転生を断ったら最強無敵の死霊になりました~八雲のゆるゆる復讐譚~

ろっぽんせん

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VS聖騎士

おとぎ話

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・おとぎ話
 むかーし、むかしのおはなしです。ゼン神様が世界を作ってしばらくした頃のお名無しです。
 海が出来て、陸地ができて、山ができて、川ができて、湖ができて……森ができて……魚や鳥やたくさんの動物たちが産まれました。
 ゼン神様が最後に作ろうとしたのは人間でした。ゼン神様は地上にある色んなものを集めてどんな動物とも違う素晴らしい体を作ろうとしましたが、流石のゼン神様もひとつに決めるのは難しく何体も何体もつくり、ようやくできた納得のいく形になったものに魂を与えることにしました。
 しかし、何度試しても人は直ぐに病で死んでしまいます。魂に問題があると気がついたゼン神様は魂の悪い部分を取り出して捨ててしまいました。
 そうして、人は病で死ななくなりましたが、知性はなく獣と同じように過ごしていました。そこでゼン神様は魂を二つに分け、片方に自身の知恵を分け与えてひとつにして入れてみました。それでようやく『人間』が出来上がったのです。
 残った半分の霊は更に散り散りに分けられ、沢山作った人に似た形をしたものに入れられました。それが『獣人』たちです。獣人たちは人間たちの良き友として、人間たちの暮らしを助けるために生み出されました。
 そして、捨てられた悪い魂は消えず、ゼン神様が作った失敗作の体の中へと逃げ込みました。それが初代魔王です。
 魔王は人を恨み、ゼン神様を憎みました。
 そこから、人と魔族による終わることのない戦いが始まったのです。
 人間と獣人は力を合わせ魔族と戦いました。人間は知恵を、獣人は体を武器に戦いましたが、魔族のもつ醜い身体は特別頑丈で強く歯がたちません。
 見る見るうちに人や獣人は数を減らし負けてしまいそうになりましたが、ゼン神様は人を決して見放しません。
 不思議な剣を授けてくださいました。それは神様しか形を変えることが出来ない不思議な金属によって作られた白身を帯びた剣。神の魂をもち、神の最高傑作である肉体を持つ人間にしか扱えない特別な剣です。
 剣の威力は凄まじく魔族をほふり、ついには魔王を倒すほどでした。
 今の王国の王様たちはこの剣をいちばん上手く扱えた勇者の血を引いてると言われてきます。
 そして、その剣は今もなお、神様により年に少しだけ地上に贈られ、勇敢な聖騎士たちに使われているのです。

~~~

「あ、ありえないわ……ど、どうして……」
 ギャラリーまで騒ぎ始めている。どうやらかなり不味いことをしてしまったらしい。断じて言うが俺は何もしていない。触ってすらいない。いや、身体には触れていたが手で触れようとしたら灰のようにサラサラと砕けてしまったのだ。
「……偉大なるゼン神様! ここに迷える魂が救いを待っています。どうかお慈悲を」
 取り乱してきたサラが素早く膝を着いて祈るポーズをする。どういった魔術かはわからないが、恐らく死霊になんらかのダメージを与えるものなのだろうとは予想ができる。なんか、光ってるし、少し眩しいと言えば眩しい。
「わ、わたくしの力じゃ……だ、ためなの? あ、あとは……あとは……遺体! そう! 貴方の遺体を見つけ出せれば! 元から浄化して」
「……な、なるほど、頑張ってくれ」
 俺の死体はこの世界では絶対に見つからないだろう。死体をどうにかするのもどうやら、この世界ではかなりポピュラーな浄化方法なのだろうと納得する。
「そ、その反応、この近くにはないのね! でも、早くしないと……日光もダメ、祈りも駄目、剣はボロボロになって……遺体も近くにない……ど、どうすればいいのよ!」
 サラの表情がどんどん曇っていく。俺は何もしていないのに何だか悪いことをしている気分になってくる。
 ギャラリーもサラが心配なのかそれとも、戦っているであろうリッチーが怖いのか折れた瞬間よりは静かになっているものの完全に静まることなくこちらをじっと観察している。俺にはどうすることも出来ないが……少しでも励みになればとサラの肩に手を伸ばす。触れないことは重々承知しているが……流石にここまで落ち込まれたら心配になる。

 ぽんっ。

 手に感触がある。そう言えば、刀身と鎧の素材の色が似ている気がする。

 ばきんっ!

~~~

「お母さん、ぼくしってるよ! 剣だけじゃなくて聖騎士になったら鎧も神様から貰えるんでしょ!」
「あら、よく知ってるわね。えぇ、そうよ。聖騎士は神様から貰ったもの以外はなるべくみにつけちゃいけないの」
「へぇぇ!」

 母親はあの鎧の下は素肌で……でも全然寒くなくて暑くもない不思議な素材で出来ていると説明するべきか悩んだ。この子にはなんとなくまだ、早い気がする。

「おやすみなさい、ぼうや」
「うん、おやすみ、お母さん」

 母親としてはまだ、もう少しだけ何も知らない……かわいい天使でいてくれる事をただただ祈ることしか出来なかった。
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