩んで決めたそれは本当に欲しいものより2つランクを下げたもの。それでも今まで使っていたものより3つもランクが上なのだけれど。
「……あ、すみません、キトがトイレに行きたいようなので少し失礼します」
「先に買っとくぞ?」
「分かりました。では、この石を杖につけて貰うよう頼んで下さい」
「うん?わかった!」
「お願いします」
キトが少し身じろぎしたのを感じてそう言う。ハジメさんに今まで使っていた杖にはめられていた石を取って渡す。
それから急いで店を出た。あんまり我慢させると、キトが目覚めてしまうから。目覚めても何ら問題はないのだけれど、キトは少し人見知りをするところが心配。
「……よし、戻ろっか」
手を洗って、水分を風で飛ばしてから少し急いで店に戻る。二人はすでに店の外にいて、僕を見ると笑顔を見せて手を振ってくれる。
「お待たせしました」
「全然!それよりはい、これ」
「返品は受け付けないっておっちゃん、言ってたぞ」
「え……?」
ユアさんから受け取った杖は僕が選んだものより大きく、そして美しかった。 それはケースに入った、あの高い杖。信じられない気持ちで、呆然と手の中の杖を眺める。
これが欲しいなんて僕は一言も言っていないし、目を向けたのは一瞬。それなのに、二人はどうしてかこれを選んでくれた。それが、とても嬉しくて、嬉しくて。
「……どうして?」
「イトがそれを一瞬見た時、すごい目が輝いてたからだな」
「そう、ですか……。ありがとう、ございます。ありがとうございます……!」
「いいよー、そうやって喜んでくれてよかった!」
得意そうに笑うハジメさんと、杖を抱きしめてひたすらお礼を言う僕の頭を撫でながら言うユアさん。僕は胸の内で、この優しい人達に一生ついて行こうと密かに決心したのだった。
「えっ、まだ武器を決めてないんですか!?」
「う、うん」
とても親切で優しい人に会った。ユアさんとハジメさんにパーティを組んでもらって、いざ依頼を受けようとしたらまだ武器を買っていないと言われてしまった。
二人はたった今冒険者になったばかりで、まともに戦ったことすらないと言う。僕はすぐに出発するつもりだったから、少し面食らった。二人の服がどう見ても高級品だから、きっとどこかの貴族で幼い頃から訓練を受けていると思ったのだけれど。
「あの、よければ僕がお二人に合う武器を見立てますよ?」
「えっ、いいの?ゆあ達何にもわかんないからすっごく助かる!」
「はい!」
とりあえずギルドカードを見せてもらって、そこに記載されたステータスを確認してみる。それからこの街で唯一僕が入れる武器屋へと向かう。
色々と試行錯誤した結果、ユアさんはダガーを、ハジメさんは大剣と盾を購入。最低限、と言われて貰ったらしい大金を持っていたので質のいい武器を買えた。もちろん、防具やユアさんのサブウエポンのナイフ数本、回復薬も購入。
「イトは何か買わないの?」
「僕は大丈夫です。元々稼ぎが少ないので、節約しないといけないんですよ」
「そう?じゃあゆあ達からプレゼントする!」
「へっ?」
「それいいな。武器選び任せっきりになったし、パーティも組んでもらったしお礼ってことで」
「い、いやそんな……」
「良いって。ほら、何か欲しいもの持ってこい!」
ハジメさんに背を押され、少しよろけてから杖がたくさん置いてあるコーナーへ。かねてから狙っていた惚れ惚れするくらい美しい杖が目に止まるが、一瞬だけ見て目をそらす。さすがに僕がしたちっぽけな手伝いのお礼には高すぎるから。
「えっと……じゃあこれをお願いします」
「おう。ゆあ、あといくらある?」
「んーとね、6G9S3Cだよ」
色々と出費をして減らしたのだけど、まだまだ持ち歩くには危ない金額だと思う。あの手の届かない金額の杖を買っても、しっかりお釣りがくるぐらいだから。
そんなことを考えながら手に持つ杖をハジメさんに渡す。悩んで決めたそれは本当に欲しいものより2つランクを下げたもの。それでも今まで使っていたものより3つもランクが上なのだけれど。
「……あ、すみません、キトがトイレに行きたいようなので少し失礼します」
「先に買っとくぞ?」
「分かりました。では、この石を杖につけて貰うよう頼んで下さい」
「うん?わかった!」
「お願いします」
キトが少し身じろぎしたのを感じてそう言う。ハジメさんに今まで使っていた杖にはめられていた石を取って渡す。
それから急いで店を出た。あんまり我慢させると、キトが目覚めてしまうから。目覚めても何ら問題はないのだけれど、キトは少し人見知りをするところが心配。
「……よし、戻ろっか」
手を洗って、水分を風で飛ばしてから少し急いで店に戻る。二人はすでに店の外にいて、僕を見ると笑顔を見せて手を振ってくれる。
「お待たせしました」
「全然!それよりはい、これ」
「返品は受け付けないっておっちゃん、言ってたぞ」
「え……?」
ユアさんから受け取った杖は僕が選んだものより大きく、そして美しかった。 それはケースに入った、あの高い杖。信じられない気持ちで、呆然と手の中の杖を眺める。
これが欲しいなんて僕は一言も言っていないし、目を向けたのは一瞬。それなのに、二人はどうしてかこれを選んでくれた。それが、とても嬉しくて、嬉しくて。
「……どうして?」
「イトがそれを一瞬見た時、すごい目が輝いてたからだな」
「そう、ですか……。ありがとう、ございます。ありがとうございます……!」
「いいよー、そうやって喜んでくれてよかった!」
得意そうに笑うハジメさんと、杖を抱きしめてひたすらお礼を言う僕の頭を撫でながら言うユアさん。僕は胸の内で、この優しい人達に一生ついて行こうと密かに決心したのだった。
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